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■ NOTES ■
今日の牧田さんは最後に対戦した打者、McGehee選手との
敬遠四球を指示された勝負を除いていくと
初球ストライクを奪った勝負を計15度で
ほぼ全体の2/3近くと数多く積み重ねていくことに成功すると共に
逆に初球から2球続けてボール球を記録した勝負も
わずかに2度に抑えることに成功、
結果から観ていっても
1ボール以内で決着がついた勝負が計15度で
こちらも全体の2/3を占めるまで数多く積み重ねると共に
逆に3ボール以上を記録した勝負はのべ3度のみに抑え
四球も1個のみで四死球によって奪われた余計な出塁もその1個のみ、
ストライク率も計85球中ストライク60球で
実に7割を超えてくる非常に優秀な成績を残しましたから
文句なく抜群に大胆にゾーンで勝負し続けていくことに
成功したと高く評価できる投球でした。
それは今日奪ったアウト全14個中、
外野手の処理したある程度鋭く飛距離の長いフライアウトを
3回のMcGehee選手との勝負わずかに1個のみに抑えつつ
残りは三振2個に加えグラウンドアウト実に9個(うち併殺打2)という
本格派投手として理想的なアウトの奪い方にもよく表れ
あとで詳しく分析していきますが
数多く安打を浴びていくものの
すべて単打にまとめたという結果にも繋がっていったと観察できます。
このように、失点・自責点ともに
3回に走者を二三塁において2アウトから銀次選手に浴びた
ある程度詰まりながらも外野に落ちた
フライボールの単打による2点に留めながらも
5回2アウトで走者を三塁においてMcGehee選手を迎えた場面において
そのMcGehee選手に対し敬遠四球を命じられると共に
その敬遠四球を実行し終えた後に
交代の指示をされ、マウンドを降りることとなった原因は
やはりすべて単打ではあるものの計14個のアウトを積み重ねる間に
実に9本もの安打を浴び、走者を数多く背負っての勝負が
続いていったことに求められるといえ
更に掘り下げて、今日なぜそれだけ
数多くの安打を浴び続けていったかといえば
結論から言えば、今シーズンの課題である左打者に対して
シーズンを通して牧田さんが非常に大きな武器としてき続けた
内角を厳しくえぐる速球(4シーム)が
内に入りすぎてボール球となったり
そして何より逆に真ん中~外角方面へと数多くずれたりして
思ったように制球できず、効果的でなかったことが挙げられます。
今シーズン、左打者に対してのべ358人と対戦し
.310/.362/.453(被打率/被出塁率/被長打率)と
のべ288人に対して.230/.283/.310という素晴らしい成績を誇る
右打者との対戦成績と比較しても
ある程度大きく差のある、
物足りない成績を残している牧田さんですが
その最大の原因は、うち実に3/4ほどもを占める
217人との勝負で結果を残している速球(4シーム)において
.308/.353/.408という、こちらも物足りない成績を
残していることにあると観察できます。
そして、更にその左打者に対しての速球(4シーム)について
詳しく掘り下げていきますと
下の"Hot/Cold Zones - YTD"のチャートにおける
左打者に対する4シーム速球のゾーン領域別の成績を
観ていただいてもよくわかるとおり
その内角に投じた速球(4シーム)は
全体的に優秀な成績を残しているのに対し
それが真ん中、もしくは外角へと到達すると
一転してほぼすべての領域において
物足りない成績に留まっていることが観てとれ
つまりは内角へ到達した4シーム速球は効果的であるものの
真ん中~外角へ到達したものはあまり効果的であると言えないことがよくわかります。
そこで、シーズン中盤頃から牧田さんがそれに対処するために改善し、
そのゾーンの攻め方のレパートリーに加えてきたことが
もちろん、まずは変わらずに引き続き
左打者の内角を厳しくえぐる速球を
その高低に投げ分けつつ数多く駆使していくことを
大前提として継続していきながら
課題の真ん中~外角への攻め方に関しては
まず第一に、
4シーム速球の軌道から鋭く沈む2シーム系のsinking fastballや
そのsinking fastballとほぼ同じ軌道ながらも球速差のあるチェンジアップを
その2種類の球種レパートリー間で緩急を駆使しながら
徹底的にゾーンの低め以低に集めていくことと、
そして第二に、
そうやって徹底的にゾーンの低め以低に沈ませていく
sinking fastballやチェンジアップと対照的に
4シーム速球を意図的に数多くゾーンの高め以高に投じていくこと、
この2つの対照的な、メリハリの利いた
もちろん相乗効果を発揮することの大いに期待できる
効果的なゾーンの攻め方であると総括できます。
さて、今シーズンここまでの牧田さんの
投球レパートリーの変遷を順を追って振り返ってきましたが
それを踏まえてさてようやく、それでは今日の牧田さんは
どうであったかという点に目を向けていきますと
2シーム系のsinking fastballそしてチェンジアップは効果的で
数多くのグラウンドアウトを誘発していくことに成功していくものの
それとセットで利用すべき高めを意図した4シーム速球が
初回に藤田選手に多少詰まりながらも
外野手の前に落ちる単打を浴びたこともあってか
全体の1/4程度に留まったことに加え
(※前回登板9/19 ファイターズ戦《西武ドーム》では約45%を占めました)
上で結論として述べたとおり、もうひとつの大きな武器として
今シーズンを通じて牧田さんの武器であり続けた
左打者の内角を厳しく効果的にえぐる速球が
ある程度数多く甘く外角方向へと入り
もちろん2回には枡田選手に対して
そのずれ幅が大きく、外角のボール領域にまでずれたため
空振り三振を奪うこともあったものの
それでも3回に岡島選手に、そして(2失点を喫した)銀次選手に浴びた単打は
いずれもその甘く真ん中~外角へとずれた4シーム速球でしたし
5回には左打者、藤田選手そして銀次選手が
今日の牧田さんはその内角の速球が効果的ではないことを感じとって
外角への投球に狙いを定めて
チェンジアップをそして4シーム速球をみごとに弾き返して
先頭打者から2連続で単打にしていくこととなったため
今日は数多く、それも特に左打者に計7本の安打を浴びるなどして
常に塁を賑わせていく非常に苦しい投球となっていったとともに
その左打者の内角を意図した4シーム速球の制球が
ゲーム中盤になってもなかなか改善の兆しを見せなかったため
5回途中で、早めの交代となったと観察できます。
以上長くなりましたが、今後ももちろん課題は引き続き
左打者に対する効果的なゾーンの攻め方にありますから
もちろん大前提として、今日のように
常にストライク先行の投手有利なカウントで勝負し続けていきながら
ゾーンを大胆に攻め続けていくことは言うまでもありませんが
それに加えてまずは今日の反省を活かして
まずはその内角を厳しくえぐる4シーム速球の制球を調整し
効果的にストライクを奪ったり凡打を誘発していくこと、
そしてそれに加えて引き続きその外角方面に関しては
ゾーンの高め以高を意図した4シーム速球と、そして
逆に徹底的にゾーンの低め以低に集め沈ませていく
2シーム系のsinking fastballそしてチェンジアップとを軸に
同じく効果的にストライクを奪ったり凡打を誘発していくこと、
これらをきっちりと確実に実行していきながら
まだまだ物足りない左打者の対戦成績を
シーズンも最終盤ではありますが
着実に改善・向上させていってほしいと願います。