このアメブロ「ほりほりの備忘録」限定で、私の著書「脱・価格競争で売れ。実践アドバンテージマーケティング」の一部内容(第7章 インターネットで価値を伝える)をご紹介させていただきたいと思います。
第7章 インターネットで価値を伝える
■パソコンの向こう側の人間で考える
私は1997年の黎明期からネットビジネスを見続け、実践してきました。
その間、集客や販促の手段はホームページ、メルマガ、SEO、ブログ、アフィリエイト広告、リスティング広告、SNSとめまぐるしく変わりました。
メール離れする若者、検索せずにアマゾンから直接購入するユーザーの増加、メルカリの台頭・・・・・ ネットニュースを見る度に「変化についていけない」と不安になる人も多いかと思います。
でも、安心してください。ネットビジネスの基本は、インターネットが誕生してから20年以上経った今もまったく変わりません。大事なことは、「パソコンやスマートフォンの向こう側には人間がいる」という事実です。
ターゲットとする人間の目線から「どう感じたときに、どんな行動するのか」という行動を予想すれば、新しいツールの使い方は見えてきます。
たとえば、SEO(グーグルなどで検索した際に自社のホームページを上位に露出させるための対策)という考え方がありますが、私は1999年から過度なSEOは逆効果と言ってきました。
検索エンジンのアルゴリズムをアップデートしているのはエンジニアの人間です。彼らの仕事は検索品質を上げることです。彼らは、ユーザーに対して良質な情報提供しているサイトの評価を上げる一方、検索順位を上げるための不正行為があるサイトの評価を下げようとします。最近はAIをベースにしたアルゴリズムも採用されていますが基本は同じです。
となると企業側のSEO対策は簡単です。ユーザー(お客さま)の求める情報を充実させる方が、最終的に結果を出すことができます。
■ブランディングへの利用
思い出してください。個人が情報発信する手段なんて、つい最近までありませんでした。私は、1997年にインターネットを使い始めたとき「世界がひとつにつながった」と感じ、2004年にブログを書き始めたとき「世界中の人が情報発信する手段を手に入れた」と感じました。そして、その後のSNSの普及で「人と人との距離がますます近くなった」と確信しています。
インターネットは中小企業や個人商店にとって「神様からのプレゼント」です。
インターネットの登場は、情報発信ならびにお客さまとの関係性を深める手段となり、自らの力でブランディングすることが可能になりました。
これからも、新しいツールが登場してくると思います。
それを使いこなす人間も
- パソコンを勉強して覚えた世代
- 生まれたときからパソコンがある世代
- 物心がついたときからスマートフォンがある世代
と移行し、情報リテラシーは年々上がっていきます。
インターネットを使ったブランディングの手法はその時々で変わってきます。 しかし、パソコンやスマートフォンの向こう側にいる人間を忘れなければ変化に即応することは可能です。
■スマートフォン時代への対応
iPhoneに代表されるスマートフォンの普及は、私たちの社会や生活スタイルを一変させるほどの大きな影響を与え、この変化によってお客さまの行動パターンが大きく変わりました。
10年前、私は「ホームページはできるだけ充実させましょう」と言いました。
ところが最近は、お客さまの動線が変化したことから「ホームページは必要だけれども、昔ほど力を入れなくてよい」と言うように変わりました。
しかし今でも、新規取引先や銀行、新卒学生、取材先を探しているマスコミのリサーチャーなどは企業のホームページで必要な情報を確認しています。
また、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどSNSの情報は流動的なのに対して、ホームページは情報をストック・整理できる点で勝っています。
◇スマートフォン対応のホームページをつくる
検索する場合も、スマートフォンからの閲覧がパソコンでの閲覧を上回り、スマートフォンで見にくいホームページの離脱率は年々高くなっています。グーグルの表示順位は、ビジネスに大きな影響を与えますが、2015年4月からスマートフォンでの閲覧に適したページの検索順位を引き上げ、適さないページの順位を引き下げるアルゴリズムを採用しました。
スマートフォン対応になっていないホームページは対策が必要です。
新しくスマートフォン専用のページをつくる方法もありますが、それだと2つのホームページをそれぞれに管理・更新しないといけません。私は、パソコンとスマートフォンの両方に対応したワードプレスを使って、新しくホームページをつくり直すのが、現時点では一番いい方法だと思っています。
◇ホームページへの導線を考える
お客さまの行動パターンが変わりました。ホームページ誘導への導線も、見直す必要があります。
スマートフォンとSNSの相性は抜群です。SNSからホームページへの誘導ならびに、ブログやホームページの情報をSNSを使って拡散する方法を考える必要が出てきました。SNSを活用する際には、次のような「共感の獲得」と「情報拡散の仕組みづくり」を考えていくのが大切なポイントになります。
- 「共感」を獲得するためにはどんな行動が必要か?
- SNS映えするシーンを提供できるか?
- 人に知らせたくなるような新規性はあるか?
- 人に自慢したくなるような話題性はあるか?
- どんなハッシュタグで「拡散」して欲しいか?
お客さまの行動が変化した現状を踏まえて、「SNSで集客」→「ブログに誘導」→「ホームページに誘導」という導線を考えるのが、現時点ではベストだと思っています。
- パソコンとスマートフォンの両方に対応したホームページをつくる
- 会社案内や商品案内はホームページの固定ページでしっかりとつくり込む
- 社長(店主)の想いをホームページの固定ページでしっかりと伝える
- ホームページ内にブログを設置、更新内容を充実させる
- SNSを使ってブログにお客さまを誘導する
- ブログからホームページに誘導する
時代の変化を正しく理解し、
常にお客さまの目線からその行動を予測し、
商売につながる導線を見つけていかなければいけません。

■クチコミ操作はご法度です
商品やサービスの価値を伝えるネット上のクチコミやレビューは効果があることから、意識的につくり出そうとするクチコミマーケティングが誕生しました。
クチコミがウイルスのように広がるということから、バイラル・マーケティングとも言います。(バイラルとは「ウイルスのような」という意味です)
一方、略して「ステマ」とも言われているステルスマーケティングは、公平性を欠いた情報操作といえます。飲食店や宿泊施設のレビューに店舗側が利用者のふりをして書き込みしたり、タレントやモデルが特定の商品をソーシャルメディアで紹介することにお金を支払ったりするなど、宣伝とわからないような宣伝工作で、ゲリラ・マーケティングとも言われます。
人は感情操作されたと感じたとき、大きな反発を起こします。
以前より情報リテラシーが高い人が増えた現在、クチコミ操作はご法度です。
また、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムを商売に利用しようとする人がいますが、これらSNSは基本的には同じ感性の人がつながったり、友だち同士の関係性を強めたりするためのツールです。
居酒屋で楽しく盛り上がっているときに、鞄の中から商品パンフレットを出してきて売り込む人間を、ほかの参加者はどう思うでしょうか?
商品やサービスをSNSで紹介する場合も、
- 本当に良いと思ったから紹介した → 買ったら良かった。ありがとう
- 友達が困っているから協力した → とても嬉しい。ありがとう
という関係をつくるべきです。
■伝言キーワードを仕込む
クチコミは伝言ゲームに似ています。
伝言ゲームを重ねると、どんどん元の言葉からかけ離れた答えになるように、ネット上で自然発生したクチコミは人を経由するごとに不正確さが増していきます。
クチコミ操作はご法度ですが、自然発生だけにまかせるのも危険です。
たとえば、少量生産のおいしい和菓子屋があったとします。残念ながら「おいしい」は主観なのでクチコミされにくいキーワードです。
ところが、クチコミを自然発生にまかせると、「入手困難」「高価格」「敷居が高い」といった店側が意図しないイメージがネガティブな情報として一人歩きしてしまうことがあります。
そこでお薦めは、伝えたい伝言キーワードをメッセージに仕込むという方法です。
次のような点を考慮しながら、キーワードをメッセージに挿入していきます。
- インパクトがあるか?
- 具体的にイメージできるか?
- 知っていることを自慢できるか?
- 伝言しやすいか?
和菓子屋の例だと「文化人の田中さんご用達」「隠し味に○○を使用」「毎朝9時までに完売」といったようなキーワードがあればクチコミされやすくなります。
ネットユーザーはオウム返しのようにネット上の言葉に反応する傾向があります。私の経験からこの方法は非常に有効だと信じています。
私が手掛けた事例で特に効果があった伝言キーワードには「脂が旨い」と「松浦亜弥」があります
◇伝言キーワード「脂が旨い」
播州ハムに炭火焼きベーコンという商品がありました。
このベーコンは国産豚ばら肉を使ってつくった本格派商品だったのですが、ネット通販を始めた当時は「脂が多い」とクレームの一番多い商品でもありました。
ネットで販売するベーコンに関してはできるだけ脂の少ない商品を選別して発送したのですが、それでもクレームが減ることはありませんでした。
そこで、ベーコンは本来脂を食べるものであること、ベーコンの旨さは脂にあり、脂の旨さを求めて国産豚ばら肉を使用していること、国産豚ばら肉は脂肪が多いのが特徴であることなど「脂が旨い」という伝言キーワードを商品の説明文に挿入したところ、クレームは皆無となり、逆に、脂がたっぷりついたベーコンの写真を掲載し「国産肉でつくられたベーコンです。おいしそうでしょう」と絶賛する投稿がネット上に溢れるようになりました。
その後、このベーコンは料理人や食通の間で高評価を得ることができました。
◇伝言キーワード「松浦亜弥」
2006年。ご当地グルメ・姫路おでんの伝言キーワードを選定している際に「生姜醤油で食べるおでん」だけではインパクトが弱いと感じていました。
そんなある日、当時アイドルとして人気絶頂の松浦亜弥さんがあるテレビのバラエティ番組で「生姜醤油で食べる地元のおでんを紹介した」というネット記事を見つけました。
そこで、姫路おでんのホームページのリード部分に「姫路出身の歌手・松浦亜弥さんがテレビで紹介したおでん」というメッセージを追加しました。その結果、姫路おでんは「生姜醤油」「松浦亜弥」というふたつのキーワードで狙い通り全国に情報拡散することができました。
キーワードが、適切であれば、クチコミとして自然に広がっていきます。
クチコミされたいと思うキーワードを見つけることは、ブランディングの観点からも大事です。
■とっておきの秘策
SNS時代の到来によってインターネットの活用方法は変わりましたが、
インターネット誕生から20年以上たっても変わらない秘策があります。
それは、インフルエンサーを味方につけるという方法です。
インフルエンサー(世間に与える影響力が大きい行動をとる人物)を味方につけるひとつ目の方法は、自分もインフルエンサーになることです。
私は、2007年にご当地グルメ「姫路おでん」のブランディング活動の際に、「我がまち姫路」と「食べること」が好きな市内のブロガー仲間に声を掛けて「おでん探検隊」というグループを結成しました。
探検隊のおかげでインターネットを通じて全国にその魅力を情報発信することができました。Yahoo!がおでんに関するアンケート調査を実施した際も、探検隊の協力で「日本三大おでん」としてYahoo!ニュースのヘッドラインTOPに姫路おでんを登場させることに成功しました。
こう書くと「ハードルが高すぎる」という声が聞こえてきそうですね。
しかし、難易度が低く再現性の高い手法は、誰でもマネすることが可能です。
大きなアドバンテージを持つには、他とは違うスキルの獲得も必要です。
インフルエンサーを味方につけるふたつ目の方法として、
承認欲求を満たすという方法があります。
記者発表の会場に招待したり、未公開情報を提供するなど、彼らのプライドを満足させるような仕掛けを考えてみてください。
ただし、金銭の支払いはNGです。金銭が絡んだ人間関係は金の切れ目が縁の切れ目になります。ステマが発覚するとブランドの信用を失います。
インフルエンサーを味方につける方法以外にも、
もっとシンプルな、とっておきの秘策があります。
「陰で褒める」
ただ、それだけです。
ネットの世界では、陰口がなぜか本人に伝わってしまうことがありますが、陰で褒めたことも本人の耳にはちゃんと届きます。褒めるときのポイントは、本当に良いと思ったことだけを、そっと褒めるということです。見返りを期待したり、心にも思っていない発言をすると、すべて見透かされてしまいます。
運勢を良くする方法として陰徳を積むというのがありますが、これと似ているのかもしれません。
◇第7章のポイント
- パソコンの向こう側にいる人間の立場で考え、「どう感じたときに、どんな行動をするのか」を考えれば時代の変化に即応できる。
- 人は感情操作されたときに反発する。クチコミ操作はご法度。
- スマートフォンの普及でお客さまの行動が変わった。
- SNS活用のポイントは「共感の獲得」と「情報拡散の仕組みづくり」
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いかがでしたか?
今回は第7章をご紹介させていただきました。
第1章 ブランディングは小さな会社が有利
第2章 価格競争なしで選ばれるために
第3章 強いブランドのつくり方
第4章 今さらですが、ブランドの基礎知識
第5章 ネーミングとロゴが必要な理由
第6章 マスコミを使って「無料」で価値を伝える
第7章★インターネットで価値を伝える
第8章 変わったこと、変わらなかったこと
最終章 アドバンテージマーケティングについて
脱・価格競争で売れ。(日本地域社会研究所)より