タイトルからうちの相方がどこかのクラブで指揮を執ったことを想像した方がいたかもしれませんが、フェイクです。笑
先日、毎週行っている草フットサルリーグで、初めて真剣にベンチに立ち、指揮を執りました。(ちなみにこの記事を書いているのはサッカー選手のYasuの方です)
“草フットサル”というと、大したことのないイメージを持つかもしれませんが、相手はスペイン人、簡単には勝たせてくれません。
ちなみに、こちらはバルセロナ在住の日本人サッカー関係者数名でメンバー構成を行っています。
つまり、全員「サッカー経験者」。しかも、強豪校や名門校出身の方もいます(まぁ現役時代バリバリ強豪でレギュラークラスはいませんが)。でも、県大会でベスト16くらいに入ったくらいの人もいますし、僕から見ても「まぁサッカーができる人」がある程度揃っていると思います。
ただ、今回の観点では、これを「日本人的に」「まぁサッカーができる人」と敢えてさせてもらいます。
何が言いたいかというと、僕たちは「日本人的に」「そこそこの実力を持ちながら」も、「スペイン人的に」「実力が大してない」草フットサルの相手に苦戦してしまうのです。
見た目で、明らかに相手の方がろくにボールを蹴れていないのに、負けてしまう。先日の「技術」の話から展開すれば、“表面的に技術のある”日本人サッカー選手たちは、“見た目には技術のない”スペイン人フガドール(スペイン語で「サッカー選手」の意)に負けてしまう。
これは、どう考えてもおかしい。
この時点で気付いて欲しいのは、
技術がある≠足元がある
ということです。
・・・と、この観点でいうと、「スペイン人と日本人の差」というテーマになりすぎてしまい、おそらく長引くので、今日はそれは割愛。ただ、一つヒントを。こちらで言われているフレーズを。
サッカー≠Futbol(フットボール)
「サッカーとFutbolは違うんだよ。」
このテーマはまた今度ですね。時間があるときにでも(笑)
我らが日本人チームはここ2連敗中。
怪我をしている僕は、ここ2試合はビデオ撮影に回っていましたが、もう我慢できず。「今日は僕がベンチに立ちます」。
こういう状況では、自ら責任を負い、「絶対に勝たなければ」いけません。
自分の中で、自分が徹底したゲームプランは2つ。
①Colocasion(配置)の意識の徹底
②Intensidad(厳しさ)の注入
この2つのコンセプトだけは、絶対に落とし込みたかったので、試合前も試合中も、徹底して言い続けました。
①に関しては、フィールドでプレーする4人が、ボックスの形を基本形として、攻撃でも守備でも(極端に言ってしまえば)まずは「規定の位置に立つこと」。側面的に言えば、「立つ位置」を決めてしまい、そこに「オートマチック」に素早くポジション取りをすること。
これにより、受け手は「どこに動くかを考える時間」を省き、その代わりに「動いた後にここで受けて、何をすべきか考える時間」を獲得します。出し手は「どこに出すかを考える時間」を省き、「あそこに出した後、どこにフォローして、次はどこが空くかを観る・考える時間」を獲得します。
ここからゲームを始めようではないか、と。
また、守備時ではそれぞれが規定の位置に立つことで(この日は全員を自陣に退かせて、ボックス型のブロックを作る)、「プレスをかけ始める位置」と「それぞれのマーク」をわかりやすくしました。
また、自陣でそれぞれがそれぞれのゾーンに立っていますので、各々のゾーンで相手に与えられたスペースは均一化されます。それにより、フィジカル的に勝る相手にスペースのない中での1対1の勝負を強います。
これを意図的にこちらがやることで、いくぶん心理的にもこちらの方が有利になります。「お前らは俺たちの術中で1対1を仕掛けているんだぞ」と。こちらの選手にその余裕を与えてやるだけで、このコンセプトは十分な効果を発揮します。
②に関して。これは本当に日本人に起こりがちなんですが、「戦術(理論)に囚われすぎる」「ミスを恐れる」あまりに、「激しさ」を試合中に失ってしまうことが多々あります。
外国人相手にやるときに、一番のネックがここになります。
相手のほうがデカイ。それに対し、「ガツン」と行くことを面倒くさがると、相手は体格に物言わせてグイグイ体を当ててきながらボールを前に押し運んできます。イメージ的にはラグビーやアメフトみたいなイメージです。それで、シュートエリアに入った瞬間、間合いの広さを生かしてドカン。(なぜだかは知らないが)やたらとシュートがうまいスペイン人は、これをけっこう決めてくる。
日本では、相手にボールが入ると、それを振り向かせないことが重要だと思われていますが、海外ではそれでは「遅い」。
日本で言う、
1、インターセプト
2、1stタッチを狙う
3、振り向かせない
4、ヘルプを待って挟んでサンドでボール奪取
ハッキリ言って、これは海外では通用しません。
こちらの選手は、インターセプトの意識が日本人のそれとは段違いに違います。いや、最早、「インターセプト」という言葉すら生温い。パスを出されたボールに対し、相手ごとガツンとボールを強奪するイメージ。
海外の選手を見ていると、下部リーグでも身体能力に優れた選手がゴロゴロいます。9部~7部でも黒人はザラにいますからね。アイツらって、もうボールが納まっちゃって少しでも体を反転できたらそこから「ドンっ」できます。
スペイン人もアイツらよりフィジカルは劣る。だから、そのフィジカルを補う術が、このIntensidad(厳しさ)なのです。ファウルぎりぎりでパスを狙いに行く。そこでファウルになった方がマシ。入れ替わられても、体勢を崩せば、もう1回追いつける。そういう駆け引きを、1試合の中で常に相手アタッカーとし続けています。
だから、日本人がフィジカルで勝る相手アタッカーに対し「こいつ嫌だな」と思わせるには、このIntansidad(激しさ)を徹底することが守備のベースになると僕は考えています。戦術や理論はその次です。
これができるだけで、相手とだいぶ駆け引きがやりやすくなります。
これを、徹底して言いました。
結論。
6-1でボコ勝ち。
今回は先制点となった某コーチのGolazo(スーパーゴール)に頼った面もありましたが、大部分は自分のゲームプランが落とし込まれた勝利だったので、個人的には満足な出来。
初采配、初勝利。
たまにはベンチに立つのも悪くない。プレーするのとはまた違った楽しみ、喜びがありますね。
何はともあれ、やっぱり勝った後みんなで飲むビールが最高にうまい!これぞフットボールの醍醐味。
いやはや、きちんと勝てて良かった。みんな、お疲れです。