映像はこちらから↓


http://www.as.com/futbol/articulo/nolito-decide-victoria-barcelonista/dasftbseg/20100926dasdasftb_44/Tes


さて、僕はこの試合生観戦してきました。


実は初めて見る生での2部Aの試合。そしてバルサBの2部Aでの戦いっぷり。


まずは、率直な感想を。


「ホームとはいえ、2部Aで昨季の2部Bのように遜色なく自分たちのサッカーをするバルサB。とんでもねぇ」


「ヌマンシアは、もう少しやってくれないと・・・。何もないな。これじゃ、2部Bのチームと変わらんよ。」


「ってか、2部Bのチームの方が徹底的にバルサBを研究して潰しに来てた分、サッカー的にも見所あったな・・」



そう、正直、ヌマンシアは何もなかった。なさすぎた。あのバルサ(B)に、あのサッカーをやらせないことに相手チームの狙い・意図・意味があるのに。2部Bでも、それが見所で、おもしろかったのに。そこで停滞したバルサBがどうするか、とか。なまじ経験がないから、リアルでおもしろいんですよね。トップチームは成熟しすぎで、参考にならない(苦笑)



-サッカー的分析-


いきまーす。



《急成長中⑨Nolito》


バルサBの左ウィング、Nolito(ノリト)。急成長中です。


昨季の初めにバルサBと契約したんですが、来た頃は正直「なんだか合ってないなぁ」って感じでした。ドリブルはうまいし、技術はある。でも、バルサのリズムにまったく合っていなかった。どういうことかというと、ドリブルを仕掛けるタイミングが非常に悪かったんですね。


バルサがボールを回している最中に、前に行こうとしたり、無理に仕掛けたり。


もっというと、1対1でも、1対2でも、仕掛けてしまう。


2部Bともなって、相手もバルサBを研究してくると、


・1対1に見せて、わざと相手に仕掛けさせて、もう1人がスペースをカバーしておき、そのスペースに誘い出してボールを奪う(1対1のダミーの状況から、実質1対2でボールを奪う)


これが非常に巧みです。


ノリトは昨季初め、よくこのトラップに引っかかって、ボールを失っていました。


相手チームからすると、カモだったんです。ボールの奪い所。


ところが、昨季の終わり頃から、今季になって、その判断が抜群に良くなった。


1対1になった瞬間、カバーが間に合う前に仕掛けて、シュートorクロスor抜き去る。


この1点目は、まさにその典型的な形。



また、1対2になったときのノリトの応対の仕方が、すごく印象的だった。簡単に、早めにアーリークロスを上げちゃうんです。それが良いクロスだろうと、なかろうと。


そうすることによって、常にカバーを警戒するCBは迷うことになる。カバーに行く度に頭上をボールが越えていき、ヘディングで競るorまた違う選手のカバー、では無駄な動きが多すぎて、億劫になってくる。


ノリトは、これをすることによって、自分のためのスペースを獲得していきます。


相手が「蹴る」と思って、距離をとったら、ボール保持者の圧倒的優位になります。



すると、今度はすかさずノリトは1対1を仕掛けてくる。


この“戦術的1対1”が非常におもしろかったですね。


また、ノリトの『仕掛ける際の角度』も非常に興味深かったのですが、それはまた次の機会にでも。ノリト特集になってしまいますから(笑)




《オーガナイズには「?」》


4-3-3で、中盤の3枚はフォンタス、ジョナタン・ドスサントス、セルジ・ロベルト。


フォンタスは本職はセンターバックなんですけどね。最近アンカーで起用されています。


ドスサントスとS・ロベルトも今季プレシーズンでトップチームで中国遠征などしましたから、バルサではかなり期待されていますね。S・ロベルトなんてまだフベニール(ユース)の選手ですから。ユースの選手が、2部Aでレギュラー張れるかよ、っつー話です。ここにも化け物がいますね。


しかし、この日の中盤のオーガナイズには、正直「?」。疑問でした。


ボールは回るし、失わないけど、ただ「パスが回っているだけ」。


トップチームでも調子が悪いときにたびたび起こる“停滞”。これが、もろに起きていました。


冒頭にも述べたように、この日は相手のヌマンシアが戦術的になにもしなかったので、バルサBが早くに先制したこともあり、事なきを得てゲームは1-0で終了。


しかし、明らかにゲームは停滞していた。


ああいう展開で、相手チームが“ゲームを壊す”サッカーを仕掛けてきてくれないと、まったくおもしろくないですね。


ファウルを乱発するとか、徹底的にSBを引き出してその裏に蹴るとか、なんでもいいんですけど、“何か”してくれないと。そうじゃないとバルサ(B)の真価なんてわからないし、バルサ相手に勝ち点を上げることなど不可能です。


というわけで、中盤のオーガナイズは「?」どころか、「×」でした(僕個人的には)。


ドスサントスは、キックはうまいしボールキープもできるけど、僕はやはり足らないと思う。“散らす”ことはできても、“創る”ことはできない。バルサの中盤は3枚しかいないから、創れなければならない。かなり難しい作業だし、厳しいんだけど、それができなければバルサには残れない。ホントにシビアな世界です。


フォンタスに関しては、僕にはその良さが正直まったくわかりません。CBで出ても、それは同様。ちょっと手厳しいようだけど、ボールを下げることが多すぎるし、ボールを前に運ぶイメージ、ビジョン、プレーがあまりにも希薄すぎる。


判断というか、考えというか。“ビジョン”がないように映る。外から見てると、それがわかってしまうんです。そして、これはドスサントスと同様、バルサの選手というのはそれができないといけないんです。厳しいけど、それがバルサ。


その点優秀で、可能性を感じるのはS・ロベルトとムニェサ(CB)。二人ともまだユースです。化け物。


S・ロベルトは何に可能性を感じるかというと、彼は非常に“運ぶ”ということに長けている。イニエスタの縮小版、みたいな。あそこまで行けるかはわからないけど、可能性は残っている感じ。中盤のゾーンで、相手守備網の間・間にドリブルで入っていける、そこでDFを1人、2人剥がせる。そのタイミングとスピードを兼ね備えている。好不調はあるけど、プレー全体では“変化”をつけられうる存在です。


ムニェサの方は、さきほどの“ビジョン”が優れていると思います。


彼は、自分にボールが来る時に、すでにいくつかのプレーを終えています。


つまり、


自分にボールが来る→1タッチで逆SBにパス→SBが1タッチでWGに出す→ボールは前に進み、状況は打開される


この「プレーを読む行為」を試合中ずっと、常にやっている。これが、上から見るとわかるんですね。もちろん常に100%できているわけではないけど、かなりの割合でできています。その正確性にはまだまだムラがありますが、あの“ビジョン”を常に描くこと、描こうと努力すること、それが大事。


加えて、ムニェサは左SBでも質の高いプレー、パフォーマンスを披露できる。


彼のプレーは、スペイン代表のカプデビラを彷彿させる。つまり、そのポジショニングとサポートによってゲームに影響を与えることができる。スペインの優秀なSBはこの能力が非常に高い。ムニェサはSBとしても、その能力を高いレベルで兼ね備えている(僕が先日見た他の試合では、少なくとも高校2年生にして2部Aで遜色ないレベルにあります)。


現在のペップ・バルサにおいてトップに上がる可能性があるのはこの2人かな、と。


冒頭のノリトは、良い選手ですが、やっぱりちょっとバルサっぽくない。癖、ある感じだし(笑)今年1年でさらに成長して、来年から1部の他のチームでやってほしいですね。今回触れなかったけど、CFWのジョナサン・ソリアーノも同様です。


今季は、バルサBと2部Aにも注目していきたいと思います。