彼は、一月中に帰ってしまうから、

いつも、私はバレンタインデーのチョコレートを送っていた。


どの季節も一緒に過ごしたかった。

最愛の人。


私がどんなに貴方を愛していたか、知ってる?

私がどんなに貴方の居ない時間を寂しく思い待ってたか知ってる?


そして。。。今も私が、貴方を愛し続けてること・・・知ってる?


こんなに、こんなに、こんなに、愛している人が居る私の人生は、

長い人生の一瞬であったとしても、こんなに輝いた想い出があるのだから、


私は幸せなんだと時折思う。

そんな天使な自分と・・・


悪女が私の中に今、混在している。


無垢に純粋だったあの頃の私には、もう戻れないかも・・・。


でも、貴方を想う時の私は、清らかで居たい。



あの人は、嘘つき。

だから、私は、当然の報いを受ける。


あの人は、白々しい嘘を平気でつく。

なのに、世間では優しい人だと思われる仕事をしている。


アイツは大嘘つきで、病気を人に移してしまうかも知れない事に

罪悪感なんて持ってない。


ムッツリスケベの嘘つき。


だから私は、決まった金額の援助を毎月受ける事に、

申し訳ないとか、思わない事にしていた。


ヤツは、最近、白々しく儲からない振りして、私に振り込む金額を減らす事がある。

そして、何度も追加金で私を呼び出す。


心の中で私は、ヤツを憎んでる。

心底・・・。


だから、あの人がハマる、嘘泣きでヤツにその罪悪感を持たせる。

単細胞な人間だから、その瞬間は騙されやすいのだ。


私は悪女???


そんな事ない。私は裏切られたのだから・・・病気だって移されそうになったのだから、

愛人でもないけど、会社の援助金だけは、もらい続ける。


それは・・・私にとっての慰謝料だ。


ヤツは、今月も嘘をつく。

だから、絶対に許さない。


心を鬼にしなければ、善良な事ばかりしてても、

神様なんて居ないのだから、

もう、ウンザリ。

こんな運命なら、もう、いい人で居るのはやめにするんだ。



尾崎豊の、I Love You  をきくと、

必ず彼との日々を思い出す。


2DKの部屋で、二人寄り沿い暮らした日々を・・・。

キッチンの窓からは都庁が見えて、夕方キッチンに立ち、

都庁の明かりを見ながら、料理をする私の後ろに回って、

彼は私をいつも抱きしめてた。


”邪魔だから・・・テレビ見ててよ”


”や~だね。離れたくないんだ”


いつも、そんな風だった。


私に”愛”を教えてくれた人。

貴方が、100年幸せでありますように・・・

何かの歌詞じゃないけれど・・・


貴方との日々を取り戻したいのに・・・

でも、貴方の幸せと成功を願ってる。


貴方が・・・100年幸せでありますように・・・。


私は、どうやら・・・本当に貴方を愛してるみたい。

無償の愛をここに感じるもの。


私は、私の最期は貴方からの手紙に埋もれて終わりたい。

宝物をありがとう。


これだけはいえる。

奥さんは、こんなもの持ってない。

彼からの何百通ものエアメールを・・・ラブレターを・・・。

妻と言う座には居られなかったけど、

でも、これだけは、勝てるんだ。


結婚相手は、決して最愛の人ではない。

たまたま・・・タイミングがそうであっただけで・・・


最愛の人とは異なるものだと思う。


だって、私もそうだもの。


最愛の人は、今もあなただけ。





嘘つきな彼は、今月私への援助金を半額で振り込んできた。

そして、


”ぼく、本当に今月お金がないんだ。”


そういい、私に保険金の通帳らしきものを見せた。

こう言うの、これで2度目。

だけど、私が、うっすら涙うかべた時などは、

”一生援助するから、心配しないで。”なんて、言う。


所詮、解約しようとでも思ってた通帳だと思うから、

どうでもいいので、私は、ほとんど見ていなかった。


彼は、こうやって、みえすいた嘘を時々つく。

お金が無い筈がない。

病院を何件かやってるのに・・・それて、援助を断ったとき、

僕には億のお金があるんだから、使って欲しいんだよ。


そう言ったくせに。


やっぱり、時々嘘をつく。

そして、私を困らせようとする。

私は、頃合を見て、嘘の涙をほんの少し流す時もある。

そう言うとき、ヤツは、急に元に戻る。


悪い女かな?でもいい。私は、ヤツに病気をうつされかねなかったのだから、

この人には、とことん悪女で居ようと思う。


純粋に生きていた善良な時代を、神様は踏みにじったのだから、

私は、悪女になる事だって、ちっとも怖くない。


世の中に罰なんてないんだもの。

やったもの勝ちなんだよ。


愛して無いから、彼のどんな嘘にも、転がすように対応できる。


悪い・・・なんて、そんな気持ち、捨ててしまうんだ。

だって、どうせ、嘘なんだもん。


彼は、嘘をつく病気なんだもん。


私が、清らかな思いで居られるのは、過去に愛したあの人しか居ない。






昔、彼は私と付き合い始めて、大学が休みに入ると日本に帰ってきていた。


ある日、私がティファニーのオープンハートの指輪を何気なく可愛いなって

言ったら、それから、数日後、彼はそれをプレゼントしてくれた。

私は驚いた。


欲しくてねだった訳じゃない。

わざと、欲しそうに言ってもいない。


”ど・・・ど・・・どうしたの???”


そう言うと、


彼は、4日間引越し業者のアルバイトに行ったんだと言った。


私は、ポロポロポロポロ涙がこみ上げて、大泣きしてしまった。

今も大事に箱に入っている。私の大事な宝物。


今私は、小さな会社を興している。

それを援助させて欲しいと、元彼が言い出した。

断っても断っても、私の夢を叶えたいんだと言うので、その言葉に甘えてる。


その人とは、大恋愛の果ての数年後に付き合った相手で、

私は芯から彼を愛していなかったし、彼の嘘をつく癖にも疲れていたので

私からアッサリ別れた人だ。


嘘といっても、浮気とかそう言う格好良いものじゃなくて、つかなくても良いような

場面で、子供のように、とってつけたようなどうでもいい嘘をつく。恐らく、病気だろう。


彼は自分の持病を隠し私と付き合っていた。

後になって、持病を告白し、私には感染していないと、良い人ぶって

言ってたけど、私は怖くなって病院で検査を受けた。


感染はなかった。


怒りがこみ上げてきた。でも、愛しても居ない男と付き合っていたバツだと

感染していなかった事を良しとし、アッサリ別れた。


でも・・・これが、あの人だったら?

一緒に死ねるくらい愛してた。だから、事後報告も、苦しかったでしょうと

逆に慰めてあげたに違いない。


私は、強く申し出る彼の援助を受け、資金を毎月振り込んでもらっている。

それは、自分の中で、これでおあいこだと思っているような気がする。


本当は・・・・今、私がしてる事、

凄く悪い事だと思うけど・・・でも、色んな事が起こり、


私は・・・こうでもしなければ、自分の人生に決着がつかない。

真面目に、良い人で、善良に生きても、神様は私に、残酷な仕打ちしか与えないのだから


こうでもしなければ・・・私、死んでしまいそう。


例え、何もなくても、彼さえ居れば良い。

そんな風に心から思ってた、時代に、何の障害もなく、

親の同意も得て結婚していても、

それは、幸せではなかったのかな・・・。


やっぱり、結婚は生活だもの。

先ずは、生活力あってこそ・・・それが魅力?


私は、ただ、不自由のない今の生活の中に

昔の大恋愛の・・・恋の部分だけを、大事に大事にしてるだけなのかな・・・。


もう少し、現実的に、妥協と言う物も学ばなければいけないよね。


明日から、努力してみよう。

今日は、あの人の誕生日。

昔はいつも私の手作り料理でお祝いした。


今日、私は朝起きて、


”お誕生日おめでとう”


そう独り言のように呟いた。

私の独り言よりも先に、彼は・・家族に、奥さんに、

”おめでとう”を言われたかな・・・。


きっと、彼の奥さんと子供でお祝いしてるんだろうな・・・。


昔、私は彼のお誕生日にケーキを焼きたくて、

最新のオーブンレンジ16万円出して買ったっけ。。。

親に反対された生活を送ってた私には、痛い出費だったけど、

清水の舞台から飛び降りた。


朝から、買い物に行き、ケーキや手巻き寿司や・・・部屋も飾って、

彼がやって来て、それに感動してる姿が、とても嬉しかった。


”ありがとう!ありがとう!ありがとう!”

彼は、何度もそう言いながら、私を力一杯抱きしめた。


食事をして、電気を消してロウソク飾った手作りケーキを出して、

また、彼、最高に感動。


でも、そこで・・・私電池切れ。


彼  ”耳真っ赤だぞ。熱あるんじゃないか?”

私  ”平気よ”


彼は私のおでこに手を当てて、びっくり。体温計で計ると40度超えてる。


翌日から一週間、私は会社を休んで寝込んでしまった。

ちょっと、頑張りすぎちゃった。


彼は、毎日、おかゆを作ってくれた。

”たまごがゆ”


あの日に戻れるなら、

私、全て失ってもいい。

たった一日でも、時が戻り、その日に暮らせるなら、

明日死んでも構わない。


一日でも・・・二人には永遠に別れなど来ないと信じてた・・・

あの頃に戻れるなら・・・一日でもいい・・・

そんな奇跡が起こるなら、


神様、私は明日命をとられても構わない。


愛してる。







大学4年の秋、私は大手企業に就職も決まり、後は卒論と残り少ない大学生活を

満喫するだけで、平穏な日々を送っていた。


同じゼミの友人と、何を思い立ったか、突然、暇な内に卒業旅行へ行こうと

言う事になり私達は、二人でヨーロッパへ旅立った。2週間の旅だった。

先ずはイタリア、ローマへ向かった。そこから最後はフランスへ行って帰る予定の

本当に、気ままな旅に繰り出した。

でも、私にとってイタリアは3度目の旅だった。


その旅で、友人が道を訪ねたのが彼だった。

友人は、彼に道を聞くと、私の方へ駆け寄ってきて、

”あの人、留学してる日本人だって。

だから、あの人に教えてもらおう”そう言い、知らない人に声を掛けたり、

着いて行く事に気の進まない私の腕を彼女はグイグイ引きながら、

彼の傍まで行った。


私達は目を合わせた瞬間に、二人共、見つめ合ってしまった。

探し続けてきた人が目の前に居た。

私の中で、確かに鐘がなった。それは、彼にも鳴っていると何故かそう感じた。


もしかしたら、それは数秒だったのかも知れないけれど、

私達は長い間、見つめ合っていたように思う。


友人も、私たちの異変にその時直ぐに感じていたらしい。

そして、その電撃は、互いに同じだったと、

その後彼からの告白で直感は当たったと思った。


私達は、その瞬間から急速に惹かれ合い、お互いの事を話してる内に、

日本での住所が本当に直ぐ近くである事を知り、

運命のようなものを感じた。


この出会いが運命であると、感じずには居られなかった。


出逢った瞬間の、衝撃は、今もこの胸に鮮明に残っている。





今日、5時間くらいブラックジャックと過ごした。


彼は相変わらず、そわそわと水を飲む。

相変わらず、喋りっ放し喋っている。


私は、また、今日も彼の話を聞いていた。

と言うよりも、観察していたと言う方が正しいのかも知れない。


エスコートの仕方や、食事の仕方や、私の話に対してのコメントなど・・・

その、細かな部分から、私は気付くと、比べながら想い出している。


似たような場面に出くわす度に・・・私は、彼との思い出の世界にいる。


名前を呼ばれ、ふと、現実に引き戻される。


帰りは一人になりたいから、送ってもらわない。

どうしてかは分からないけど、帰りは一人になりたい。

いつものように、iPod取り出し、音楽を聴きながら一人帰るのが好き。

そして、私は、ブラックジャックではなく、彼を想い出している。


家に帰り着いたら、無事帰宅したかどうか・・・ブラックジャックから電話があった。

その瞬間、今日発見したマイナス点が、帳消しになっていくのを感じた。

でも、それは決して愛情の始まりではない。


どこかで、こんな二重の想いを断ち切らなくては・・・

素直に、優しさを愛情を受け入れようと・・・


そう思うけれど・・・。


それは、とても難しい。


私の部屋のウォークインクロゼットの奥の奥の奥に、秘密の箱がある。

禁断の箱。

それを開けるには勇気が要る。

でも、時に、それに触れてしまう。


ふと、その中の一通を手にし、便箋を取り出した。


”本当に、本当に、君と出逢って僕は180度変わったと思う。

こんなに毎日が楽しくて、幸せで、こんな事は生まれて始めて経験するよ。

僕は、もう君以外の人は愛せないし、これ以上誰かを愛す事も出来ないよ。

だから、ずっと僕の傍に居てください。

絶対だよ。

何処にも行かないで、ずっとずっと僕の傍に居てね。

一生、君を愛し続けるからね。”


少し角ばった、でも、とても丁寧な彼の力強い懐かしい文字。

便箋一杯に、そんな風に書かれてある。

そして、いつも、手紙の終わりには、


Ti amo!

とイタリア語で書かれてある。


愛してる。愛してる。愛してる。


照れくさくて、とても言葉に出来そうには無い言葉だけど、

彼は、私にどれだけの”愛してる”をささやいただろう・・・。


こんなにも、愛し愛された想い出を、そう簡単には消せない・・・。

彼を心から消し去る事なんて、出来るはずもない。


私は、こうして、ブラックジャックと会ってるときにも、心に別の人を大事に抱えてる。

ブラックジャックと、この先どうなって行くかは分からないけれど、

例え、ブラックジャックでなくても、どんな人でも・・・


私に彼を忘れさせる事など、出来ないと思う。


もう二度と、彼と私の人生は重ならないと思うけれど、

それでも、私は、彼を、彼だけを・・・愛し続けていくのだと思う。


彼と私が出逢った、イタリアのあの場所がどんなに姿を変えても・・・

二人が過ごした日本の、あの街がどんなに姿を変えても・・・

二人が過ごしたあの部屋がなくなっても・・・


私は、鮮明に思い出せる。

何も忘れない。

忘れる事など・・・出来ない・・・。



先日、知り合いの外科医と夕食をした。

まだ、お互いに知り合ったばかりで、お互いをよく知らない。

彼は私よりも7歳年上。素敵なイタリア料理のお店を予約してくれていた。

席に通されると、テーブルの上には小さなバラの花のアレンジとキャンドルが

ゆらゆらと光揺れていた。


彼は、ずっと喋っていた。

だから、私はずっと話を聞いていた。


彼がふいに

”君っていつもそうなの?”と、聞いてきた。


意味が分からず、彼を見つめて居ると、

”いつも、そんな話し方や、笑い方をするの?例えば、怒ったり、怒鳴ったりさ・・・

そう言うの、君にもあるの?”


と、本当に不思議そうに聞くから、


”私、何か変ですか?”

そう聞き返したら、


”君みたいな女性には初めて出逢ったよ”

そう言った。


私は黙って、ただキャンドルの火を見ながら、デザートのケーキを食べていたら


”勿論、いい意味での初めて出逢ったって意味だけどね”

と、付け加えた。


私は、他の事を考えていた。

そう。昔は、喜怒哀楽と言う物があったような、気がした。

遠い昔に愛した、あの人と居た頃は、私、おっきな声で笑ったり、ふざけあったり、

話したい事もたくさんあって、何から話せば良いか分からないくらい、一杯だった。


それ以後、私はよく男性に同じ質問をされる。

私は、きっと、心ここにあらず・・・なのだと、思う。


こんな事を書いている矢先に、外科医ブラックジャックから電話・・・。


出逢ってから、とても強引に毎週のように誘ってくる。

私には意思がない。強引な人にただ流されて行く。いつもそう。


多分・・・今までもそうだったように、これからも、ずっとずっと心の中で私は

目の前の人ではない、昔愛した彼を想い続けていくのだと思う。