リボンわたしの自己紹介ストーリーリボン

 

 
 
 
初めての仕事だった
香港のホテルを辞職した私。
 
 
 
 
もう何も怖いものはないし
自由をかみしめていたのも束の間、
貯金が底をついていた。
 
 
 
 
 
 
どれほど
香港での現実に絶望しても
 
 
このまま日本に帰るのは
悔しすぎてイヤ。
 
 
 
でも、日本に帰らない=自分で稼ぐ。
 
 
 
 
 
何をする?
どうしたらいいんだ!!
 
 
 
 
 
 
私は自問した。
ふと就職活動のことを
思い出した。
 
 
 
全滅したしな・・・。
 
 
 
 
 
 
でも、何をしたらいい?
 
 
 
 
考えるほどに月日は経っていく。
もう時間がなかった。
(お金がなかった)
 
 
 
 
 
 
香港人の女友達から
新聞の求人欄はみたの?
と言われ
 
 
 
「あ、そうか、そうやって探す手もあったか」
求人欄を見始めた。
 
 
 
 
 
 
そこでは知っている名前の
日系企業が
人を募集していた。
 
 
 
 
就職活動でダメだったことが
トラウマになっている。
 
 
 
採用される自信がない・・・。
 
 
 
でも、試してみよう、もう一度だけ。
 
 
 
ダメで、もともとなのだから―。
 
 
 
 
祈るような気持ちで魂を込め、
これまでで一番時間をかけて書いた
履歴書を出す。
 
 
 
 
 
数日後、携帯電話が鳴った。
その会社から、面接に来るように
と連絡が入る。
 
 
 
 
 
そこは、業界トップの大企業。
 
 
実務経験者を募集していたので、
面接に進めること自体、奇跡!
 
 
 
 
 
まともな服もなかった私は
なけなしのお金で
スーツと靴を新調。
 
 
 
めちゃくちゃに
緊張して面接に挑んだ。
 
 
 
そして
 
さらに3日後、
人事から電話があった。
 
 
 
 
 
 
 
あなたは、採用です。
 
 
 
 
 
 
採用?この、私が?
 
 
信じられない・・・。
 
 
 
 
 
 
冷たく冷え切った心に
温かな光が灯るようだった。
 
 
私はその企業で
働くことになった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
香港生活が
みるみるうちに
変わっていった。
 
 
 
オフィスは
オシャレなオフィス街の
ど真ん中
 
 
ガラス張りの超高層ビルにあり、
給与はホテル時代の1.5倍。
 
 
行ったこともないような
高級レストランに連れて行かれ
 
夜景を見ながら
フレンチのコースを食べる。
 
 
 
 
 
ホテルの時と比べて
「座って仕事が出来る」だけで
涙が出るほど嬉しかった。
 
 
 
 
また土日が全て休み、
ということ自体
信じられないほど幸せ。
 
 
 
 
 
ホテルの経験があったからこそ
何もかもが幸せに思えたのだった。
 
 
 
 
 
しかし、その喜びも(またしても)
つかの間の出来事だった。
 
 
 
 
ホテル勤務の経験しかない私は
その企業の業務では
「経験不十分」として
ビザ取得において問題発生!
 
 
上司は私を
日本の本社採用に出来ないか
動いてくれたようだが、
それも簡単ではないらしい。
 
 
 
 
 
そうか、ここにも長くはいられないのか・・・。
 
 
 
 
 
一抹の寂しさはあったが、
私はすっきりした顔で
上司にこういった。
 
 
 
 
 
 
「もういいんです。ありがとうございました。」
 
 
 
 
申し訳なさそうにする
上司を後にし
 
 
私は心にあることを決めていた。
 
 
 
 
 
 
 
よし、日本に帰るぞ。
 
 
 
 
負けっぱなしの人生だった。
 
 
 
ホテルで疲れ果てた心と身体。
 
 
そのあと出会えたこの会社で
私はやっと息を吹き返した。
 
 
 
 
日本に帰ることに
ずっとNOを出してきた自分から
ようやくOKのサインが出た。
 
 
 
だから、香港に、さようなら。
 
 
 
 
 
 
22歳、秋。
 
 
 
 
まだ日本を離れて
1年も経っていないというのに
まるで数年が経ったかのように
私の人生は大揺れに揺れていた。
 
 
 
 
 
けれど、もう何があっても大丈夫。
 
 
 
 
 
涙の数だけ、強くなれた。
 
 
 
本当に今なら、やっと
すべてのことに感謝できる。
 
 
 
もう一度、
自分に向かい合ってみよう。
 
 
続く。
 
 
 
 
次回はこちら。
 
 
MAYA