014さんから「スペインの守備組織について知りたいです」とのコメントがありましたので、今回は先日聞いた興味深い話を記事にしてアップしたいと思います。
「日本のプレスは、海外の選手にとってはプレスになっていない」
いきなりすみません。
少し大げさに言いましたが、こんな現状があります。
僕たちが「プレスをかけている」状態が、彼らにとってはまったく意味のない状態であることが多々あります。
昔バルサのカンテラで指導をしていた経験を持つあるスペイン人は言いました。
「日本の選手がプレッシャーをかけた時に、スペイン人にとってはプレスがかかっていない状態である時が多々ある。つまり、日本人選手が、相手のボール保持者にプレスをかけた時の間合いの距離が1メートルだとする。しかし、実際は1メートルの間合いがあれば、スペイン人の選手は選択肢を削られることがない。ドリブルも、パスも、シュートも選択することができる。これでは、プレスがかかっていることにはならない」
つまり、50㎝の距離まで詰めなければならない、ということです。
当然ここではわかりやすくするために具体的な数字を上げていますが、実際の距離感覚は試合や相手によって変わるものですし、一概に数値化できるものではありません。
しかし、感覚的に僕らが「これでプレスがかかっている」という状態よりも、1歩2歩詰めなければならない、というのは絶対的にあると思います。
だから、日本のプレスが連動して90分間この距離を保ち続けるのは「ほぼ不可能」だと思います。これは正直僕の考えで≪日本がW杯で勝てない要因≫の一つなのですが、そこは今回は保留しましょう。
では、世界各国はどうしているか。
「プレスに行くときに、行く」
ここです。
彼らは、試合中プレスに行っていないように思えるときでもおそろしく狡猾に、そしてしたたかにボールの行方と敵の状況を監視し、「隙あらば」一気にこの距離を詰め、ボールを奪取します。
だから、「連動して奪う」とか「1対1で奪う」とか、そういった概念ではなく、根本的に「守備の狙い所」を個人個人が体で知っています。
よく言われる「チームのボールの奪い所」というのを統一するのは、この基本ができた後の話だと僕は思います。
サボっているように見えて、彼らは試合中常に頭を働かせ、「ここ」というときのためにエネルギーを蓄え、一気にその力を爆発させます。
「90分間、犬のようにボールを追いかけ回す」
これは最早、フットボールではありません。別のスポーツです。
この“新型プレス”(現在命名。間合いを詰めたプレスのことです)のメリットと注意点。それを次回考察してみたいと思います。