バルサ、ホームで1-2の敗戦。 メンバーも大幅に入れ替え、相手はリーガトップ4の実力を誇るセビージャ。


≪悪いバルサ≫ この日のバルサは悪い時のバルサ。このブログにも何度か書いているように、メッシが中盤に引いてきてしまう。それによって前線に深みを作れなくなり、中盤のスペースは潰れ、サイドバックは高い位置を取りにくくなる。


≪マクスウェルのポジショニング≫ バルサの高いボールポゼッションからいかに攻撃に厚みを持たせるか。それにはサイドバックが高い位置を取ることが必要不可欠だ。バルサの中盤は3枚。その3枚にボールが入った時には両サイドバックがサポートに入ることによって、中盤を4枚、5枚という“数”に揃えなければならない。それでいて、さらに前線のウィングにボールが入った時には、そのウィングを追い越してサイドで“2対1”の数的優位を作らなければならない。マクスウェルはその辺のグアルディオラの戦術理解度が低いように思える。これを90分間続けられる運動量と戦術理解度を誇るのがアビダル。この2人の差はバルサにおいては思った以上に大きい。


≪“Crack”の不在とオーガナイザーの欠如≫ バルサのサッカーを支えているのは、何といっても「最後の崩し」を“個”で打開できる“Crack(最高級の選手)”の存在だ。それはメッシであり、イニエスタであり、チャビである。この日はチャビは先発から外れお休み。その中で、“中盤の組織力”と“Crackの真価”が試された。


結論から言えば、このペップの試みは失敗に終わった。この敗戦はあまりにも痛い。 前述したように、メッシは自分を見失い好き勝手なプレーに走る。イニエスタは翌日の新聞ではチーム一の評価もトップ4の強さを誇るセビージャを個人で圧倒するには至らず。この日のバルサの“Crack”たちはその輝きを存分に示すことなく終息した。 チャビがいなかったことで、やはりバルサの中盤の構成力は劣った。マルケス、イニエスタ、チアゴの織り成す3枚の中盤は、“構成力”とは程遠いゲーム展開しか示すことができなかった。チアゴはこの日トップデビューを果たした18歳の若き至宝。リーガ随一のセビージャを相手にあれだけの堂々としたプレーを披露したことには拍手を送りたい。マルケスは久々のボランチ。やはりブランクが長すぎた分感覚を失いすぎていた。イニエスタはゲームを構成するタイプではなく、やはりもうひとつ前で決定的な仕事をするタイプ。


≪“3冠”を達成するための分厚い壁≫


“3冠”。去年前人未踏の偉業を達成してしまったバルサには、否が応にも周りの期待が圧し掛かる。ここの人々が夢見るのは、“2年連続3冠”。 ペップも、選手もわかっている。「それは、とても難しい」。 去年はすべてがうまくいきすぎた。 3冠を達成するには、サブの選手層や強大な運も含め、膨大な力を必要とする。


しかし、今のバルサは世界中のサッカーファンの期待を背負っている。だから、国王杯でセビージャのような強豪を相手にしても、サブの選手で戦って、勝たなければならない。そうやって挑戦しないといけない。 それを全員わかったうえでの、挑戦だった。 まだアウェーでの2戦目が残っている。アウェー方式での1-2の敗戦はやはり痛い。 しかし、今のバルサにはまだ世界中のサッカーファンを期待させてしまうだけの“何か”が宿っている。 今週の水曜日、22時キックオフのセビージャでのアウェー戦で、僕はその“何か”を見届けたい。