Image.jpg

セブ島には本物のリゾートは無いと知った私が、その次に取った行動は、セブ島を出て『宝島探し』に出掛けることでした。

い きなり、「セブ島を出て」、「宝島探し」と言いましたので、「どうしてセブ島の中では無いのか?」とか、「どうしてセブ島を出るのか?」という理由をお話 ししなければならないのですが、途中経過をお話しすると長くなりますし、最後のラストシーンを見ていただければ、その訳もご理解いただけると思いますので 省きます。

まず写真をご覧ください。この写真は、私が見つけた宝物を写した一枚ですが、これは、セブ島の北端付近に或るハグナヤ港から フェリーに乗って一時間少々の距離に在る中規模の離島のバンタヤン島のサンタフェです。この写真を見て、『宝物』に感づかれた方は大変勘の良い方です。

ま ず、この写真の道に注目して下さい。この道は、バンタヤン島のサンタフェを通り抜ける公道ですが、写真の道路をバイクで走って、三時間位でバンタヤン島を 一周することが出来ます。道路には信号は一つも有りません。まだ舗装されていない地域も在りますので、距離の割には時間が掛かります。また、この道路は東 側の海外から数百メートルの距離に在って海岸に沿って北上していますが、その間には椰子の林と民家しか在りませんので、排気ガスや有害ガスに汚染されない 島風が吹き抜けます。

次に、交通に注目して下さい。島に来る時にはフェリーに乗って来ますので、その人数と名前が常に乗船名簿で大方把握 されており、運行の無い夜や、また近郊から車で通り抜けるストレンジャーは居ませんので、交流する人間も特定されて、非常に治安に優れています。さらに、 この島に通行する車両も限られていますので、非常に穏やかな交通風景が見られます。

次に、民家に注目して下さい。このバンタヤン島の人口は七万五千人と言われていますが、この島には自治体が三つ有り、その中でも玄関口に在るサンタフェが最も風光明媚で観光の町として有名です。

ち なみに、大学も三つ在ります。デパートやスーパーなどの大型商業施設は在りませんが、日用品ならほとんど手に入る市場が在ります。バンタヤン島の北側は、 フィリピン海に面しており、このバンタヤン島近海のフィリピン海は、フィリピンでも最も豊富で美味な魚類が成育する漁場として有名です。バンタヤン島で捕 れた魚類は、セブ本島の市場でも美味しいと評判で人気があります。また、バンタヤン島には四百年以上の歴史が有る古いカトリック教会も在ります。

バンタヤン島は、大都市へ人材を送り出す地方町村で、漁業や農業、養鶏業の第一次産業と観光業が中心で、フィリピンの伝統の影響が人々の暮らしの中に色濃く残る地域共同体の島です。

すなわち、私がこのバンタヤン島で見つけた『セブの宝物』とは、『いのちの島風』と『穏やかな交通』と『絆の地域社会』だったのです。

人と車の混雑を避け南の太陽の下に美味しい島風を吸って、海は近過ぎず遠過ぎずの林間に住み、貧しくも伝統文化の有る地域と平穏に交わること。これが、セブ島で暮らす知恵なのです。