セビージャV.S.R・マドリー


先週末行われたリーガ・エスパニョーラ第6節、注目は何と言ってもこの大一番でした。

セビージャのホームスタジアム、この最も典型的なスペイン型のチームが勢いにのります。


≪J.ナバスとペロッティというCRACK≫

この日のマン・オブ・ザ・マッチに輝いたといっていい働きを見せたのがセビージャの右MF、ヘスス・ナバス。

セビージャの右サイド、マドリーの左側のサイドを完全に制圧。マドリーの左SB、ブラジル代表のマルセロを子ども扱いするような突破、クロス。なによりも貪欲にシュートを狙う姿勢とゴールという結果。

スピードに乗ったドリブルと正確なクロスでスペインでも有数のアタッカーとして名を馳せているJ.ナバスも、この日の試合でまたひとつ上のステップに昇ったことを証明した。

昨年、リーガ最多アシストを記録した23歳の若者は、この日さらにもう一つの側面を見せつけた。「ゴール」の味を知ったこの「弓矢」は、さらなる進化の可能性を新銀河系軍団に見せつけた。


そして、セビージャの左サイドにはペロッティ。


10代の頃からスペインに渡り、セビージャの下部組織でめきめきと頭角を現した現在21歳のアルゼンチン人は、サッカーの神様・マラドーナの母国が生んだタレントを如何なく発揮。そのポテンシャルは、銀河に渡る眩い輝きを放つ11の才能に互角に張り合えるその片鱗を随所に見せた。




≪これぞスペイン、サイドアタックの嵐≫


この2人のCRACKを起点に織りなされた美しいスペイン伝統のサイドアタックが何度も銀河系軍団に襲いかかる。


GKがスペイン代表のイケル・カシージャスでなければ、あと3点はゴールを許し、もっと無様な醜態を銀河系軍団は曝け出してしまっていたことだろう。


高い位置に陣取ったJ.ナバスとペロッティに、センターハーフのソッコラとレナトが次々とボールを配給。この2人のCRACKは時に個で打開を図り、時にボールをキープして両サイドバックのアドリアーノとナヴァーロの上がりから数的優位を利用しより深い位置からエグリ取るようなクロスをゴール前の危険なポイントに送り込む。そこに2トップのルイス・ファビアーノとネグレド、さらにはセンターハーフのレナトまでが空いたスペースに勢いを持って飛び込んでくる。


セビージャの1点目などはまさにサイドアタックのお手本のような形で、左サイドの高い位置でボールを受けたペロッティがドリブルで仕掛け、そのタメていた間タイミングにすかさずナヴァーロがサポートにオーバーラップ。ペロッティはマークに来た2人を嘲笑うかのようにヒールパスをナヴァーロに送り、そのフワリとしたクロスにこれまたこの時間を利用して猛スピードで上がってきた逆サイドのJ.ナバスがヘディングを叩き込んだ。


これほどまでに綺麗なサイドアタックはそうお目にかかれない。それをこの大一番、新銀河系軍団相手にやってのけてしまうところにこのセビージャというチームの強さがあり、脈々と流れる哲学とエッセンスが示されている。




≪現在世界最強のバルサ、新銀河系軍団のR・マドリーという2強の構図に割って入れるか≫


今季のリーガ・エスパニョーラは間違いなくこの2強を軸に展開していく。


ただ、この2チームだけでリーガを独占されてしまったらくそおもしろくもなんともない。


この2強に割って入れる可能性を持つのは、十分なタレントを抱え、なおかつ脈々と流れる哲学とポリシーに貫かれたチームのみだと思われる。


そこに、このセビージャというチームが、ダークホースとして今季を盛り上げてくれることを期待している。