今夜のスーパープレゼンテーション出演者です。

(元記事)
http://www.womeninforeignpolicy.org/melissa-fleming-head-of-communications-public-information-of-unhcr/

(内容)



〇どんなお仕事をされているんですか?

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の情報部長として、世界の国々に情報を伝えると同時に、主席報道官としても活動しています。120ヶ国に赴き、戦争や迫害を逃れた3000万人以上の難民に援助やシェルターの提供をしています。私の役割としては、メディア、寄付者、政府、そして難民自身を含む様々なオーディエンスに対して影響力を持たせた戦略的な危機報道計画を導入しました。またソーシャルメディアに重点を置いた世界的支援活動を指揮しています。

〇どうしてこのお仕事に?

ずっと歴史と外交に興味があって、結局オーバリン大学ではドイツ研究を専攻したんです。ドイツで研究する機会に恵まれた時は、すぐに母国同然に感じるようになりました。ただ、ヨーロッパで続けるのは冒険に感じたので、アメリカに戻る決心をしました。ボストン大学でジャーナリズムの修士過程にいた時、偶然出会った学部長がドイツ人でした。彼が面接を受けるのを助けてくれたんです。



それで入ったのが、ミュンヘンのラジオ・フリー・ヨーロッパ(鉄のカーテンの向こう側に向けた政治的放送を目的としたラジオ局)でした。その後すぐ体制移行する国について、現場で得た知識は、ウィーンにあるOSCE(欧州安全保障協力機構)の報道官・メディア部長に就任する上で完璧な基礎となりました。ボスニア戦争が勃発した時、この組織は30人から数千人規模に膨れ上がり、欧州全域における外交交渉、衝突回避、選挙監視の中心になりました。私はサラエボ、ベルグラード、ワルシャワ、ティラナへと移り、さらにモスクワ、ドゥシャンベ、アルマトイへと廻りました。そして、軍事展開や紛争という問題にフォーカスする膨大な数のメディアに対応するプレス・チームを作りました。

OSCEで6年間過ごした後、新たな挑戦をしたいと思い、ウィーンでの人脈によってIAEA(国際原子力機関)のメディア広報部長の職を得ることが出来ました。この組織がイラク、イラン、シリア、北朝鮮への査察官としての役割で重大ニュースとなっていることは殆ど知りませんでした。ポスト9.11テロ恐怖時代の核安全保障や原子力安全保障に対する取組みが再度始まっていました。まさか2005年のノーベル平和賞授賞式にモハメッド・エルバラダイ事務局長に随行するとは思ってもみませんでした。主席報道官として多忙を極め、それこそ食事中も睡眠中も週末も呼び出され、レポーターが私の子供達の名前を知っているほどでした。主席報道官のロン・レッドモンドが退官する時、彼に呼び出され、後任に促されたんです。






8年間、核に関するあらゆる事項のコミュニケーターとして働いた後、人道、人権の役割を果たしたいと思うようになりました。ロンによれば、難民達の大義は「神の御心のままに」です。私はこの転職を一度も後悔していません。彼らほど、攻撃されやすく、援助、擁護、意志疎通が必要な人はいないからです。

〇普通の仕事の日はどんな感じですか?

我々の仕事や各種メディア報道に影響ある事案をアップデートする短い編集会議で一日がスタートします。今、WWⅡ以降ないほど多くの人-5000万人-が住む場所を追われているという苦難な状況に置かれています。そしてシリア、イラク、南スーダン、中央アフリカ共和国での紛争により、毎日何万人もの人が国境を越えざるを得ないのです。一方で、メディア担当として、マスコミの要望に応えていますが、レポーターがカバーしていない紛争地では先を見越してニュースにならないようにする必要があります。我々はまた、小さな新聞社のように、我々自身のプラットフォームとして、ビデオ、写真、記事を作成する機関も作り、世界中のメディアに配給をしたりしています。

〇Twitterを頻繁に行ってますよね。現在の仕事にどう役立っていますか?

ソーシャルメディアは情報伝達者にとって有難いものです。現在は、世界中の人々と、そしてあらゆる分野の人と簡単に意思疎通することができます。ジャーナリスト、セレブ、活動家、一般国民、そして難民自身とも。現場の仲間がソーシャルメディアの擁護者になるよう、私自身がTwitterを率先して使っています。実際に、一般市民の救護隊員に対する強い関心や日常生活で起こっている出来事などに気付くことが出来ました。南スーダンの遠く離れた前哨地で働くある仲間はインスタグラム日記を始めるとすぐにフォロワーが3万人を超えたんです。
(ツイッター)https://twitter.com/melissarfleming?lang=ja



〇仕事で最もやりがいがあることと最も報われない点は?

最もやりがいがあるのは、強力なストーリー性を持ち、様々なメディアを通して他の方法を示すというやり方でキャンペーンを行うことです。例えば、心を惹きつけるビデオ、生き延びたり立ち直ったりした人のストーリー、感動的なFacebook投稿、数値を意味あるものにする解説画像などを使います。その結果、世界中のメディアが報道したとか、ウェブ・アクセスの増加とか、ソーシャル・メディアが大きく関与したということが分かれば、難民に対する関心を高め、共感を得たと実感することが出来ます。さらに資金集めにも結果が出れば、我々の満足度はもう一段階上がることになります。

最も報われないのは、差し迫った重要問題、すなわちアフリカ難民の食糧危機に何週間も費やしても、望むような影響が見られないことです。その理由としては、より地政学的な対象に興味が移ってしまうからというのが殆どです。

〇同じような職に就きたい人にアドバイスはありますか?

ジャーナリズムを勉強して実際に現場で働いてみることです。新たなメディア・トレンドを取り入れて個人的にもアクティブになる必要があります。インターンシップ、交遊関係、模擬国連などを通じて人脈を広げるのもいいでしょう。出来るだけ多くの情報ソースを読み、BBCを聞き、アルジャジーラを見ることも必要でしょう。TEDを見て人前で力強いスピーチをする方法を学ぶことも重要と思います。



〇仕事を上手くこなす為の重要なスキルは何ですか?

私は、文章執筆、スピーチ、インタビュー、ソーシャルメディアの利用、そして世界的時事問題を理解することには長けていると思います。しかし、外交交渉スキルや信頼関係構築能力がなければ、この仕事で成功できないでしょう。

〇貴方が学んだ最もきつい教訓は何ですか?

この世界には無関心が溢れているということ。そして無知で覆われているということです。



〇出来れば避けたかった失敗はありますか?

外国語習得の重要性を知っておくべきだったと思っています。だから今、フランス語とアラビア語が流暢に話せるよう、勉強を始めています。

〇最も誇りに思う成果は何ですか?

目標にむけて自覚、共感、行動を促す為の、強力で積極的で近代的なコミュニケーション・チームを構築したことです。

〇手本となる人物は?それは誰で理由は?

手本は二人の上司です。モハメッド・エルバラダイアントニオ・グテーレスです。彼らが、どのように世界が回っているのか、或いは回っていないのかを非常に的確に掴んでいることには感服します。彼らには明確なビジョンがあり、権力者にも真実を話します。私的な目的の為ではなく、大義を果たすために公の場を利用しているんです。