今日は先日観た「R・マドリーV.Sマジョルカ」の試合から、サイドアタッカーというポジションの解析をしてみたいと思います。
その試合、僕はロッベンだけを見ていました。ロッベンが何を考え、どう動き、何を創造するのか。そこに視点を置きました。
ロッベンの動きは6つに分けられました。(攻撃時)
①中盤で足元でボールを受け、ドリブルで前にボールを運ぶ
②中に絞ったポジショニングで、SBのためのスペースを創る
③裏のスペースに抜け出す、飛び出す
④中央にポジショニングし、中盤のゾーンでの数的優位を創る
⑤高い位置でボールを受け、突破orチャンスメイク
⑥中盤で足元でボールを受け、キープして基点になる
このデータを取り、興味深い事実が浮かび上がってきました。
みなさん、ロッベンというと、どんなイメージをお持ちでしょうか?
「ドリブラー」
ではないですか?
確かにロッベンのドリブルはすごい。速くてうまい。リーガでも抜群のドリブラーです。
だから、このデータを取っている最中は、てっきり「足元でボールを受けてドリブルを仕掛ける」という場面が顕著に出てくると思っていました。
事実、やはり一番多かったのは
⑤高い位置でボールを受け、突破orチャンスメイク
でした。
しかし、次に来たのが、
③裏のスペースに抜け出す、飛び出す
だったのです。
そこに注目してみていると、ロッベンの裏に動き出すタイミング、速さ、動き。そういったものがこれほどまでに秀逸だったとは。
僕の中では新事実でした。
「ボールの扱いがうまく、ボールを持った時に何かができる選手は一流。だが、ボールを持たないときにも何かができる選手を超一流と呼ぶ」
そんな言葉が脳裏を過ぎりました。
ボールを持っていないときに、あれだけ相手のDFと駆け引きをしているから、ボールを受けた時は既に優位に立っている。ボールを受けた時に優位に立つための努力を一切怠らない。
リーガ・エスパニョーラのDFはものすごく激しく、汚く、そしてうまいです。例え下位のチームであっても、1対1に強い優れたストッパー、SBが揃っています。
そんなDFたちが、相手のチームの中心選手を削るときはそれは容赦ありません。徹底的にきつく激しいマークを90分間やり続けます。
そんなDFたちの密着マークを少しでも和らげるために、チームの中心となるようなアタッカーたちは「オフ・ザ・ボール」の際も秀逸であることをいつからか義務付けられ、体で覚えてしまったのでしょう。故に、この国には優秀なサイドアタッカーが後を絶たず輩出されていきます。
「優秀なBANDA(サイドアタッカー)かどうか見極めるには、ボールの受け方を見ろ」
そんな視点を持ち、これからも「サイドアタッカー大国、スペイン」のサイドアタッカーたちを解析していこうと思います。