<あらすじ>
一三三三年鎌倉、足利高氏は鎌倉幕府の若き守護神として皆の嘱望を集めていた。
北条時行はもはや形だけの総帥の息子として自分の立ち位置を弁えていた。
逃げ足の速さだけが唯一の取り柄で、この少年に期待するものはいなかった。
時行はある日街で巫女に出会い、その名を後世に残すと父親から言われてると言った。
その巫女の父親で、エキセントリックな信濃国の神官諏訪頼重の自己紹介を受ける。
時行を信用させるため頼重は予言を始めるが、その怪しさに時行は遁走する。
北条邦時(時行の異母兄)はすでに諦めの境地になっており、終日蹴鞠に興じていた。
その一か月後、高氏は謀反を起こして北条側の人間に粛清の嵐が吹き荒れる。
頼重は時行を逃がすため頼重の領地である信濃諏訪に匿う。
時行は高氏の笑顔を思い出し、全てが偽りであったことを悟る。
時行は頼重の笑顔でさえ疑念を抱く。
自決を決意する時行に、頼重は時行の背を押して反乱軍の密集したところに突き落とす。
時行は反乱軍たちの凶刃を躱し、頼重に抱きついて窘める『死んだらどうする』と。
頼重は生き延びようと執着することが時行なりの英雄の資質と説く。
頼重は時行のため郎党を用意し、状況を覆すのには信頼できる郎党・武力・知力が必要と説く。
時行は生き延びることを決意し、潔く死ななかった恥を感じて涙を流す。
時行の一行は鎌倉の廃屋からなかなか脱出できず、神官に変装して隠れていた。
外から邦時が斬首されたと漏れ聞こえ、時行は思わず外に飛び出るが頼重が神主の稚児と言ってごまかす。
邦時の身柄を預かっていた五大院宗繫(時行の義理の叔父)が居場所を密告したらしい。
時行は信頼すべき者たちの立て続いた裏切りに吐き気を催す。
宗繫は褒美に預かれないのは邦時が側室の子だったからと考え、正室の子(時行)を差し出すべきと考える。
宗繫は時行の潜んでいそうな場所をあたり、ついに時行に遭遇する。
宗繫は心配してた風を装い、時行に駆け寄ろうとしたとき背後から時行の郎党が打撃を加える。
しかし宗繫はビクともせず、鬼の形相で時行に襲い掛かる。
時行の郎党は時行を守るため宗繫に打ちかかるが歯が立たない。
そこに頼重が現れ、郎党たちに手を引くように命じる。
時行は相手の太刀筋を見切って、むしろ逃げるのを楽しむかのように躱しまくっていた。
頼重は郎党たちに時行が一太刀浴びせられる隙を作るよう、攻撃に専念するよう命じる。
郎党たちは宗繫を攻め立て、宗繫は体勢を崩され四つん這いのような格好になる。
時行は飛んで振りかぶり、宗繫を斬首した。
時行が朝目覚めると巫女に囲まれ昆虫食を強いられる。
時行が逃げ出し、落とし穴に落ちる。
通り抜けることを先読みして掘っておいたと頼重はドヤる。
巫女に囲まれた状況というのは頼重の指示だったのだ。
諏訪大社のあまりの規模の小ささに時行は再興を疑う。
頼重は実力を見せつけるため雨天を晴天に変え、支持する武士たちを見せつける。
時行は勉学に励む決心を口にすると、武士たちは役目を終えた安堵で急速にテンションが下がる。
高氏は京に上り後醍醐天皇に拝謁して足利尊氏を名乗るようになる。
尊氏は餓狼の本心を隠し、偽りの笑顔で公家連中にウケが良かった。
頼重は時行につけた郎党の紹介をする。
刀の使い手弧次郎・怪力無双で薙刀の使い手亜也子・頼重の娘で気が利く雫と、いずれも時行と同い年らしい。
亜也子は狩りを提案し、早速時行は兎を追う。
そこに牛鬼『牡丹』(飢饉が続き人肉の味を覚えた魔獣、巨大なイボイノシシに似る)が出現し、兎を捕食する。
雫は知らぬ間に木に登り、牡丹を狩る手はずを指示する。
時行は引き付けて丘の上に連れていき、弧次郎と亜也子は先回りして罠にかける手はずを整えるよう命じる。
牡丹は弧次郎の煽りに乗って崖から落下し、落下地点には『神様の刃』(鋭く尖った黒曜石の岩塊)があった。
牡丹は自重で串刺しとなり、絶命する。
時行一行が温泉でくつろいだ後で戻ると、頼重は牡丹をばらして食べてしまっていた。
視力と弓術に秀でる小笠原貞宗は尊氏によって信濃守護に取り立てられたので、忠誠の証として時行殺害を誓う。
時行は剣術の練習をするがからきしで、弓術には才能が有りそうであった。
そこに貞宗が頼重を訪ねてきて、時行たちは身を隠す。
貞宗は身を潜めていた時行を召し取る宣言をする。
頼重は時行に貞宗の弓術の観察を唆す。
<感想>
障碍のないボッジって感じ。
あくまで持論ですが・・
見下す気持ちを隠してるようなら裏切り度は高い。
最終的には煮え湯を飲まされる覚悟をした方がいいかもね。
『高』氏は誤植かと思ったけど、改名したわけね。