数字の有用さと危うさ | Peanuts & Crackerjack

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Dedicated to the Saitama Seibu Lions organization and its players, baseball itself, and those who want to know what counts most in a given situation you are in and to make right decisions in a confident manner everytime. May the 'dose of luck' be with you!

数字はとても便利なものです。
どんな評価にも“客観性”を持たせるため
数字がとても重要な役割を果たします。

野球、ベースボールでもそれは同じ。
確率統計はもはやなくてはならないものとして
重要な役割を果たしています。

打率、本塁打数、打点数、防御率、勝利数、奪三振数。
今では派生してさらに多くの指標が誕生し、
多くの側面から評価ができるようになってきています。

そんなとても有用な“数字”なのですが、
今使われている指標はまだまだ万能なものではないということ、
そしてどこまでいっても万能にはなりえないだろうこと、
それも決して忘れてはならないことでしょう。

まず、数字には“前提”があるということ。

何をもって“1”と定義するか、という価値判断が
まず最初に行われていることは忘れてはならないでしょう。

カンタンにいえば9回完封での1勝と5回大量失点での1勝、
当たり損ないが功を奏したヒットとクリーンヒット、
それらが同価値であるという判断がまずあるということ。


そして、数字が評価の指標として有用になるには
相当数(と一般的に認められる数)だけの
データの蓄積が必要だということ。


カンタンにいえば通算.333のバッターがある1試合の3打席で
必ず1本ヒットを打つ、ということではないということです。

シーズンを通して、もしくはこれからのキャリア全体で
.333を打つだろうということは高い確率でありえるだろう、
これくらいはまあ言ってもだいじょうぶかなあ、程度なのです。
(※当然これまでもそのバッターが“相当”の打席数を
経験していることが前提ですね)


こんな数字の限界を感じたひとたちは古い指標だけではなく
もっともっと“正しい”評価ができるようにと
セイバーメトリクスなど次々と新しい指標を産み出していきます。

有名なOPSは出塁率と長打率の和ですが
出塁率は1本のヒットと1つの四球が同価値と、
長打率は1本の2塁打は2本のシングルヒットと同価値と
定義しなおしたものといえるでしょう。

その試みはほんとうに素晴らしいものですが
それがどんどん複雑化していくとき
わたしたちは十分その危険性を認識しておく必要があります。

数字に振り回されないこと。

それはつまり

自分がその“前提”を理解できていない指標は気にしないこと。

・・・それがどんなに重要な指標だと“まわり”が評価していたとしても。


短期的な数字を評価につなげるのは間違いであるということ。

・・・まわりがどれだけ騒ぎたてたとしても。


相手が強打者だという評価やこわさは
“数字”によってつくりあげられたもの。
数字はそうやって否応なしにひとのこころを支配し
勝負の瞬間に入り込みその持てる力を発揮できなくしますが

勝負の一瞬一瞬には相手に対する自分がいるだけなのです。
その“瞬間”には本来数字は無関係といっていいでしょう。

“カオ”に縮こまったり、“流れ”に流されたりせず
いつも、特にここぞという場面で自分の力を最大限発揮する。

そんな精神状態をキープできればそれが
“勝負強い”というひとの心理なのではないかと思っています。

余計な恐怖や“常識”は知らない間に
こころの中に忍び込み支配しようとしてきます。

自分が今このときここですることは何なのか。

シンプルに考え余計なものは勇気を持って捨て去る。

文字通り、結果はあとからついてくるものです。

勝負の一瞬一瞬、そうそれは何をも恐れず
自分の力を信じ向かっていっていくだけさ。