以前に御紹介させていただいた中村利雄さんの「愛・地球博回顧録」を
読み終えました。



愛・地球博回顧録


お会いしてから、書籍のことを御紹介させていただいてから、これまで
非常に時間がかかりました。


多忙であった事も理由のひとつではありますが、一番の理由は、淡々と
事実を書かれた中での率先垂範する姿が映し出され、自分が万博で
感動した事とリンクして、常に涙がジンワリと出ていたからです。


私の実家で御挨拶させていただき、ナゴヤでのMOTをやろうとして
背景を説明させていただいたのですが、その後、御自宅に戻られた

中村様は、わざわざ書籍を徒歩で持参して下さいました。


最後まで読んで思った事は、「これは世代を超えたバトンの継承である」
と感じたのです。


実は、いただいた本の中には、手書きで誤植の訂正などを書き込まれた
部分が数箇所あり、「?」と思っていました。


御自分で出版された本を、読まれた上で自筆で訂正を入れられた。
それだけ大事な本をいただいたというのには、理由があるのではないか、
と感じました。


電車の中で読む時は、目頭が熱くなる自分を何回抑えようとしたことか。

最後まで読み終えた時、モリゾーとキッコロは森へ帰る一方で、理念は
継承され、自然との叡智、参加型のトライアルエラーの取り組みはバトンと
してつながれ、ボランティアなども脈々と受け継がれたという一節があった時、
「これだ!」と思いました。


いただいた意味を、勝手ながら「バトンの継承なのだ。自分がやる事(天命)は
これなのだ」と思い至ったのでした。


そして、気づいた事、ナゴヤと次の会場となる上海を結ぶ、そして中国の
パワーを両方で共有するような形で、「最先端のマネジメントと自然の叡智を
結びつける手法の開発」として、ナゴヤMOTを単なるMOT(技術経営)ではなく、
魅力あるものにしたいと、決心しました。


・環境に配慮した技術・効率性と背反する課題を捉える
・ITの活用。実験的な取り組み
・持続可能な発展を手助けする研究開発マネジメントとその実践
・魅力的なプロジェクト・リーダーの育成(人材育成)
・中国との交流
・中国への技術開発プロセスマネジメントの移管(中国での講義実施)
・参加者自立型、リアル体験型のプログラム


これらをテーマにしていきたいと考えています。


これなら、単なる技術移転・ノウハウの共有ではなく、愛・地球博で得られた
知見・ナゴヤエリアの注目された取り組み・その後も生かされている新技術の
更なる発展にも寄与するような人材育成施策につながるのではないか、と
考えました。


愛知県を中心としたエリアで、環境にも配慮したテクノ・プロデューサーを
育成する、また中国にもパイプを持った形での取り組みを行い、環境型技術の
技術移転にもつながるような、上海万博にも相互交流・バトンを渡すような
プログラムをつくり提供することが、指名ではないか、と思いました。


そうすると、自分が上海の大学院で過ごした事等も生きてくる形になります。

そして、全国・世界からも注目されるような講座になるのではないか、と
勝手な期待に満ちた解釈をするようになりました。


全てが必然で繋がってきた、という気がしています!


また、昨日の研究者の育成に関するシンポジウムでも話題になったような、
パワーがないと言われてしまうような現在の若者に、中国のパワーを
体験する機会も作れるのではないか、と思います。


これが、まず自分で実施していきたい、ナゴヤMOTのテーマになると
決意しました。


今後はその内容を可能とするプログラムの具体的な形、さらにブレークダウンした

目的と科目・交流のパターン・仕組みなどを探っていきたいです。


以上、御報告です。