モウリーニョの記事でおもしろい情報がまだいくつかあるのですが、それはまた次回。今回は軽くなうすることに留めておきます。
今回のテーマ。
「ハコビノススメ」
「日本人はどうしてボールをこんなにも運ばないのだろう?」
ふと頭をもたげた疑問です。
最近オフシーズンであることもあり、日本人の仲間と体を動かすことが多々あります。みんなサッカー関係者ORサッカー経験者。また、僕がこちらに来てから2年ほど、日本人フットサルチームを作ってリーグ戦に参加し、スペイン人たちと毎週試合を行ってきました。
その中でもよく思っていたことなんですが、日本人というのは非常に“運ぶ”ことが下手です。
前にスペースがあるとき。日本人の第一選択肢は「パス」です。なぜでしょう?それがより早くボールを前に運ぶ手段だからです。
サッカー的に言うと、“より早く前にボールを保持する位置を高くする”手段。
ボールが前に進むということは、ボールを保持する位置・ラインが高くなること=ゴールに近づくということ。
日本人にとって、この手段の第一選択肢が「パス」です。
これは一見間違っていません。「ボールは足より早い」。クライフも、オシムも、そのような類の発言をしています。
しかし、「よりゴールに早く行くための手段」として、これは常に正しい選択肢でしょうか?
僕の答えはNOです。
特に、そのボール保持者の前にスペースがあるときに第一選択肢が「パス」であることは、僕は問題だと思います。
なぜか?
「パス」というのは、そのボールの移動中に、DFは容易に相手FWを同一視することができます。これは、相手DFが変化しないこと、相手守備陣が比較的に楽に守れることを示しています。
「ドリブル」。これはどうでしょうか?
「ドリブル」をするということの有効性。それは「DFがボール、ボール保持者、マーカーの3つを同時に注視しなければならない」ということにあります。
「ボール保持者の前にスペースがある」ということは、「フリーでボールを持っている」ということです。フリーでボールを前に運ぶ、ということ。それはDFの注視をそこに引き付けられるということ。それだけでDFは後手になります。DFはただちに第一DFを決定し、対応をしなければならない。
その間に、ボールを保持しているチームに与えられる選択肢がかなり多くなります。ドリブルして、一人DFを引き出して、数的優位を作る。マーカーの注視を引き付けた瞬間に、味方FWにスルーパス。位置によっては、運んだことによって前に進み、シュート。
第一選択肢が「パス」から「ドリブル」になっただけで、より多くの選択肢を持つことができます。そして、その選択肢は「よりゴールに早く行くための手段」になり得ます。
「ドリブル」とはおおげさな表現です。「運ぶ」という作業。1タッチ、大きくボールを前に運んでみる。その勇気。それがゴールという賜物を生み出す。
“ゴールは偶然の産物ではない”
そのために、「ハコビノススメ」。
日本人に足りない能力のひとつだと、僕は思います。