バルサを見て。エスパニョールを見て。スペインでサッカー選手として挑戦していて。


「日本とスペインの差」とは、一体なんだろう?


と、やはりふと考える。


技術?戦術?才能?身体能力?優れた指導者?


どれも正解かもしれない。


しかし、僕はスペインで2年プレーした経験から、たった一つのシンプルな答えを、自分なりの答えを導き出すことができる。


それは、



「ハート」



気持ちを前面に押し出して、戦う気持ち。フットボールに賭ける、熱い想い。


彼らは、それを常に前面に打ち出してフットボールに臨む。




例えば、エスパニョール。


戦力的に言えば、リーガでも降格圏内を彷徨い続けてもおかしくないし、1部と2部を行ったり来たりのクラブであってもおかしくない。しかし、彼らは1部に居続ける。


彼らの試合を見ると、本当に「フットボールをすること」の意味を考えさせられる。泥臭く、身を投げ出して、戦い続けるその姿勢には、見る者を感動させる何かが常に宿っている。



そして、バルサ。


これは世界でも1番の特殊なチーム。


確かに、リーガでは60~70%のボール保持率を誇り、相手をいわゆる“チンチン”にして圧倒的に美しく勝利するフットボールを展開することも多い。


しかし、こと実力の拮抗したチームとの試合を見てほしい。


CLでチェルシーと試合をする時とか、マンUと戦う時。


もっと言えば、クラシコでR・マドリーと対戦する時。


僕がこちらに来て最初のクラシコで一番衝撃的だったのが、あのチャビが、デコ(当時バルサ)が、額に汗水たらしてプレスに奔走している。泥臭く目の前のボールにスライディングしてルーズボールをマイボールにしようとしている。バチスタやスナイデル(ともに当時マドリー)にボールを奪われ、鬼のような形相でボールを取り返しに厳しいタックルを仕掛けている。


余裕のなくなったチャビを初めて見た。そして、衝撃だった。「チャビは、あんなにも戦える選手だったのか」と。



例えば、日本人の選手がこちらに来てスペイン人と一緒にプレーするときに、一番見られているのはそこなんだと。


つまり、「ハート」



「戦えるかどうか」



極端な話、ある程度ボール扱えて、走れて、戦えればそれでOKだと。


戦術云々、その後のことは、その後どうにでもなる、と。大げさに言えば。


でも、これが日本人選手の難しいところで、いざあんなにも激しい試合に入れられて「はい、どうぞ戦ってください」と言われても「戦い方」がわからない。


これについては、また今度語ることにします。



今回は、とにかく「ハート」「戦う」


根性論でも精神論でもなく、このキーワードを海外サッカーを読み解く鍵の一つとして、心に留めておければ、と思います。