急に思い出す。
母のこと。
秋らしくなってきて、夏とは違う色の空を見るようになってからかもしれない。
夏は、母が倒れた季節。
秋は、現実を受け入れた季節。
もう3年半も会っていないなんて…
会えない時間の長さに愕然とする。
思い出すのは、数少ない、母が涙した時のこと。
本当に数えるほどしか私達には涙を見せなかったな…。
我が家で2か月過ごした最後の日、
様子が明らかにおかしくて、夕方緊急で大学病院の救急を受診して、
固いストレッチャーに長い間寝かされて、検査してさらに待たされていた時。
「今日はお家に帰れないね…」と涙を流していたお母さん。
2か月の在宅介護で、ヘトヘトだった私は
少しの間だけでも安心して病院で診てもらえると思ったら、ちょっとだけホッとしてしまっていた。
まさか、本当にあれが家で過ごす最後の日で、もう家には帰れず退院出来ないなんて、思いもしなかった。
再入院後は、どんどん病状が悪化してしまったから…。
ふと思い出すのはもう一つ、
再入院後の病室で、まだ病状も進行する前に、
「どうしてこんなことになっちゃったんだろう…」と涙を流していたお母さん。
私、何言えなかった気がする。
本当に悔しい。
母が何でこんな病気になってしまったのか。
母は何も悪い事してないのに…。
何でこんなに辛い思いして、早くにお別れしなければならなかったのか。
信じたくないし、信じられない。
もっと一緒にいたかったし、お別れなんてしたくなかった。
お母さんの強さ、優しさ、愛の深さには叶わないよ…