<あらすじ>
オウケンは全身の骨を砕いてロープの拘束を抜け出る。
気づいたデスパーと冥府騎士団隊長は駆け寄るが、オウケンはシラサンべ(遠当て)を放って二人の動きを止める。
ミランジョの呼び寄せる声に応じオウケンは立ち去る。


ボッジは倒れていたアピスを引き摺って運ぶが、途中でアピスが意識を取り戻しボッジに逃げることを勧める。
ヒリング殺害、王国の滅亡、すべてミランジョの希望だという。
ミランジョの夢は憂いが無くなったボッスと二人で旅立つことだとアピスが言う。
アピスはミランジョに恩義があるのでボッジが立ちはだかるなら敵対するかもしれない,と言う。
アピスがボッジを睨みつけようとしたがボッジの巨大な虚像が浮かび上がり、アピスはボッジが巨大な存在になっている事を知る。
アピスはボッジがミランジョを守ることを祈って再び倒れる。


一匹のネズミがヒリングを誘導してアピスのもとに連れていく。
ボッジはオウケンと遭遇したが、オウケンはわき目も振らず立ち去ってしまった。
ドーマスとホクロは冥府の門(正体はカゲの一族)を焼却する。
玉座に座っていたゾックが一連の行動の真意をミランジョに訊く。
アピスが居なくなったミランジョにゾックは横柄な態度をとるが、オウケンがツカツカと歩み寄ってゾックはギクリとする。
ゾックに向かってオウケンは剣の鞘を抜き放つが、ゾックはブラックの背を押して切られてる隙に逃げ出して塀を伝う。
ゾックをボッジが追い、足が止まったところでオウケンが塀をよじ登ってくる。
ゾックは剣を抜いて威嚇しようとしたが、落ち着いて剣を抜こうとするボッジを見て泣きつく。
ゾックは気分が悪くなった芝居をし、心配して駆け寄ってきたボッジに毒霧を吐く。
しかし巨人族の血を引くボッジには人の毒には効かないのであった。
ついにオウケンが塀を登り切り、ゾックが遁走しようとするところをボッジはツボをついて気絶させ縛り上げる。
オウケンが追いついてきて、ボッジにシラサンべを放つモーションをするが、ボッジも又それを避けるモーションをする。
意味不明さにカゲは疑問を持つが、ボッジは空を突きシラサンべの正体を明かす。
小石をツボに投げつけて動けなくしていたのだ。
剣を振り回すオウケンにボッジはツボを突くが気絶しない。
オウケンの繰り出す剣にボッジは剣を直撃させて剣を砕くが、オウケンの血が迸り破片を回収して剣が再生する。
二人は暫く剣を交えていたが、やがてボッジは疲れてくる。


ミランジョは、ボッジは逃げたほうが良いと呟く。
呟きを聞いたカゲはアドバイスしてくれたミランジョに礼を言う。
ミランジョは何故アドバイスを呟いてしまったのか戸惑う。
カゲは交戦中のボッジに撤退を呼びかける。
しかしボッジは首を振り、その場に踏みとどまる決意をする。
自分が踏みとどまらなければ犠牲が大きくなるとボッジは考えたのだ。
ボッジは急所を突いてオウケンを殺すよう考えたが、カゲはミランジョからオウケンが不死身であると教えられ、ボッジに塀に登って一旦休むよう呼びかける。
ボッジは塀の上に登ったが、今度はオウケンがゾックに向かっていく。
ボッジは肩で息切る状態だったが、塀から降りてオウケンに立ちはだかる。
ミランジョが何故オウケンが不死身であることを知っているのか、カゲはミランジョの正体に疑問を持つ。


牢屋で座り込むボッスに、ベビンは鏡とは何者か、行動の真意を問う。
ボッスは鏡にはミランジョが居り、一番大切に思う存在であることを明かす。
ボッスの武者修行に出ていた若い頃の回想・・
魔法との戦い方を身に着けるため、人々が魔法を使えるホウマ国を訪れた。
そこで幼いミランジョと出会う。
ミランジョの父親はボッスは手加減できず殺してしまったが、ミランジョの母親は深手を負ったボッスを治してくれた。
ホウマ国全般に親切な人が多く、ボッスはホウマ国にとどまって神々との戦争にも参加した。
ホウマ国は連戦連勝したが、一度でも負ければ形勢逆転される危うさも抱えており、隣国のギャクザ国と協力することになった。
ホウマ国の人々は、人は分かり合えるはずだ、と信じて疑わなかった。
しかし常に侵略を受けてきた歴史を持つギャクザ国では、常に誰かを欺いて生き残ることが彼らの正義だった。
優しさや思いやりを弱さと感じ、豊かなホウマ国を見下していた。
ホウマ国はギャクザ国を引き入れたことで逆に疲弊し、神々の勢力は増していった。
ある晩、ミランジョの母親の住居に、微笑みをたたえたギャクザ国の人々が訪ねてくる。
人々は表情が一変し、ミランジョの母親の腹に剣を突き立て金のありかを問う。
ミランジョの居る二階に上がりそうになり、ミランジョの母親は逃亡するよう叫ぶ。
神々の勢力が優勢とみたギャクザ国は内通して神の軍を招き入れた。
町に戻ったボッスは手首を切断され鎖で繋がれたミランジョを見つける。
ボッスは怒りでギャクザ国の人々を襲う。
ボッスはミランジョを保護し、山奥の医者?に治してもらうよう依頼する。
体は戻ったが、深く沈んだ表情のミランジョを見てボッスは一緒に生きていくことを決心する。


ボッジはオウケンと剣を交わし続けていたが、ボッジは息が上がって仕留められそうになる。
オウケンがとどめを刺すべくボッジに襲い掛かろうとしたとき、二人の間にハルバード?が突き立ち電流が流れた。
デスパーと隊長が駆けつけたのだ。
デスパーは兄のデスハーと交信して雷雲を呼び寄せるが、その間にオウケンはシラサンべを放つ。
オウケンの放った小石を隊長は悉く手のひらで受け止める。
オウケンに雷が直撃したが、オウケンは剣を掲げて右半身だけで電流を受ける。
オウケンはデスパーに襲い掛かるが、隊長が短剣を手に応戦する。
オウケンの突きが隊長の胸を直撃し、隊長は倒れる。
デスパーはかかってこいと進み出る。
オウケンの攻撃を引き付けている間にボッジたちを逃がすつもりなのだ。
デスパーはオウケンが初手突きが来ると見ていた。
突きに来た腕をとり、デスパーは雷をもろとも食らう予告をする。
デスパーの脳裏に人間性を失う前のオウケンと会話を交わした場面がよみがえり、その隙にオウケンは掌底でデスパーを突き放し、デスパーの胸に剣を突き立てる。


冥府の王サトゥンは永遠の命を得る研究に没頭し、多くの国民の命を奪った。
デスハーとデスパーが生まれた時は特に感情を持たなかったが、オウケンが生まれた時だけ異様な執着を見せた。
デスハーとオウケンはサトゥンにとどめを刺すべく歩を進める。
デスハーがサトゥンの命を絶った時、サトゥンの霊魂がオウケンに取りつこうとしたがオウケンは精神力で弾き飛ばし、デスハーの雷撃によって霧散した。
オウケンはやがて人の心を失いデスハーによって捕縛される。

 


<感想>

ボッジがオウケンと交戦中、ミランジョが逃げるように呟いたのはダイダがミランジョに同情的な態度だったからかもしれない。
ギャクザ国の件、以前ボッジが旅に出た時のことを覚えておられるだろうか?
紙芝居を見た代金に金貨で支払ったばかりにバッグが盗まれる。
ドーマスは『出来心を抱かせてしまうのは罪深い事』だと窘めた。
ギャクザ国の民が悪いのは前提として、付け入るスキを与えてしまったホウマ国側も、悪いとは言わないけど罪深さも感じないといけないかもしれない。