創業51年の歴史が閉じるその場所へ | 三軒茶屋bar cieloのブログ

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お店のアメブロに投稿するのははじめて……

初めましての方もいるかと思いますが、昨年秋頃からバーチェロ、コーヒーバーチェロにてお世話になっております 弓木 と申します。


記念すべき初投稿はバー業界の中でも話題になっていることのひとつから……


横浜中華街の一角にあるジャズとカクテルの老舗バー ウインドジャマーさんが1月28日をもって閉店するという話。



建物の老朽化などが理由とのことですが、1972年から51年にも及ぶバーの歴史が幕を遂げようとしている。自分がお伺いした日は木曜日の早い時間でしたが、週の中日というのに全国各地から思い出の地へと足を運ぶ人もおり、18時時点で行列ができておりました。



どれほど多くの人に慕われるお店であったとしても、歴史を紡ぎ続ける難しさを感じます。



そして待つこと3時間。

ようやく店内へ……


長く並ぶ間に何も飲まなかったので、1杯目はサラッと喉を潤そうと思い、おすすめメニューにもあったシンガポールスリングを。

サヴォイレシピのシンプルなシンガポールスリングで、航海を思わせる店内の内装と相まって良さが引き立ちます。




2杯目にはやはりここに来たからにはジャックターを。

横浜、いや日本を代表するカクテルでもあるジャックターは、ここウインドジャマーさんが発祥のお店であり、お店の代名詞でもあります。

日本生まれの数少ないクラシックカクテルを飲めるならばやはり1度は発祥の地で飲みたい。バーテンダーのロマンですね。


そしてようやくジャックター。




ちょうどジャズの生演奏もはじまり、そちらを聴きながら贅沢な時間をいただきました。


しかもせっかくならと、サザンカンフォートはアメリカから仕入れてきたという50度のもので注文。


ベースはもちろんロンリコ151(75度近くあるラムです)で、それはもう強いのなんの……

しかしながら甘酸っぱくて飲みやすいのがまた危険。

常連らしき紳士なおじさんは前にこれを3杯飲んで立てなくなったと笑いながら話されていました。

そして同時に、けれどやっぱりジャックターはこうでなきゃね、と……

思わず頷けてしまう強さとともに、それでもこの形であり続ける1杯と、それに魅了されて生きてきたお客さんがいるというお店の歴史を感じた瞬間でした。



こんなに並ぶロンリコ151はきっと世界中探してもここだけ……



最後には航海の歴史に幕を閉じるということで、ついつい飲みたくなってしまったのでギムレットを注文。バックバーに並ぶ帆船、港町を思わせるカウンターや店内の木の質感、かつてのイギリス海軍はこんな雰囲気の中でギムレットのグラスを傾けていたのかもしれないですね。感慨深いです。



帰る時にはささやかなプレゼントにコースターとマドラーと、とあるスペシャルアイテムをいただいて暖かく見送ってくださいました。


始まるものには必ず終わりがいつかは来るものですが、その歴史の1コマを味わうことができたというのは自分の財産になるような気がします。

将来「本場のジャックターはもっと強かったんだよ。サザンカンフォートが特別でね……」なんてうんちく話をするバーテンダーになっていそうで怖くもありますが笑


昨年から今年にかけていくつかのバーの閉店のお知らせを耳にします。続けていくということ、そして愛したお店が現存するということ、このふたつが当たり前ではないということをヒシヒシと感じます。自分もバーテンダーとして、なくなってしまうものの良さを次世代へと届け繋げられるよう精進しなくてはと思う次第です。


ぜひBar.Cielo、CoffeeBar.Cieloにてお土産話とともにお待ちしております。


弓木 達也