店長AKIです。
先日初めてお店に来て下さったお客様が、「カクテルって頼むのが難しい」と。
実はAKIは今現在は『バーテンダーです』と堂々と名乗るには恥ずかしい程ブランクがありまして。
それでも過去に4年ちょいバーテンダーをしていた経験と記憶、普段飲み歩いている自分の感覚の全てをかき集めながら、尚且つBARの店長としての沽券もくすぐられつつお話をうかがってみましたよ。
お客様が仰る事を要約すれば、『カクテルの中には強くて飲めない物がある、度数の違いがわからない、どれを選べば丁度良い濃さの物が飲めるのかがわからない、万が一飲みすぎて失敗するのが恥ずかしい』といったお話だったんですね。
これはまだつい最近、全く別の方からも同じようなお話をうかがった事がありまして。
どちらの方もまだお若い方だったので、そういえば自分もお酒を飲み始めた頃って同じような感覚を抱いてしり込みした事も失敗した事もあったな・・・と懐かしい感覚に陥りつつ、私なりの回答をお話させて頂いたんですが。
もしかしたら、結構そういう感覚でしり込みなさる方もいらっしゃるのかな、とこちらにもそれを書いてみようと思います。
楽しくお酒を飲む為の一つの方法、くらいの感覚で軽く読んで下さいね。
まず、『お酒の選び方がわからない』についての解決策で一番手っ取り早いのは、『お店の方に聞く!』。
それがなかなか出来ないんだ!という方はもうちょっと下まで待ってくださいね。
やはりお店で出しているお酒の事は、そのお店の方が一番良く知ってらっしゃいますから。
メインの立場の方や、拘ってお酒を選んでいらっしゃる方がいらっしゃれば間違いなくその方にお聞きするのが一番だと思います。
そういった質問から会話が弾むことも結構ありますから、臆さずにご自分の味の好みや、普段よく飲んでいるお酒、またはこれなら飲めるというお酒があればそれをお伝えして選んでもらう、というのも楽しいですよ。
また、カクテルを作る方に『アルコールを少なめにしてほしい』といった要望を伝えるのもアリですよ。
そうすることで一般的なレシピ通りのカクテルでは無くなってしまうことを残念に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、カクテルというのは本来『お酒に別の物を混ぜて味を楽しむ物』ですから。
ご自分の好みで飲んで頂いて構わないんです。
コロナビールにライムを絞りいれるかいれないか、ライムをレモンに変えて欲しいと注文するか。
そういった感覚と同じように、カクテルも自由に楽しんで飲んで頂きたいです。
一方で『出来れば自分で選んでスマートに注文したい』という方、あるいはそういう振る舞いが必要な時もありますよね。
その場合、頭に置いておくといいポイントは2つ。
『ショートかロングか』と、『何で割っているか』。
ショートというのはカクテルグラスやソーサータイプのシャンパングラス等、少ない量で出てくるお酒の事で、殆どの場合ジュース類は香りや風味の手助け程度にしか入っていません。
あまり飲めない方からすれば、ほぼジンやウォッカ等の原液を飲む事になるのと変わらないと言っても過言ではありませんので注意が必要です。
ロングは縦長のグラスを使い、中の割合がお酒の量よりもジュースやソーダのほうが多く入っていますので、比較的飲みやすい物が多いです。
上にあげたもう一つのポイント、『何で割っているか』というのがジュースやソーダの事になります。
オレンジジュースやジンジャーエール、トニックウォーターといった甘いジュースが入っているカクテルに比べると、ソーダで割ったカクテルのほうがお酒の味がハッキリしますので、口当たりで酔いやすいという方もいらっしゃいますね。
さて、では『ロングで甘いジュースで割ったお酒を頼めば酔いにくいのか』と言えば、これはYESでもあり、NOでもあります。
一杯の量が多いのでゆっくり時間をかけて飲むから、またはジュースなどで割る事でグラス全体のアルコール濃度としては低くなるから酔いにくい、という意味ではYESなんですが。
しかし実は、ショートでもロングでも、中に入っているアルコールの量はそう変わらない、という点でNOなんです。
これは是非とも覚えておいて頂きたいところ。
例えばスクリュードライバーとバラライカという二つのカクテルを一般的なレシピで比較してみると。
スクリュードライバーは、ウォッカをオレンジジュースで割るロングタイプのカクテルですので、口当たりはほぼオレンジジュースに近い飲みやすいカクテルですが、アルコール度数40度のウォッカが45ml入っています。
一方バラライカはショートカクテルですから、先にも書いた通り口当たりはほぼアルコール原液。
レシピはウォッカ30mlとコアントロー(40度)15mlとレモンジュース15ml。
つまり、40度のアルコールが45ml入っている、と考えると体内に入るアルコール量にすれば二つとも全く同じことなんですね。
ロングショート関係なく、これら二つを短い時間で飲み干してしまったとしたら、酔い方もそう変わらなくなってきます。
軽いカクテルというのは、お酒を口にする時の一口分の液体に対してのアルコール濃度のことを言うんだな、あるいは口当たり(味)の事を言うんだな、という考え方をして頂いたほうがいいかもしれません。
しかし、繰り返しになりますが、ゆっくり時間をかけて飲むと酔いにくい、ソーダやジュースで割った物のほうが酔いにくいというのも本当ですから。
不安な方は、まずはロングタイプで飲みやすい好みの味の物をチョイスして、ゆっくり時間をかけて飲んで頂けたらと思います。
ショートカクテルを楽しんでみたい方は、合間合間でお水をしっかり飲むようにすると、比較的酔いにくくなりますよ。
何度か飲んでいるうちに、自分が飲める酒の量や、感覚的に苦手な味などもわかってきますから、焦らずにゆっくり自分にあった物を探そう、という気持ちで嗜んで頂くのもカクテルを楽しむ一つの方法ですね。