3話

『 スイッチON 』



小学4年生

その頃の僕は何をやるのも遅くてさ…。
わからない事を聞く事もできなくて
周りの子がやってるのを見て
『フムフムあ-やればいいんだな』
て、確認しながらやってたんだよね。

計算するのも
字を書くのも
絵を描くのも
給食を食べるのも
何もかもドベ

体育だけは成績よかったな。
頭を使わないからかな(笑)

遊ぶ時は普通に話す友達が
すぐ隣りにいるのに、
授業中は緊張してるせいか
普通に話せなくなっちゃうんだよね。

『これどうやるの?』
『これでいいのかな?』
が、誰にも聞けない。
いつもドベだったよ。


先生は、いつも呆れてたな。

社会の授業でプリントが配られた。
『これを書いたら先生のとこに持ってきて下さい。』

…こういうのが一番苦手だった。

静かな教室
鉛筆の書く音だけが聞こえる

緊張で頭が真っ白になる
問題の意味が頭に入らない
鉛筆が進まない
余計に緊張する

…負のループ

できた子が次々と
プリントを先生のとこへ持って行く。

またドベだ。

帰りの会が終わってから
先生とプリントをやる事になった。
先生と向き合ってなんて
よけい頭が働かなくなる。

 

…最悪だ。

汗が出る
息苦しい
体が動かない
声が出ない
早く帰りたい
でも終わらないと帰れない

最悪な状況

動かない僕に先生がイライラしてきた

動かない生徒に呆れて
先生がイライラするのはあたりまえだよ。
小4の僕にも、それくらいはわかった。

でも、どうしたらいいの?
頭が働かないし
体が動かない

『先生、もうすぐ会議があるのに…
やる気がないなら帰りなさい💢』

やった-!帰れる😭

…その時、なぜだか
先生の『帰りなさい💢』の意味を
そのまま受けとめたんだよね😅💦
もはや頭がバグってたんだと思うよ。

僕は、立ち上がって
本当に帰ろうとした…

『 チッ 』

先生の舌打ちが聞こえた。

その瞬間
僕の場面緘黙症のスイッチが
完全にONになった。