さて。今季も先週で1季まるまる終了いたしました。

結果から言うと、僕の属するチームは8部に降格します。

そして、現時点で来季に関して僕に対する他チームからのオファーがあるかと言うと、ありません。

このままではまた来季出戻りで8部でやることになります。

ま、昨季は9部から始めましたので、1季で1つカテゴリーを上げたと思えばいいかもしれないんですが。

この6月は現チームの監督との話し合いですね。もちろん他のチームを紹介してもらう可能性もあるし、それはこれからの交渉次第。

他のチームが見つかるかもしれないし、見つからないかもしれない。それがフットボールです。チームを見つける難しさは自分自身、昨年身を持って経験していますし、痛いほどわかっています。

「せっかく7部までカテゴリー2つ飛ばしたのに。なんでまた逆戻りなんだ。入った時は中位だったんだぞ?俺はどんだけ不運なんだ」

正直そう思った自分もいました。「またか」と。


自分に降りかかってくる現実をどれだけ正確に捉え、また周囲の人に伝えられるか。これもまた本当に難しい。

日本人の無名選手がスペインの9部でやるということ。
日本人の無名選手がスペインの7部での契約を勝ち取り、シーズン途中からレギュラーを取るということ。
その中で、「職業的サッカー選手という目標を追っていく」意味と可能性。

そういったことを伝えることは本当に難しい。

感覚的に言えば、僕がこちらに来て本当に実感したのは、「実力が正当に評価されることがあり得ない」ということでした。

僕は実力的にはスペインでも少なくとも今すぐ6部、5部でやる実力を持っていると思います。そしてそのカテゴリーではセミプロとして活躍することも不可能ではありません。いや、現実的にはそれでも食っていくことは難しいでしょう。しかし、そこから4部、3部と3~4年経験とともに実績と結果を積み、評価を上げ、給与も上げながら2部、1部へとステップアップしていくことは可能だと思います。現にスペインではアマチュアになってからも、そうやってステップアップしていく選手は少なくありません。成人してからも、そういったチャンスはあります。


けれども、“日本人”というレッテルは、彼らを疑心暗鬼にさせます。

実力が同じなら、スペインで実績があるスペイン人を使う。至極真っ当な理由です。こちらでは、小学生年代からユース年代まで、すべてのカテゴリーがピラミッド型にディビジョン化されています。ですから、スペインでサッカーをやっている選手は、例えば「15歳でジュニアユース3部、18歳でユース2部でプレーしていた」というようにしっかりと経歴が刻まれています。それはスペインにフットボール文化が根付いていることの特徴で、強みです。

まったくスペインでの実績を持たないが選手としての資質を備える日本人選手と、スペインで(それほど飛び抜けた実績でなくとも)そこそこの実績を持ち同じ程度の資質を備えるスペイン人選手がいたら、どちらの選手を取るでしょうか?答えは言わずもがなです。

だから、僕は日本人の自分は自分の実力よりカテゴリーを1つ、2つ落として結果を出して見せつけるしか方法がない、という結論に至りました。

それは難しいことです。とても難しい挑戦です。

しかし、スペインに来て、今でも挑戦を続ける決定的な理由が一つあります。

それは、「結果に対するシビアな評価」です。

結果に対して、曖昧な評価がないのです。それは、どのカテゴリーでも同じです。

9部で10点、20点取れば、8部のチームが評価してくれますし、もし30点取れれば7部のチームが評価してくれる可能性も生まれます。そういった意味では、スペインはチャンスに溢れていると思います。

その中で、違う現実がまた起こってきます。自分が結果を出していても監督に使われなくなったり、チームメイトからパスが来なくなったり。僕は9部でプレーしているとき、現に点を取れば取るほど、南米人のチームメイトを筆頭にパスが来なくなり、ハブにされることが多々ありました。試合中も全くパスが来ないこともありました。露骨に「お前になんかパスしない」と言われたこともあります。

それでも9部で前期のみで12試合で10点叩き込みました。それで、知人を通じて紹介してもらった7部のチームでトライアウトをして、そのチームと契約しました。道は、切り開かれました。

僕がここで思うのは、「結果を出せば道は切り開かれる」ということです。また、「結果は積み上げ続けて行かなければならない」ということもあります。

9部で10点
7部で8点
8部で13点

こんな3シーズンを過ごすと、それがしっかり実績となります。

そして、思いもよらず7部や6部、5部のチームのトライアウトなどといったチャンスが巡ってきます。あとは、それを5部、4部、3部と続けて行くのです。

無論、カテゴリーが上がれば上がるほど競争率は上がります。結果に対する評価はシビアになります。

時間のかかる挑戦になると僕自身は思っています。無名の日本人にとっては。僕自身、どこまで行けるかわかりませんが、日本にいた頃(新潟時代)Jユースや全国クラスのチームメイトと同じピッチに立っていた誇りを胸に、自分くらいの実力でどこまで行けるか挑戦したい、すべきだと思っている自分がいます。
時間がかかっても、実績を積み続ける。そしてその間、人脈を広げていく。そして、チャンスは突然やってくる、と思います。その時に、どれほどの実績を積み上げているか。僕の中で、勝負はそこです。

「結果に拘る」。これが最大のテーマです。

スペイン人に対し、日本人や外国人が差別化できる点と言えば、「結果を出す」という点しかないと、今僕は考えています。「アイツは、点を取る」。だから、契約する。これです。これしかありません。海外に行った日本人選手が、「ゴールしか評価されない」というのがよくわかります。

これを胸に、どのカテゴリーであろうと、自分は結果を出すことに集中しようと思っています。