オープニングゲーム。

前半から主導権を握るのはメキシコ。実力差を見せつけるように怒涛の波状攻撃。

アギーレ監督の嗜好する3-4-3システムはそれほどうまく機能していない印象。奪った時に前に3枚残っている、という意味では効果的ではあるが。

それでも前半は“個の力”で圧倒。特にドス・サントス、ベラを中心に攻撃陣が次々と南アフリカゴールを脅かす。

しかし後半、南アフリカの指揮官が的確な修正を施してくる。

南アフリカの監督は、パレイラ。過去ブラジルを率いてW杯を制したこともある名将だ。

パレイラは選手に自陣に引いてブロックを作ってからの守備を指示。プレスをかける位置もハーフウェイ付近からと前半よりいくぶん下げた。

これがメキシコのボール回しを苦しめる。3-4-3の布陣は、相手に引かれるとDFがボールを持った時に極端に言えば7人の選手が相手陣内にいることになる。前が詰まり、一人一人の選手がボールを受けた時にスペースを持って受けられない。つまり、余裕を持てない。

とりわけサイドが使えなくなったことがメキシコにとって痛手となった。ウィングとサイドハーフ、サイドに人は配置されているもののボールがそこにうまく入らない。入っても、詰まっている。

メキシコのアギーレ監督も動いてきた。

後方からのビルドアップ時のボール回しを3枚ではなく2枚で行うように変更。これにより、その前の中盤のラインは3枚で、役割は明確化される。

         マルケス      オソルト

ロドリ           グアルダード        サルシード

これにより、サイドは開いてDFを引っ張れるし、真ん中にもボランチ1枚でパスを当てやすくなった。この効果で相手FWのプレスは間を閉めざるを得ず、その結果サイドがスペースを持ってボールを受けられるようになった。

我慢の時間が続いたが、徐々にもう一度ペースを取り戻し、80分にマルケスが同点弾。

メキシコは試合を通じ、CBのスピード不足を露呈したものの、勝ち点1を取ったのは彼らにとって悪くなかったか。南アフリカは逆にスピードを活かしたカウンターと組織されたブロックがハマれば脅威になり得ることを証明した。決定力不足や最後に試合を決めきれない地力の差などは否めないが、地元開催だしダークホースとして大いに今大会を湧かせてほしい。

―この試合のマン・オブ・ザ・マッチ―


メキシコの⑱グアルダード



途中から出場して、相手ブロックの隙間に入り、ボールを動かしリズムを作った。“試合を壊す”意味を知っている選手。

ちなみにデポルティーボの選手です。ビバ・リーガエスパニョーラ!おそらく弱冠贔屓目で観ていたことでしょう(笑)しかしデポルの時もインテリジェンスがある選手だとは思いましたが、この試合は非常に良かったです。

ドス・サントスも推したかったのですが、ノーゴールでしたので。しかし、そのタレントを如何なく示してくれました。やはりバルサで18歳でデビューできるポテンシャルは計り知れず、今もなお顕在ですね。