さて。Gさんがアシスタントコーチを務めるエスパニョールのユースのダービー戦を生観戦してきました。

外から見ていた率直な感想は、

「高校生がフットボールの試合を展開をしている」

というものでした。


たぶん来た頃の自分じゃそのすごさはあまりよくわからなかっただろうな、と思います。

今ではピッチレベルで俯瞰してみて、あの速さと状況判断のすごさ、試合を通しての駆け引きや潰し合いにとてもレベルの高さを感じました。

いくつか僕個人の気付いたポイントを。

①バルサのラインの上げ方、DFの剥がし方

②試合を“壊す”ことのできる選手たち

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①に関しては、おそらく「パス・サッカー」への誤解を生んでいる人には目から鱗の話になるかもしれません。

バルサのサッカーは、その細かくつなぐパス回しに真髄があるわけではありません

これはどういうことかというと、「いかに“個”がボールを運ぶか」ということが試合の流れを変えるからです。

この日のバルサのセンターバックは二人ともU-19スペイン代表に入っているセンターバックでした。

彼らの何が優れていて、何が評価されているかと言えば、おそらくその一つにこの「ボールを運べる能力」というのがあるでしょう。

特に右のCBを務めたゴメス。

バルサは前半の最初こそサイドをワイドに使った攻撃とウィングの突破力、またロッチーナという素晴らしいFWのボールの引き出しでタテパスをうまく入れてチャンスをつくりましたが、エスパニョールも前半途中からそれを読み始めて徐々に攻撃を寸断。ハーフタイムにおそらくラモン・ゲレーロ監督からの修正の指示もあり、後半は完全にその攻撃パターンをシャットアウト。

中盤でGAPをつくらない守備に、タテパスはうまく入らなくなりました。すると、必然的にボールは前に運べませんので、サイドにワイドに展開してもエスパニョールDFの枚数は揃っているため攻撃は難しくなります。

そこで、このゴメス。

自分にプレッシャーがかかっていないと見るや、すかさず相手FWライン、さらにはMFラインをドリブルで運んでラインを上げる

ここで言う「ラインを上げる」とは、攻撃時のボールの位置です。

DFライン

MFライン

FWライン

この3ラインのどこかにボールがあります。

これを、このゴメスは



バルサDFライン
        ↓
エスパニョールFWライン

        ↓
エスパニョールMFライン

        ↓

と、エスパニョール側の2つのラインを個人で突破。

これは「ドリブルで抜いていく」というイメージではなく、「タテのGAPと横のGAPをドリブルで運んで行く」というイメージです。普段イメージするパス。それは、どこかしらのGAPを通して成立するものです。相手FWラインとMFラインのタテのGAP。相手ボランチ二人の間の横のGAP。そこを通すのが一般的に言われる「タテパス」「クサビ」というやつですね。

それを、ドリブルでやろう、と。

そんなの可能なの?

はい、可能です。

試合の流れ、各選手のポジショニングをしっかり頭で把握しておけば、これはそんなに難しい話ではありません。

ピケとかもよくボールを奪って、簡単に見える味方にショートパスせずにダイナミックに持ちあがる時が結構ありますよね。ああいったイメージです。

映像が今度見つかれば、貼り付けたいですね。

それにより相手DFはそのドリブルに対応せざるを得ず、引き出されます。ここでパスを出すと、かなり優位な状況がチームに生まれることになります。数的優位や1対1の状況を創りだすのがより容易になるんですね。

これができる選手は、優秀だな、と思います。賢くて、よく観えている選手だな、と。


②の“試合を壊せる選手たち”については・・・

また次回。乞うご期待。