今日は僕個人のことを少し。


この冬、リーガでは様々な変化が起こります。選手の入れ替え、監督の交代、フロントの異動・・・


それは僕が所属しているようなアマのリーグでも同じです。





僕のチームでは、第二監督が代わりました。それを僕らが知らされたのは、この前のウィンターブレーク明け試合当日。


「こいつはアルフォンソ。今日からうちの第二監督を務める」


試合前、そんな素っ気ない自己紹介とともに、以前ならしなかった入念な戦術とセットプレーの確認をミーティングで行う。


その分、アップの時間は削られる。


「そんな戦術とか、このレベルに守るヤツは一人もいない。みんな好き勝手にプレーするだけさ。いいからアップの時間を削らないでくれ」


いち選手として、試合前から不信感と不満が募る。



試合開始後、いつも以上に俺に指示が飛ぶ。


「うるさいなぁ。どうした、今日は。いつも通りやるよ。結果は出すから心配するな。俺はいつもそうやってきただろう」


ピッチ内でそう呟いた。


やたらと口うるさく言われているのは、守備時のポジショニング。端的に言えば、「もっと戻れ!」


俺は4-4-2のサイドハーフ。しかしここまでは、前目にポジショニングを取ってきた。それは、ゴールをするため。その成果もあり、俺はここまで11試合9得点でチーム得点王だったし、チームで一人だけ全試合フル出場していた。


結果を出しているから、俺が絶対的な存在である。それは、海外では当然だ。




その俺が、なぜ一日しか来てない第二監督の戦術に言いなりになる必要がある?


ない。


俺は、判断した。


ここまでの11試合、俺はそうやってチームを引っ張ってきた。11試合で9得点のサイドハーフ?どう考えても孤軍奮闘だろうが。


FWより点取ってるやつがなぜわざわざバラバラな守備の戦術に応じる必要があるんだ。理解しない。




しかし。


俺のコーナーのミスキックから、カウンターで1失点。何度も叫ばれる「戻れ!」のベンチからの指示。逆サイドにボールがあるときまで必要以上に下がる意味はあるのか?葛藤は続く。


相手のコーナーキック。


人数が足りていると見た俺は、高めにポジショニング。そこに、ファーサイドにボールが流れてきた。確かに、逆サイドのハーフがいるポジション、つまり俺のところだった。


「YASU,今のはお前だ!!」


ベンチからの声。



なぜ。


なぜだ。なぜ俺ばかり?


なら走らないFWに言ってくれ。走れ、と。サイドハーフより点を取れ、と。


ボールを失うボランチに言ってくれ。ボールを失うな、と。


軽々とかわされるDFに言ってくれ。我慢しろ、と。




俺は、前半で交代させられた。


ポルケ?


なぜ?



体中を充満した一酸化炭素のような不純物が、一気に爆発した。


俺はロッカールームで不満をぶちまけた。

「ノーエンティンド!ポルケ メ カンビアス!シエンプレ メ ディセス クアンド ファジョ、ペロ ノ ディセス ナダ クアンド オトロス ファジャン。イ ポルフィン メ カンビアス! ノ エンティエンド ナダ!」

・・・・・


「ナダ!!!!」


ユニフォームを1枚1枚脱ぎながら床にぶちまける。スパイクも床に投げつけた。






チームは下位のチームに2-3で敗戦。



チームにもグループにも、変化は必要だ。変化が起きた時、癌となるのは確かにある意味では俺のような選手だ。結果を出しているが、エゴに走る選手。


それは、リスク。でも、そうしなかったら上には行けない。



俺を代えるのも、一つの手段だよ。荒療治だけどね。


でも、負けた。たった一つの事実。負けたんだ。




勝たなきゃダメだよ。上に立つ人間は。特に最初の試合は、俺ら選手はすごくよく見ているよ。だから、勝たなきゃいけなかった。彼は。俺を納得させるためにはね。


これで方針は決まった。彼は勝てない人間だ。俺は、勝てない人間と仕事をするつもりはない。俺は勝つことしか考えていない。そうじゃなきゃ海外でサッカーなんてとてもじゃないけれどやっていられない。



俺は、俺のプレーを続ける。


しかし、葛藤は起こる。




彼が落としたいチームコンセプト。「守備に戻れ!」

俺のプレー、エゴ。「前にポジショニングして、ゴールを奪う、得点に絡む。」



アマチュアの一チームだからこそ、起こる葛藤。「絶対勝利」ではなく、「チームの方針」。そこが甘さであり、趣味の範囲であり、彼らの利己である。



変化に対する葛藤。




合わせるべきか?


貫くべきか?