<あらすじ>
雨天勝ちの陰鬱な街に若手刑事ミルズがその妻トレイシーと共に移り住む。
ミルズは退職間近の老刑事サマセットの後釜として赴任してきており、サマセットが退職するまでの間二人はともに行動することになる。
警察に通報があり、肥満体の男が無理やり採食されたようであり、傍にGLUTTONY(暴食)の文字が残される。
次の事件では悪徳弁護士グールドが腹部の肉1ポンドが切り取られており、GREED(強欲)の文字が残される。
サマセットは七つの大罪をベースにした猟奇殺人事件が始められたとみて、これから七つの大罪にちなんだ事件の発生を予感する。
グールドの事務所にあったグールド夫人の写真をヒントに前科者ヴィクターの部屋に踏み込むが、彼はベッドに縛り付けられ激しく衰弱していた。
壁にはSLOTH(怠惰)と書かれており、一年かけて彼の衰弱の推移が撮影されていた。
トレイシーは酷い教育状況に身ごもった子供を産むべきかどうか、この街に長いサマセットに相談を持ち掛ける。
サマセットは産まないつもりなら黙っておけ、と答えた。
サマセットはFBIから読書記録を入手し、七つの大罪にちなんだ書物の貸出経歴からジョン・ドゥという男を割り出す。
二人はジョンの住居を訪ねるが、ジョンは外出から戻ってきたところらしく遠間から発砲するが二人には当たらなかった。
逃走するジョンをミルズが追うが、返り討ちに会ってミルズは負傷する。
二人はジョンの部屋を家探しし、犯人であることの確証を得るとともにミルズの写真を発見した。
大胆にもカメラマンとして現場に入り込んで近づいていたのだった。
次のLUST(肉欲)の犠牲者は娼婦で、拳銃で脅されて刃付き性具をつけれられされた男に挿入されて刺殺される。
次のPRIDE(高慢)の犠牲者はモデルの女性で鼻を切り取られており、片方の手には電話を、もう片方の手には睡眠薬を固定されていた。
病院などに連絡すれば命は助かるかも知れないが、変わり果てた自分の容姿をさらしかねないので服薬自殺する選択を与えたのだ。
ENVY(嫉妬)とWRATH(憤怒)を残し、突如血まみれの服を着たジョンが自首してくる。
ジョンの弁護士はミルズとサマセットを指名し、残りの二つの死体の場所まで案内するという。
警察の監視の中、二人は高圧電線の鉄塔が立ち並ぶ広大な地に案内される。
ミルズ宛てに小さい箱が届けられ、サマセットが中を確認するとトレイシーの生首だった。
ジョンはミルズの家を訪ねて家庭を持った気分を味わおうとしたが、トレイシーに拒まれ殺害したという。
ENVYの被害者はトレイシー、WRATHの被害者にジョン自身というわけだ。
サマセットはミルズが怒りを抱くことで七つの大罪を完成させてしまうと思い、ミルズが怒りを抱くことを制止するが、ミルズは悲しみのあまりジョンを射殺する。
<感想>
作品中でサマセットは『日常で七つの大罪に近い実情を、我々は見て見ぬふりをしている』というような事を言ったが、本作品で言わんとしたところがそれだとすると、悪魔の所業(そういう見方が一般的かな?)ともいえるし神の啓示ともいえる。
まあ真意はデヴィッド・フィンチャーじゃないのでわからないけど^^;
トレイシーが身ごもったことをミルズに打ち明けてなかったというのは産むつもりがなかった、つまり天候に象徴されるような閉塞感に満ちた雰囲気が産む気になれない気持ちを表しているかもしれない。
何故か『氷の世界』(井上陽水)の曲が頭に浮かぶ・・
ラストシーン、本来なら心凍らせて(?^^;)グッと堪えるべきなんでしょうけど、結局は感情に流されてしまったということがサマセットの言った言葉を裏付けている。