バルセロナの本拠地カンプ・ノウで迎えた第1戦。
バルセロナはいつも通りの4-3-3の布陣。いつもと違うのは、キャプテンのプジョルが先発しなかったこと。予想では左SBのはずだったが、左にはアビダル、2センターはマルケスとピケ、右にダニ・アウベスという形で試合は始まった。GKはビクトル・バルデス。
中盤には、いつも通りヤヤ・トゥーレ、チャビ、イニエスタ。3トップは今季絶好調の3人。アンリ、メッシ、エトー。
対するチェルシー。こちらはアウェーでの1戦を見据え、名将ヒディンクがバルサの攻撃力を封じる一手を打ってきた。いつもは2トップでアネルカとドログバを併用するところを、この日はドログバの1トップ。中盤にマルダ、フィジカルに優れるバラックとランパード、更に守備要員としてミケルとエッシェンをダブルボランチに置いてきた。
DFラインには、右に高さのあるイバノビッチ、左にはメッシ対策でスピードのあるボジングワ、センターにジョン・テリーとアレックスが位置し、その後ろにGKのチェフが構える。
試合は、ボールを支配するバルサVS守備からカウンターを狙うチェルシーという図式で始まった。
恐らくヒディンクが警戒するのは中盤のイニエスタの創造性。そして、バルサの右サイドのメッシの突破力とダニ・アウベスのクロスが生み出す破壊力だ。
なので、メッシがボールを持つと、ボジングワが対応するのと同時に、必ずCBがカバーリングに入り、常に1対2の状況を作る。そこで、中盤はラインを引き、ペナルティエリアのラインに綺麗な横一列のラインを形成する。そうすることによって、バルサの得意な中央でのワン・ツーやスルーパスからの中央突破をブロックしようという狙いだった。
中盤でイニエスタがボールを持てば、たちまちバラック、ミケル、エッシェンがプレスをかけ、自由を奪う。メッシは流石に1対2に不利を感じ、中にドリブルしてワン・ツーを仕掛けさせられる。ダニ・アウベスのクロスは、浅い位置からのアーリークロスのみに終始し、引いた身長の高いDFラインにことごとく跳ね返され、脅威を与えることができない。
こういった試合展開で、鍵となるのは、バルセロナの左サイドだと思われた。なぜなら、アンリがボールを持った時には、チェルシーはイニエスタを警戒しなかなかプレスで挟み込みに行けない。CBもアンリに1対2の状況を作るよりもイニエスタの中央での創造性を警戒し、カバーリングの対応を捨てざるを得ない。
つまり、アンリがボールを持った時は、完全にイバノビッチとのガチンコ1対1勝負。そして、アンリの前方にはスペースが用意されている。だからバルサは、いかに早くアンリのサイドにボールを預け、彼に有利な時間とスペースを提供するかが鍵となった。
実際、前半アンリが縦に突破したときが、一番チェルシーDFを慌てさせていた。対するチェルシーは、カウンター後のドログバのプレッシングからマルケスのミスを誘い、そのままドログバが決定的なGKとの1対1のシーンを迎えるが、ここはビクトル・バルデスが死守。両者得点を奪えないまま、後半へ。
後半に入り、途中からバルサは戦術を変えてきた。メッシをわざと中にポジショニングさせ、中央でプレーさせることで、右サイドダニ・アウベスのスペースをより有効に使おうとした。メッシが中央に入ることでイニエスタのマークを分散させ、中盤のゾーンでの優位をも確保しようとの狙いがあった。
そこから最後は途中出場のボージャンの決定的なヘディングシュートが生まれたわけだが、これもゴールにはならず。
付け加え、後半の途中にマルケスが負傷退場。さらに、交代で入ったプジョルもイエローカードを1枚もらい、累積で次節のアウェーでのチェルシー戦出場停止に。この時初めて、なぜグアルディオラがプジョルを先発から外したのかわかった。要は、累積となってアウェーでの激しく厳しい戦いにプジョルを欠く、という事態をなるべく避けたかったのだろうと推察された。
しかし現実は残酷だった。これでアウェーでの試合に向けてCBを2人同時に失ってしまった。最悪のアクシデントがバルサに降りかかってしまったのだ。
結果は0-0の引き分け。ヒディンク・チェルシーの狙い通りの試合展開、結果になったと言っていい。
この記事を見ての通り、僕はバルサファンだ。そんなに熱狂的ではないが、やはりこの街にいる以上、この街のチームを応援している。そういう空気が大好きだし、何より彼らのサッカーに魅了される。
その僕が贔屓目に見ようとしても、この結果は少し厳しい。ホームで0-0。かつ、CB2枚を欠いてアウェーに乗り込まなければならない現実。
それでも、僕はバルサがCLの決勝に進出することと優勝することを願ってやまない。そう願うことをあきらめない。おそらくここバルセロナの街はみんながそう思っているはずだ。奇跡みたいな大逆転を、みんなが信じてる。みんなの想いが、力となり、奇跡を起こさせる。アウェーでの第2戦は5月6日(水)。
奇跡は起こる。