着信を知らせるケータイのライト。急用ならば院内用のケータイが鳴るはすで、俺個人のケータイに連絡するなら大したことでもなさそうだし後回しになって忘れていた。

それを、ひと息ついたところで思いだした。

メッセージを開くなり目に飛び込んできたのは、流行のファッションに身を包む真行寺の笑顔。その後ろには巨大なクリスマスツリーが燦然と輝き、デカイはずの真行寺が小人のように見える。

ーそうか、今日は撮影があるんだったな。

いつもはラフな服装を好む真行寺が、スタイリストの見立てたタイトラインのスーツを魅力的に着こなしていた。子供の頃から大学に入ってあの怪我をするまで剣道を続けていた真行寺は、肩幅が広く足腰にもメリハリがあるので、スーツ映えする体格をしている。日頃からこうしていれば周りの見る目も違うだろうに、アイツはそれを気にする様子もなく動きやすいスポーティな服装だから、裏方の雑務をやらされるんだ。

メッセージには動画も添付されている。ツリーのネオンが彩りを変えて、シックなムードの電飾を照らしている。そこには真行寺が映っておらず自分で撮影したのだろう、賑やかな声だけがスピーカーから流れてきた。

「見て見てアラタさん、キレイっしょ。時間になると色が変わるんすよ、アダルティっすねえ。いいよなー、こういうクリスマスツリー。ひとりで見るなんてもったいない。やや、寂しいっす」

ツリーはアダルトでも、おまえがな・・・

いつもと変わらぬはしゃいだ声に、頭痛が起こりそうだ。ここまでゴージャスなツリーは市販されていないだろうが、電飾の変わるものなら販売されてないかな。後は手動で楽しんでもらうしかあるまい。

そうして俺は今、パソコンで家庭用のクリスマスツリーを検索するハメに陥っている。

 

その後、深夜に、日付も変わる頃に届いた真行寺からの新たなメッセージは、

『早く会いたいなぁ』と始まっている。続けて、奮発してクリスマスツリーとスパークリングワインを購入したので、早くふたりでイルミネーションを楽しみたいと書いてあった。

クリスマスまで待つつもりなど微塵も感じさせない誘いに、どう答えたものやら。

 

 

 

 

 

クリスマスツリーの写真見せて

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