一般名はグリコピロニウムであり、吸入薬のムスカリン受容体拮抗薬である。
適応はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)であり、スピリーバの対抗馬という事になる。

COPDの治療薬は昨今、次々と新しい製剤が出ている、または適応拡大されているような気がする。
ここでCOPDの治療薬をおさらいしたい。
まず、長時間作用型抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)はスピリーバ®と今回発売のシーブリ®が現在使用可能である。
そして、長時間作用型β2刺激薬がオンブレス®、オーキシス®、セレベント®、ホクナリンテープ®、(以下はステロイドも配合)アドエア®、シムビコート®である。
ただし、β2刺激薬は喘息をβ2刺激薬だけでコントロールすると予後が悪くなる臨床結果を得ている。COPDか喘息かはっきりしない場合はβ2刺激薬だけのコントロールは避けなければならず注意が必要である。

さらに、短時間作用型抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)としてはアトロベント®、テルシガン®があり、
短時間作用型β2刺激薬としてはベネトリン吸入薬®、サルタノール®、アイロミール®、メプチン®、ベロテック®などがある。

というわけで、スピリーバと新薬のシーブリの比較をしたい。
中身の成分自体はスピリーバのチオトロピウム臭化物水和物とシーブリのグリコピロニウム臭化物との間では大きな差は無いようだ。
というわけで、デバイスの面で比較しようと思う。

まず、シーブリのスピリーバより優れている点を述べたいと思う。
①カプセルの回転が縦回転なので、スピリーバではできなかった寝ながらの吸入ができるという点である。
※これはオンブレス吸入薬の回でも書いた。
②デバイスの形状が小さく、スピリーバのように丸くつるつるしていない。
③針のボタンが両方向から押せるため、スピリーバに比べて針のボタンが軽い。
※スピリーバは片方のボタンで両方向から針が出る構造になっているため、ボタンがやや重い。
④吸入すると甘みを感じ、吸入しているかどうかがわかりやすい。

次に、シーブリのスピリーバよる劣っている点だが、
①吸入カプセルの入ったシートは表面のシートを剥がして出すタイプのシートなのだが、
明らかに押して出すようなデザインであるため、押してカプセルをつぶしてしまう可能性が高い。
※ただし、押しつぶしてしまっても形を整えたらうまく回って吸えたので、潰してしまった場合は形を整えることを試みていただきたい。
②スピリーバのように回っているところが目視できない。
③上記の④にも関連するのだが、甘みを感じるくらいの乳糖が充填されているので、粉の量がスピリーバよりも多い。そのため、むせる事がある。
 対策としては、すこし喉を水かなんかで湿らせて吸入することである。

シーブリ吸入薬は非常に優れたデバイスであると思う、しかし、当薬剤部でもシーブリ勉強会時に吸入にやや手こずっている薬剤師も何人かいた。
患者さんならなおさらであるので、しっかりとした吸入指導が必要である。
また、吸入カプセルのシートは剥がすタイプであるので、その点も指導する必要がある。
※同じデバイスのオンブレスは押し出すタイプのシートであるのがまたややこしくしている。