かつて僕がバンコクで駐在していたころ、住んでいたのはスクンビット通りのプロンポンとアソークのちょうど真ん中あたりのコンドだった。
というと、なんだよ。バンコクコージーよ。おまえもかよ!
と思われるだろう。
でも、待ってほしい。
あのコンドミニアムは会社が用意してくれただけだ。
たしかにあんな所に住んでいたら社用族だと思られても仕方ないだろう。
でも、もし会社が住宅を都合してくれなければ、おそらく、僕はオンヌットに住んでいただろう。
その証拠にぼくはオンヌットが大好きで、よく出没する。
落ち着くんだ。あの雰囲気が。
オンヌットは言わずと知れたバンコク随一の庶民的で、かつ、美味くて、安い街だ。
バンコクで1,2番目に物価が安く、交通、学校、病院、飲食、買い物と利便性が良く、立地も上々で住みやすい。
そんなオンヌットで一軒寄ってみた。
そこにいたのは微笑みの国タイの優しい女の子だった。
なんと表現したらよいのだろう。
日本にいるタイ人女性も優しい人は優しいけれども、やはりどこかビジターであることからどことなく接し方が違う。
彼女の自宅に招き入れてくれてホスピタリティと純粋な愛情でもてなしてくれるそんな部分がタイ人女性にはあるけど、この嬢には本当にそういうことを感じた。
たとえば、これがシーロムやナナあたりのマッサージ嬢ならそんなふうには思わないだろう。
なぜなら、観光客相手のマッサージ嬢なんて所詮チップ付きのテコ狙い。
なので、そのことだけに特化するあまり、肝心のマッサージは蔑ろ。接客も金にならないとわかるや否ら豹変するあたり。
あさましい。
ちなみにこの3年間で大分値上げしていて、バンコク中心地のマッサージの値段はオイル1時間当たり700バーツ前後になっていた。
でも、オンヌットはさすがに庶民の味方だった。
いい意味で時代遅れのまま、古き良き時代を失わないでいてくれる貴重な街だと思う。
オンヌットのこの店は、オイル1時間300バーツだった。
かつ、マッサージの技術も素晴らしいく、言うことなし。
マッサージは時間一杯一生懸命してくれたので、僕は会計前に彼女にそれなりのチップをあげるつもりでいた。
最後のシャワーを浴びている時だった。
鍵もドアも何もないところだから、そのまま僕がシャワーしているところの嬢が来て、恥ずかしそうにこう言った。
すこしお小遣いがほしいいけどいい?と。
ぼくはチップあげるよ。大丈夫だよ。と伝えると、
次の瞬間、彼女は着ている服をササッと脱ぎ全裸になった。
そして、指を3本たてた。
ぼくは、3000バーツかと思うと、
彼女は、サムハーンではなく、サムローイと言った。
すなわち、0が一桁少ない。
いくら物価の安い街でもそれはさすがに安しぎしないかい?
という話。
ちなみにこの嬢25歳くらいかな、容姿はまぁ、あれだったけど。