見事初優勝を飾ったスペイン。
延長の末の勝利。116分にも及ぶ激闘。決勝の相手オランダは“ファウル・ゲーム”と呼ばれてもおかしくないゲーム展開を仕掛けてきた。その狙いはズバリボールを保持し主導権を握ろうとするスペインの“リズム”を壊すこと。
思惑通り、オランダは10枚ものイエローカードという代償と引き換えに、イングランド人のウェブ主審の裁き方も加わり「ピッ、ピッ」と何度も試合を中断し、スペインのパスサッカーのリズムを崩していた。
しかしそれが目に見えて仇となったのが延長後半のヘイティンガのイエローカード2枚目による退場。残り時間を10人で戦わざるを得なくなったオランダ。
スペインは決勝トーナメントに入り、すべての試合を1-0で勝利してきている。この日も1点勝負となることは誰の目にも明白だった。
そんな中、残り4分でイニエスタのゴール。
興奮したイニエスタはユニフォームを脱ぎ、
「ダニ・ハルケ、いつも私たちとともに」
と書かれたTシャツを披露。
ダニ・ハルケとは、昨シーズン直前、心臓発作で若くして命を落としたエスパニョールのDF。エスパニョールはイニエスタの属するバルセロナと本拠地を共にする1部のチームで、もちろんハルケはカタルーニャ人。
イニエスタのゴールにより、この試合もスペインは1-0での勝利。
大会通算、計8得点はW杯最少記録。
パスサッカーを掲げ本大会に臨んだスペイン代表。パスサッカー、その本質は「ボールを失わないことにより守備の時間も少なくなる」ということと「決定的な仕事は“個の能力”というスパイスによってのみ完成する」ということにあるのかもしれないと感じさせた。
さて、また今大会を大いに沸かせてくれた予言タコのパウル君。決勝の予想も的中させ、ますます(?)その評価はうなぎ上りだが、欧州のビッククラブ、R・マドリーがその獲得に触手を伸ばしたとか伸ばしていないとか。
これでスペインのFIFAランク1位も確固としたものになるだろう。FIFAランクなるもの自体は未だにその評価基準の曖昧さが気にかかるところではあるが、スペインが世界一の国であることに今や誰も異存はないだろう。
ちなみに、大会得点王は5得点で並んだビジャ(スペイン)、スナイデル(オランダ)、フォルラン(ウルグアイ)、ミューラー(ドイツ)の4名。
ここからは各種表彰
大会MVP
フォルラン(ウルグアイ)
決勝戦MVP
イニエスタ(スペイン)
新人賞
ミューラー(ドイツ)
ベストGK
カシージャス(スペイン)
フェアプレー賞
スペイン代表
今後も追って今大会の総括を行っていきたいと思います。