やきいもやきいもお腹がグー

ほかほかほかほかあちちのチー

食べたらなくなるなんにもパー

それやきいもまとめてグーチーパー♪

 

陽気な歌声をあげる真行寺は、満面の笑みをたたえて両手の間でアルミホイルを転がしていた。

「アラタさん、今日なんの日か知ってるっすか?」

大事そうに抱えたホイルの包みを開きながら、クイズをはじめた。

「さあな、誰かの誕生日かい?」

「はーずれ!コレの日っす」

包みから現れたサツマイモをまっぷたつに割り、片方を差しだしてきた。たちまち湯気をのぼらせるサツマイモは、山の紅葉のように黄色く熟れている。甘やかな香りを放つそれをひとくちかじる俺に、真行寺はさらに続ける。

「昔の人は、栗より四里旨い十三里!つったらしいっすよ。江戸から産地までが十三里あったから、サツマイモは十三里になったってばあちゃんが言ってたっす」

「ふーん。そうしたら、南瓜は何里なんだ?」

「は?ナンキン???ナンキンって、かぼちゃっすか?」

今まさに芋にかぶりつこうとしていた真行寺は、目をまんまるに見開いて見返してくる。

「栗、芋、秋のスイーツなら南瓜も仲間だろう」

「ああ、そゆことね。かぼちゃの日は31日だから、まだ先っすよ」

話の筋道を納得したようで、ようやくかぶりついた真行寺は満足そうに笑う。

「それは、ハロウィンだろうが。おいおい、国境を越えるのかい」

「アメリカまで、何里あるんすかね?」

「スイーツ・オブ・キングなくらい、旨くなるんだろうな」

こいつと話していると、本当に、つくづく飽きない。子供のような無邪気さで、論点を次々に脱線させてもちゃんと会話をつなげていく、これもある種の才能なんだろう。

 

 

 

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