「中村俊輔、横浜マリノスに完全移籍で合意」
こんな報道が、早くも日本を騒がせているのではないでしょうか。
僕自身、Googleやmixiなどのニュースでトップに扱われたこのニュースに、少し驚きを隠せずにいます。
現地でのエスパニョール側の反応では、今日付けの新聞でさえ「まだ決まっていない」という風潮です。
いつも思うのは、この“移籍”というものは、思った以上に実体がなく、確証を持つまでに多くの時間を要することです。確実に「移籍が決まった」という事実は、なかなか実際的な効果を発揮するまでに時間差があるような気がします。
現実的な意見。現時点では、まだ移籍は決まっていません。
事実関係・問題点を確認しましょう。
・エスパニョール側との契約が、あと1年半残っている(2011年6月まで)
・すなわち、現時点での移籍は“契約違反”であり、“違約金”が発生する
・スポンサー問題。“スバル”(あえて社名を出させていただきます)のCMに出演してしまっている中村俊輔が“日産”をスポンサーに抱える横浜マリノスでプレーすることによって社会や消費者に与えるイメージ戦略が崩れてしまう。
ネックとなっていたのは、やはり「日産のメンツ」ではないでしょうか。スポンサーに関する問題が強く残っていたような気がします。
ただ、この状況は、日産にとってプラスな側面が大きく打ち出されたのではないでしょうか。
というのは、
・中村俊輔はエスパニョールで試合に出場していない。
・日本代表の中心選手である
・6月にW杯を控えている
つまり、今中村俊輔を保護するように獲得してマリノスが受け入れれば、
「日産はスポンサー問題で一度は裏切られた中村俊輔を、本人が不遇な状況に置かれ苦しんでいるときに、手を差し伸べ自分たちのメンツを崩してでもスポーツ選手を擁護する懐の大きさを見せた」
という思惑が達成されます。
それに呼応し、マス・メディアも中村俊輔の日本復帰をプッシュ。やはりここ最近不甲斐ない試合を続ける日本代表に“核”となる中村俊輔が調子を落としてはW杯に期待を抱けませんし、ファンも世論も盛り上がらない。
そこで、日本でも早めの報道で、
「移籍が決まった」
と大々的に報道することで、エスパニョール側にもプレッシャーをかけて中村俊輔の日本復帰を猛プッシュしている状況ではないでしょうか。
エスパニョール側は、試合に出ていない中村俊輔の状況を理解し、お金の問題さえクリアできればとりわけ放出には肯定的です。
はっきり決まるまでにはまだ少し時間を要すると思いますが、最後の詰めの部分を見守りたいと思います。