FLYING BALOON
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STARTING POINT 2

北海道は19歳の私にとって、全く未知の世界だった


空と地平線と果てしなく続く一本道…


ただエギゾーストノートの鼓動を体で感じ、見える世界にひとり、自分の存在をヘルメットの中で感じる

鼻歌がヘルメットを伝わって聞こえた



途中、増毛で海の家に立ち寄った

アルバイトで夏休みだけ働きに来た札幌の人と出会った

ほんの束の間の午後のひととき

波の音をBGMにとめどなく会話を交わす

その時その場所に行かなければ、その人とは一生出逢うことはなかったはずだ


出逢いとはそういうものなのだろう


では自分の存在とは一体…


出逢うことがない人にとって、自分とは存在することのない存在なのだろうか…

つまり、自分は死んでいるのと同じ存在なのだろうか…


頭が少々混乱した…


自分の存在を確かめるように、彼に写真を撮るのを頼んだ


そんな自分にお構いなしに、波は時を刻むように砂浜に打ち寄せていた…

STARTING POINT 1

ただ今38歳

いつの間にこんなに歳を重ねてしまったんだろう…


あの頃、私は東京にいた


高一の春
自転車で東京から名古屋を目指した

途中横浜できつい雨に降られて、行き交うサラリーマンを横目に、雨ガッパを着たまま駅で雨を避けていた

いつか自分もこの群衆にもまれながら日常を送るのか…

そう思うと30年先、40年先の自分の姿が微かに見えた気がして寒さを感じた


違う人生はきっとあるはず


何かはわからないけど、それを探すのも無駄ではないような気がした…

そのひとつの手段が「旅」だった


そして、大学生になり、都落ちをした


自分探しの旅はここから始まった…


19年前、大学1年生、1月。寒さと闘いながら、中型二輪免許をとった
(今は普通二輪と名前は変わっているが)


自転車を単車に換えて、移動範囲を広げた

最初の相棒はYAMAHA Virago250

大学2年夏、ひたすら国道1号線を東に向かって走った

ギラつく太陽が肌を焦がし、トラックの排気ガスが肺を侵す

湘南の女連れのサーファーに紛れて、ファミレスで昼食をとる

手で顔を擦れば、排気ガスの煤が手にびっしりとこびり付いていた

そんな自分の姿を彼らはチラッと一瞥する

どう見られようが気になんて全くならなかった


そして真夜中に出航する東京の有明埠頭からフェリーに単車を積んで、自分の体分のスペースしか与えられない二等客室で一夜を過ごして北海道へ向かった…