前々回書いたように中村俊輔に関して、
“なぜ、中村俊輔はスペインで成功できなかったのか”
という命題でポイントを絞って意見を述べて行きたいと思います。
なぜ、この命題を選んだのか?
→それは、一口にW杯を3ヶ月後に控えた今、世界における日本サッカーの現実を浮き彫りにしたかったからです。
それでは、行きます。
まず、初めに言います。
「中村俊輔は現在日本でNo.1の選手である」
これは、明らかに事実です。
誤解のないように、スタート地点をハッキリさせておきたいと思います。
それでは、今回のポイントを。
①世界における“日本人”という名のハンデ
②世界における“日本人”の商品価値
この二つを軸に、今回は紐解いていきたいと思います。
まず、①について。
“日本人”。これは、世界のサッカー界において、それだけでハンディキャップです。これは明白な事実。それはなぜか?そう決まっているからです。
例を出します。
あなたは日本人です。日本の国技の一つと言えば?
“野球”です。
想像してください。
あなたは町でも有数の強豪の野球チームにいます。そこで、ある日練習前に監督がヨーロッパ顔をした人を連れてきてこう言いました。「今日から1週間、練習生としてうちでプレーすることになったスペイン人のフラン君だ。もし良ければその後登録、みんなとレギュラーを争うかもしれないぞ。うちもこれから競争意識を持って行かないといけないからな。」
あなたはこう思うでしょう。
「こいつ、球投げれるの?打ち方知っているのか?スペインって野球やっている奴いるのか?」
これは、ごく自然な帰結ではないでしょうか。
それはなぜか?
需要がないからです。日本でプレーしているヨーロッパ選手が圧倒的に少ないからです。
もっと言えば、“視覚の問題”。日本のプロ野球界で一体何人のヨーロッパの選手がプレーしているでしょうか。僕も明確には知りませんが、ほぼゼロに等しいのではないでしょうか。それはつまり、あなたが日常で“野球をプレーするヨーロッパ人”を目にしないことを意味します。
その結果、ヨーロッパ人を見ると、「こいつに野球ができるのか?」という価値観が生まれてくる。それはあなたが知らないからです。あなたの思考の領域に入っていない出来事の一つなのです。
ここで、日本人が陥りがちな誤解を一つ。
日本はW杯に出ています。確かにW杯は世界大会です。なので、W杯に出れば多少は世界の知名度が上がる、と日本人の皆さんは考えがちです。しかし、それが大きな落とし穴です。
世界の国々は、それほど参加国に興味を持っていません。それは、W杯には“地域格差を埋めるために”出場を許されている国もある、ということが歴史上暗黙の了解であり、事実であるという見解があるからです。
では、また例を出します。
あなたは自宅でオリンピックを見ています。日本期待の女子フィギュアスケート。メダルをいくつ取ることができるか、胸が高鳴ります。そんな日本の選手の滑走順は19番、22番、25番。さて、それまではチャンネルを変えてバラエティでも見ようかな。あっ、裏番でさんまの特番がやっている。やばい、おもしろい。ビデオ撮ろう、えーっと、TBSをビデオ設定して、20:30からでいいや。あれ、誤操作?めんどくさーい、やり直し。あーあ、最初から。ええと、あっ、やばい、フィギュアの日本選手の番が始まっちゃう!フジテレビ、フジテレビ!
この動作の間、あるセルビア・モンテネグロの選手がとても美しく優雅な演技をしました。その場にいた観客の中には、十分な感動を受け取った方もいたでしょう。彼女の順位は17位。そうか、うん、仕方ない。初出場だし、セルビアは別にフィギュア強くないもんな。そんなことより、日本日本。がんばれ、日本!
ほぼ100%あなたはこのセルビア・モンテネグロ人のことを明日忘れているでしょう。おそらく名前も覚えてはいないはずです。
日本サッカーとは、サッカー界において世界でこのような位置づけである、ということを改めて認識していただきたいのです。
さて、あまり長文になってもあれなので、今回はこの辺でおいとまします。少しまとまりがありませんが、“日本サッカーの現実”のさわりの部分はわかっていただけたのではないか、と思います。これから、少しずつ深くしていきたいと思います。