先週のリーガのバルサ対サラゴサをカンプ・ノウで観てきました。


お仕事の関係でパスをもらい、一番上の席で閲覧(なんのお仕事かは言えませんね・・・フフフ)


6-1という大差がつきましたが、あえてその中での「現場の流れ」から則して意見を述べたいと思います。



≪遅く、詰まってしまうバルサのリズム≫


正直、前半の20分までの重苦しい雰囲気は、昨々季までの「回すけど勝てないバルサ」をファンに連想させてしまったと思います。終わってみれば大差でしたが、それを楽観できるほど、やはり今季のバルサは調子が良くないと、僕の目には映りました。


サラゴサはいつもなら4-2-3-1のシステムなんですが、この日はバルサがボールを保持することが分かり切っていたので、特に守備時は4-4-2の3ラインを形成し、横と横の幅をなるべく狭くしてGAPを作らずに、タテへのボールをシャットアウトしてできるだけバルサの自陣寄りでボールを回させようというコンセプトだったと僕は思います。そしてうまく網を張った中盤のゾーンでパスをカットし、バルサのサイドバックが上がった裏を突く、というのが大まかな狙いだったように見えました。


そのサラゴサの守備体型に、バルサのボールを回すリズムは悪く、ピケやシャビがパスコースを探す場面が多かったように思います。



≪グアルディオラのビルドアップの戦術―2+1のDFラインでのボール回し―≫


チャビの最近のコンディションが悪い。彼が調子が良ければ、彼は一人でゲームをオーガナイズする能力があります。一人でゲームを司れます。


しかし、現状はそうじゃない。疲労から来るチャビのコンディションの悪さはやはり相当なもので、この日も全くゲームをオーガナイズできず、バルサのボール回しは停滞。


そこで、普通の監督なら、「チャビ、なんとかしてくれ!」と、チャビ依存症に頼ってしまうところ、ペップは違いました。


この日中盤の底に入ったブスケッツが、2人のCB、ピケとチグリンスキの間に入ってDFラインを3枚にしてビルドアップ。これには、相手の2トップに対して3対2の数的優位を作る、という狙いがあります。そしてこれにより、両SBはより高い位置が取れる。そうすることによって、今度は中盤のゾーンで数的優位を作りやすくなる。


この戦術は的中し、チャビがボールを受けなくても、バルサはゲームをオーガナイズしていきます。



≪Faltan los cracks (選手の質が足りない)≫


昨季のバルサがなんであんなに強かったと言えば、ひとえにメッシが幾度も膠着状態を打ち破ったからで、チャビが何試合もゲームを司ったからで、イニエスタが何度も決定的な仕事をしたからです。つまり、このCracks(スペイン語で「最高級の選手たち」)が、パフォーマンスを上げないと、やはり状況は打開できません。


どんなにボールを回しても、やはり最後に試合を決定づけるのは、「個の力」です。「タレント」です。


今は、メッシ、チャビ、イニエスタ、この3人のコンディションが悪すぎる。メッシはこの日も以前なら簡単に決めていたであろうシュートをいくつか外す場面もあり、チャビもイニエスタも信じられないようなボールの奪われ方をしていました。



≪「俺らがいるぞ」≫


その中で光っていたのは、言わずもがなのイブラヒモビッチとケイタ。イブラはここ数試合、ようやくエゴを出し始め、自分の存在を強烈にアピールしています。


30m級のFKも、ファウルになった瞬間、自らボールを取り蹴る意志を示しました。自信があったのでしょう。そして何より「俺がやる」という気持ちの強さが前面に出てきたのは、良い傾向です。彼も、一人で試合を決定する力を持ったタレント。Crackの一人ですからね。


ケイタは、「点が取れる」というところでバルサを助けています。昨季も冬の天王山の第一戦、アウェーでのビジャレアル戦で先制され嫌な雰囲気になったところ、彼がゴール前際どいところに飛び込んでヘディングを決め、試合の流れをバルサに持ってきたのでした。



≪リーガとCLの狭間≫


リーガは今季もこのまま行けば順当に手中に収める可能性は高い。ただ、CLの方は・・・こういう「リズムの悪いバルサ」が顔を出すとすると、まずそうだ、というのが今の僕の意見です。ルビン・カザン戦はそれがモロに出てしまったので・・・


まぁサッカーにおいて予想するなんて言うのは、暇人のやることなんですがね。僕の余興では、今季はバルサはリーガの1冠のみ、と踏んでいます。