今日、5時間くらいブラックジャックと過ごした。
彼は相変わらず、そわそわと水を飲む。
相変わらず、喋りっ放し喋っている。
私は、また、今日も彼の話を聞いていた。
と言うよりも、観察していたと言う方が正しいのかも知れない。
エスコートの仕方や、食事の仕方や、私の話に対してのコメントなど・・・
その、細かな部分から、私は気付くと、比べながら想い出している。
似たような場面に出くわす度に・・・私は、彼との思い出の世界にいる。
名前を呼ばれ、ふと、現実に引き戻される。
帰りは一人になりたいから、送ってもらわない。
どうしてかは分からないけど、帰りは一人になりたい。
いつものように、iPod取り出し、音楽を聴きながら一人帰るのが好き。
そして、私は、ブラックジャックではなく、彼を想い出している。
家に帰り着いたら、無事帰宅したかどうか・・・ブラックジャックから電話があった。
その瞬間、今日発見したマイナス点が、帳消しになっていくのを感じた。
でも、それは決して愛情の始まりではない。
どこかで、こんな二重の想いを断ち切らなくては・・・
素直に、優しさを愛情を受け入れようと・・・
そう思うけれど・・・。
それは、とても難しい。
私の部屋のウォークインクロゼットの奥の奥の奥に、秘密の箱がある。
禁断の箱。
それを開けるには勇気が要る。
でも、時に、それに触れてしまう。
ふと、その中の一通を手にし、便箋を取り出した。
”本当に、本当に、君と出逢って僕は180度変わったと思う。
こんなに毎日が楽しくて、幸せで、こんな事は生まれて始めて経験するよ。
僕は、もう君以外の人は愛せないし、これ以上誰かを愛す事も出来ないよ。
だから、ずっと僕の傍に居てください。
絶対だよ。
何処にも行かないで、ずっとずっと僕の傍に居てね。
一生、君を愛し続けるからね。”
少し角ばった、でも、とても丁寧な彼の力強い懐かしい文字。
便箋一杯に、そんな風に書かれてある。
そして、いつも、手紙の終わりには、
Ti amo!
とイタリア語で書かれてある。
愛してる。愛してる。愛してる。
照れくさくて、とても言葉に出来そうには無い言葉だけど、
彼は、私にどれだけの”愛してる”をささやいただろう・・・。
こんなにも、愛し愛された想い出を、そう簡単には消せない・・・。
彼を心から消し去る事なんて、出来るはずもない。
私は、こうして、ブラックジャックと会ってるときにも、心に別の人を大事に抱えてる。
ブラックジャックと、この先どうなって行くかは分からないけれど、
例え、ブラックジャックでなくても、どんな人でも・・・
私に彼を忘れさせる事など、出来ないと思う。
もう二度と、彼と私の人生は重ならないと思うけれど、
それでも、私は、彼を、彼だけを・・・愛し続けていくのだと思う。
彼と私が出逢った、イタリアのあの場所がどんなに姿を変えても・・・
二人が過ごした日本の、あの街がどんなに姿を変えても・・・
二人が過ごしたあの部屋がなくなっても・・・
私は、鮮明に思い出せる。
何も忘れない。
忘れる事など・・・出来ない・・・。