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Blue blood

小説。


あるところに、私がいました。

目の前で母と弟が死んだ。
居眠り運転していた車が、私達の歩いていた歩道に突っ込んできた。
少し前を、手を繋いで歩いていたはずの二人の姿が突然かききえた。
車があって、すごい音がした。
私はよく理解できなかった。
車は、その勢いのまま塀に激突し、運転手は頭を強打して死んだ。
母と弟は、塀の車に挟まれてぐちゃっとしてた。よくは見れなかった。駆けつけた見知らぬ女の人が私の目を塞いだからだ。女の人は半泣きで誰かの名前を呼び、
「救急車!早く電話して!」
救急車なんか今更呼んでも遅い。もう手遅れだ。死んでいる。
妙に冴えた頭で私は思った。
しばらくすると救急車のサイレンの音が聞こえてきた。すごくうるさかった。
その後はよくわからない。
気付いたらお葬式だった。
隣で父が泣いていた。
訪れた知人達は、私を見て口を揃えて言った。
「まだ小さいのに、可哀想に」
「目の前でなんてねえ。つらかったね」
皆泣いていた。泣きながら私を抱き締めた人もいた。
私は泣かなかった。
皆はショックすぎて涙も出ないのだろうと勝手に解釈していた。可哀想にと。
お葬式もお通夜も終わって家はやっま落ち着いた。
父は悲しんでいたが、私には元気に振る舞った。
葬式の二日後に母方の祖母が来た。葬式にも来ていたが、一度帰ってまた来たのだ。
母が死んだから、家事に困っていた父は大変喜んだ。父方の祖父母はすてに亡くなっている。
祖母は不思議な人だった。いつもにこにこしていて、たまに薄気味悪い笑みも浮かべた。それに気づいているのは私だけだった。
祖母の手伝いをしながら二週間ほど私は学校を休んだ。父が勝手に決めたことだ。私の心労を気にしてのことだったから、私はなにも言わなかった。
祖母が来てから一週間たったころだ。父が突然いなくなった。
父も死んだのだろうか。はたしてそうだった。
父は足場の悪い川辺の道で足を引っ掛けて転がり落ちたのだ。頭を打って父は死んだ。
私はまた葬式に出るのが嫌だったけど、父がいなくなった事に対してはなんの感慨もなかった。
二回目の葬式が終わって、祖母と暮らすことになった。
祖母は相変わらずにこにこしていた。
「霧子や霧子」
ある日、滅多に話さない祖母が、料理の途中で話しかけてきた。
「なあに、ばあちゃん」
祖母はにこにことした表情に少しあの薄気味悪い笑みを滲ませながら野菜を切っている。
「死ぬのは怖いかい」
祖母は笑みを消さないで、不謹慎な言葉を吐く。
「なんでそんなこと訊くの?」
「霧子や、お前さん毎日泣いてるじゃあないかい」
私は祖母と同じ部屋で寝ている。
祖母は気付いてないと思っていた。
「皆が死んじゃったのが悲しいからよ」
「違うね、そんな泣き方じゃなかった」
「死ぬのは怖いわ。そりゃ誰でも

「お前さんの怖がり方は尋常じゃなかったよ」
「そんなことないよ」
祖母は野菜を切り終えて、肉に手をつける。
私は隣で味噌汁をかき混ぜる。
「霧子や霧子」
また祖母は私に語りかける。
「なあに、ばあちゃん」
少し鬱陶しかったけど、私は答えた。
「お前さんの願いを叶えてやろうか?」
祖母の笑みは完全に薄気味悪いあれになっていた。
私は、味噌汁を混ぜる手を止めて、思わず祖母を見た。
祖母はあの笑みを深くする。
「死にたくないのだろう?」
そこからは、やっぱり覚えていない。

気付いたら祖母はいなかった。
そもそも祖母などいたろうか?
私は次の日から学校に通った。
学校では色んな子に同情された。私はよくわからなかった。皆は私のなにを憐れんでいるのか。
わからぬままに日々は過ぎる。
あれからどれほど過ぎたろうか。
もう年を数えるのも飽きてしまった。
色々な事があった。
彼氏が死んで、友が死んだ。
私の回りの人間は皆死んだ。
五度自殺を試み、三度事故にあい、三度刺されて二度撃たれた。
一度だって死ななかった。
五度の自殺で腕を失い、事故で両足を失い、刺されてうたれて胴も消えた。
つまり、今の私は首から上のみだ。
皆は私を化け物という。そうかもしれない。
首の私はある日女の子に拾われた。
切り離された人体に惹かれたらしい。
女の子は毎日私に話しかけた。
女の子の部屋には解体された人形だらけで不気味だった。
特に、隣に並べられた人形の首はおの祖母のような笑みを浮かべていた。
私はいつまで生きるのだろうか。
ここにも長くはいられないだろう。
だって私の回りの人間は皆死ぬのだから。
「行ってくるね、霧子さん」
女の子は制服で部屋から出ていった。学校だろう。
窓の外に、怪しい男が見えた。


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 使い回しです、見たことある方も多いかも