使用している用語についての詳細はこちら → 【 用語集 ( Acronyms, Abbreviations & Jargons ) 】
■ NOTES ■
まずはアップデートのご報告から。
一番下の、先発投手の統計成績分析のシートにおいて
走者状況別にスプリットした成績を付け加えました。
具体的には ① 走者なしでの成績 ② 走者を背負っての成績 そして
③ 走者を得点圏に背負って(Runners In Scoring Position)の成績の3種類です。
この走者状況別に分割した成績を見るにあたって
投手の成績にせよ、また打者の成績にせよ
よく走者を得点圏に背負って(RISP)の【被打率/打率(AVG)だけ】をとりだしては
【得点圏打率】と銘打って
それがあたかも得点圏での成績(RISP)の“すべて”、また
好機における成績の"すべて"かのように紹介している場面を
非常に数多く見かけますが
まず第一に、
現在では特に打者の成績評価を見ていただければよくわかるように
打率だけではなく、むしろ出塁率や長打率が非常に重要な評価指標になっているのに
打者にせよ投手にせよ、未だにRISPの状況においては
打率だけが唯一無二の指標かのように扱われるのは非常におかしいと言え
RISPの状況で四死球を数多く奪う、または長打を数多く弾き返す打者や
また逆にそうではない投手も適切に評価していく必要がありますから
ここでは被打率/被出塁率/被長打率の3つの指標を並べて表示し
そして最後に参考までにOPSの値も表示してあります。
そして第二に、
投手、それも連続して数多くの打者たちとの勝負を積み重ねていき
長いイニングを消化していくことが求められる先発投手にとっては
RISPの場面で好成績を収めることよりも、まずは
これまでのゲームレヴューでも何度も触れてきたように
どれだけ走者を背負った場面での勝負を、そして特に
得点圏に走者を背負った場面での投球を避けていくかが
最優先に着目されるべき、最重要であるといっていい要素であるといえますから
ここでは①②③すべての状況において、その投手が
その状況でいったいのべ何人の打者との勝負をこなしてきたかを
PA(被打席数)の欄で合計し表示すると共に
それが今シーズン全体の勝負=被打席数のうちの
どの程度の割合を占めるのかを
そのPAの欄の横の'%'の欄で青文字で表示しております。
今シーズンここまでの岸さんでいえば
走者なしでの状況での勝負は全体の6割ほどを占め
逆にRISPの状況での勝負は全体の23%に留めつつ
更には、特に走者を背負っての勝負、またRISPの場面での勝負を
苦手にしていることもなくむしろ相対的に、全体的に好成績であることが観て取れますから
まずは第一に、四死球などによる余計な出塁を中心に
極力出塁を奪われていかないようにという高い意識と
そして第二に、それに加えて走者を背負っても変わらずに
いつもどおりの適切な、高い集中力と意識とを継続していることがよくわかりますから
まずまず理想的な成績であると高く評価できます。
今後も日々のBoxScoreのアップデートに付随する形で
特に先発投手の成績分析において、この走者状況別に分割した成績を
表示していきたいと思います。
さて、前置きが長くなりましたが今日の岸さんは
全体で63球利用してきた速球で計6個(約10%)の空振りストライクを奪い
そのうちゾーンの高め以高で奪ったもの4個、そして
空振り三振も4個(今日奪った三振はすべて空振りで5個でした)という成績を残すなど
最高144km/h、平均でも140.2km/hを計測してきたその速球が
非常に精度が高く、そして非常に効果的であったと評価できます。
またその素晴らしい精度を誇る速球を武器にして
今日奪った全アウト22個のうち
外野手の処理したある程度鋭く飛距離の長いフライアウトを4個にまとめ
逆に三振5個、グラウンドアウト10個(うち併殺打1)と
三振やグラウンドアウトを数多く積み重ねていきながらアウトを積み重ね
どんどんと順調に長いイニングを消化していく
本格派投手としてまずまず理想的なアウトの奪い方を魅せてくれ
結果QSをクリアしてくる素晴らしい成績につながったとこちらも高く評価できます。
また、初球ストライクを奪った勝負を18度と全体の6割まで積み重ね
逆に初球から2球続けてボール球を記録した勝負もわずかに2度のみに留める
常にストライク先行の投手有利なカウントで
勝負し続けていく高い意識を継続していたこともよく観て取れますが
それでも結果として、ストライク率が62.7%にとどまり
四球3個で四死球による余計な出塁を計3度奪われていったように
特に5回にJones選手に、甘めに入ったチェンジアップを狙われ
みごとにすさまじい弾道と飛距離の本塁打を浴びて以降は
どうしてもイーグルスの誇る中長距離打者、
Jones選手及びMcGehee選手に対しては慎重に慎重に投球する姿が散見され
結果彼らに四球やそして長打を数多く浴び
数多くの出塁がかさんでいくこととなりました。
もちろん一発長打を浴びないように、という意識は非常に重要ですが
それでもボールカウントを3つ、フルに利用しながらでも
四死球によって余計な出塁を奪われないことだけは
投手として達成しなければならない最低限の水準であると言えますから
今後もいつも通り、痛打を浴びる恐怖に打ち勝って
効果的に、そして大胆にゾーンを攻め続けていく術を、姿を
常に魅せ続けていってほしいと願います。