昨日モウリーニョ率いる新生「銀河系軍団」がプレシーズンをスタートさせました。
W杯に出場した選手達はまだバカンス中であるため、そこには10人の既存の選手とヘタフェから移籍したばかりのペドロ・レオン(二部練習の午後から合流)。それに加え8人のカンテラの選手という構成でのスタートとなりました。そのもようを現地新聞ASが報じておりまして、今日はそこからおもしろそうな情報をピックアップし、僕の意見を織り交ぜたいと思います。
モウリーニョといえば、戦術。欧州でも有名な戦術家で通っている彼ですが、今日の報道によると、彼の持つノートには250もの独自で考えたトレーニング・メニューが載っているとのこと。まさに“モウリーニョ・ノート”。
250ものトレーニング・メニューがあるということは、繰り返される練習は決してないということ。
また、モウリーニョは初日からサプライズを与えてくれています。
なんと、この日。練習内容はサーキット系のフィジカルトレーニングでした。
何がサプライズか?モウリーニョといえば、“戦術的ピリオダイゼーション”と呼ばれる総合的なトレーニングを嗜好することで有名だからです。彼はトレーニングでボールを扱わないフィジカルトレーニングをしない。これは世界を驚かせた新たな価値観でした。
しかし、その“有名税”をアッサリ捨て、今季は初日からフィジカルトレーニング。確実にモウリーニョは、彼独自のプランで、彼独自の“新生・レアルマドリッド”を描いているはずです。
そして名言、語録でも有名なモウリーニョ。この日もインタビューに応え、その独自のアイデアとそのプランに関するヒントをその言葉の中に散りばめてくれています。それを訳しつつ、紐解いてみたいたいと思います。
「これまでのR・マドリッドの監督たちは、カペッロを除き皆マドリッドでビッグチームを指揮するキャリアをスタートさせようとしていた。だから監督自身が経験を積みながらマドリッドを指揮しなければならなかったし、その中で選手の尊敬を勝ち取るのにも時間がかかった。だからクラブは今回これまでに数多くのタイトルを手にしていた監督を探していた」
ここでは自分の“勝者のメンタリティ”そのものがマドリッドに変化をもたらすことを言っています。それほどまでの自分に対する自信、また選手からの尊敬を勝ち得る時間を短縮できるという計算を立てているところがすごい。そういうメンタル面でのプランニングが彼の中でしっかりできているという決め細やかさ。
「私はクラブを成功に導くよう指揮したい。マドリッドのようなビッククラブで何のタイトルも勝ち取らずに2~3シーズン指揮することはあり得ないことだ。また、CLを獲らずに10~20年指揮するようなこともね。」
「1年目に成功することは至上命題ではない。しかし私はそのようなプレッシャーに身を晒すこと、絶対勝利の必要性を説くことを好む。」
ここでは自らにプレッシャーをかけつつ、自分に責任を負っていることをしっかりアピール。こう言われたら選手も「監督が責任負うなら俺もやるしかないな」と奮起する可能性が大いにあります。監督が少しでも逃げ腰だとマドリッドに所属するようなビックプレイヤー達はその違いを肌で感じ取ってしまいますからね。
「ケディラへの関心は認めるよ。彼には成長の余地が多くある。しかしマドリッドは移籍市場の王様になりたいわけではない。CBとボランチの獲得を求めているが、破格の値段で選手を獲得したいわけではない」
これは移籍に関する現在の率直な感想。最早それほど新しく獲得する選手に固執していないよう気がします。
「人々は私のサッカーが勝利することを見飽きている。そして私のサッカーを“守備的”だという。それに対し私は三つの意見を持つ。第一にそれは事実ではない。第二に、私はそれを気にしない。第三に、“守備的な”監督は1つのタイトルを獲得するのがせいぜいであり、2つ3つ取ることは決してできない。ましてや17つのタイトルを獲得するというようなことはね。私の獲得したタイトルがすべてを物語っているよ。」
「例を出そう。昨季のCLのバルサ戦。確かに2戦目は“ウルトラ・ディフェンシブ”に戦った。しかし1戦目は“ウルトラ・オフェンシブ”に戦い、3得点を奪い勝利した。しかしそれについては誰も語ろうとしないのだ。」
個人的に、このフレーズに痺れました。「私の獲得したタイトルがすべてを物語っている」。また、“ウルトラ”という表現を使っているところにも皮肉を感じたのであえてそのままのっけておきました。こちらでは使ってもSUPER(スーパー)という表現になりますので。確かに昨季バルサ相手に3得点を奪ったのはインテルだけなんですよね。
やはりモウリーニョ。その“舌戦”だけでもエンターテイメント性に富み、スペインフットボール界を大いに盛り上げてくれそうです。それで彼、しゃべりもうまいしとっても画になるんですよね、応えてる様が。ペップもそうなんだけど。やはり今季もこの“ビッグ2”から目が離せそうにありません。