この番組を取り上げるかはしばらく迷っていました。

ダンス自体は素晴らしいのですが、どーーしても受け付けない部分もございまして。。。

 

※ネタバレ含みます。もうNetflixで公開後1カ月以上経ってるので大丈夫かな?

 

 ダンス・コンペは星の数ほどありますが、このリアリティ・ショーは振付家のコンペ。100人のトップダンサーを使って振付を競い、審査もダンサーたちの投票によるという珍しい形式です。

 

  7人・14人・20人・25人・50人・100人と勝ち進むごとにダンサーが増えます。

7人だとまた個人の踊りをよく見られるし隊形変化などの振り付けの細かいところをチェックできるのでおもしろいですが、人数が増えると迫力があってより複雑にできるのも楽しいです。

 

 いやーー。どーやってこの100人のダンサーを選出したのか知りたいものですが、

並みのダンス映画やミュージカルよりかなり凝った作品が多くて見ごたえがありました。

実際、ダンスシーンばかり何度も何度も見てしまいます。

 

 私個人はダンス素人ですし、クラシックバレエの舞台は15年以上鑑賞していますが、ヒップホップとかコンテなどはまったくわからず。正直、パフォーマンス自体にはそんなに差がないような。。。そもそもどんな振付でもダンサーたちがめっちゃレベル高くてみんなスタイルもよくて、速い動きも超かっこよくて。こんなに身体を自由自在に動かせたらいいだろうなぁとため息ものなのです。

 

    以下、ネタバレです。

一回戦目の振付師は8名からスタート。

どの作品もかっこよかったし、どうして差がつくのか疑問なこともありました。

 

 例えばカリフォルニア出身のレックス。一見オタクでダンサーっぽく見えないのですが、作品はすごくユニークでかっこよかったと、わたし個人は思いましたよ。それなのにダンサーの一人が「経験が少なくてプロフェッショナルじゃない」と酷評。きっつー。(だからこういうわざと確執あおるようなドラマいいですから)共演したダンサー全員、全員別の人のところに投票しました。ええええ

 

 アキラの作品は、女性の体型が美しく見える衣装でスモークの演出も良かったし、曲の歌詞と振付のコンセプトもあってたと思うのに、なぜ、ゼロ票!!?

なんか作品よりも個人的な好き嫌いで選んでないか!?

英語版のコメントでも「すごいやり方汚い。このあと見る気なくした」「なんで誰もアキラを応援しないの!?」「作品よりも、本人がぽっちゃりしてるからじゃないの」と非難轟轟。

ゼロ票はないだろうとわたし個人も思いましたよ。

 

 アメリカのリアリティショーのこういうダークな部分はホントにうんざりです。だからダンスの作品を楽しむことはできても、演出というか編集にはうーーーんと思いました。しかもレックスを酷評したダンサー(イケメンだけど)に司会者のアリーが何度も質問するんですよ。100人いるんだからもっといろんな人に振ればいいのに。結局、過激な発言する人をピックアップした方が番組が盛り上がるから、という制作側の意図なのでしょうかね。

 

 個人的にはアジア系で人柄の温厚なマックスを応援していたのですが、きれいに無難にまとめすぎて途中陥落。いや、上品で好きでしたけど。ときおり、「あ。この瞬間いい!」という振付もあって一時停止してみたり。(笑)なんていうか、このコンペは持久力的な部分もあり、創作・振付・リハすべて時間との闘いで、回を重ねるごとに息切れしてきたという感じでした。ざんねん。

 

 ジャニックも、第3回戦くらいまでは他の振付家とほぼ近い数字をとっていましたが、

バトルで敗れてしまいました。正直、バトルもジャニックのチームの方がまとまってて良かったと思うんですけどね。バレエ以外のダンスよくわかりません。

(そういえば日本でも昔、深夜にダンス・バトル番組あったような)

ジャニックは第1回戦のとき自分だけ歌詞のない音楽にあたったり(しかもかなり抒情的な)第3回もやりにくそーな音楽になったりと、組み合わせも不利だった気がします。でもダンサーの身体の美しさを際立たせる動きが多くて好感が持てました。

 衣装がキャンパーっぽくて地味だったり、赤い布が運動会のマスゲームみたいに見えたり(第2回戦)90年代のSFみたいな感じ(第3回)とか、演出やセンスに?なときもありますが、時折「あ、この3秒の動きとっても素敵♪」という箇所があり巻き戻してみたりしてました。いい人っぽいし、踊る方は楽しかったのではと思いますが・・・。

 

 ブルックリン出身のセリーヌは競争的で完璧主義者。「自分がここまでできるってことを証明してみせる」とかなりプレッシャーを感じていたよう。それだけ厳しい世界なのでしょう。リハーサルは焦りでピリピリムード。作品自体はキビキビしていてカッコいいんだけど、完成度という意味で、ダンサーの動きがバラバラになる感じが多いし、ダンサーたちも「クリーンじゃない(そろってない)」とコメントしていました。あと、後述するブランディとの違いというか、どの作品も「自分が」いつも「センター」で見どころのフォーカル・ポイント、という演出になっていました。日本人的にはブランディのような、ダンサーを上手に使い分けて、本人はその絵に溶け込むタイプの方が好きですけど。ただ、強気で自信家のセリーヌはダンサーの支持も高かったようです。作品はかっこよかったですが、差がついてしまったのは高さを使って振り付ける第3戦目の20名バージョンと第4戦、25名のときのナラティブ(筋書きを表現する)のお題かな?

 

 さて、最後に残ったキーナンブランディ。個人的にはハワイ出身アジア系(恐らく中国系)のブランディが残ってくれて嬉しい。しかも彼女はダンサー達の支持率・人気度がすごく高くて、同じアジア系として誇らしかったです。白いジャイアント・スカートやつり上げロープ、歌舞伎カーテンなど小道具の使い方に?も多く、果たして効果的なのかやめた方がよかったんじゃ的な部分もあったけれど、個々の振付はすごく凝っていて、下品でなく、センスいい。緩急のバランスや、必ず複数のダンサーにソロパートで際立つ場面を与えているのが好感。

 彼女はダンサー全員のインスタをチェックして、得意分野や強味を把握しているそうです。

リハーサルに迷いやブレがなく、小柄でゆっくりしゃべる割にはスキがない。ダンサーたちにとってもかなり仕事をしやすいキャラなのでは。そして作品で使用された音楽が結構、ダンス見た後に耳に残るんですよね。素人目にもすごいと思いました!

 

 もう一人、決勝まで残ったキーナンもすごく才能のある素敵な人だと思いました!どの作品も見どころあって音楽ともあっていて、おもしろかったし、衣装の選び方や演出もまとまっていてブレがなかった。ただ、、、ところどころ下品すぎ・・・いやもといセクシーすぎて受け付けない部分もありまして。これはあくまで個人の感想です!最近のダンスの傾向を全く知らないので。。。。本人はとっても好感の持てるキャラで、正直決勝はどちらが良いか選べなかった。ダンサーたちのコメントを聴いていると、全員のダンサーをまんべんなく使うというわけではなく、ソロパートがいつも同じ人だったり、移動すら全くなく使ってもらってる感がわかないダンサーもいたりと、その辺が勝敗を分けたのかしら?

 でもものすごく幅の広い、色々な引き出しを持っている振付家だと思います♪第4回戦、勝敗を分けた筋書を表現する課題では、他の振付家がマイムに頼って物語を展開しようとするのに対し、ブランディとキーナンは「踊り」で物語を紡いでいて、しかもまとまっていました。素晴らしい構成力。一週間で振り付けてリハして衣装も小道具も照明も決めてってすごい大変です。

 

 演出面でも何点か。まず、カメラワークなんですが、ダンス踊ってる最中に客席映して中断するのやめてください~。1分半とかしかないんだから1秒途切れただけで見逃す振付があるわけで。時々バレエの中継でもやらかすのですよ。伝説のロパートキナの白鳥で、黒鳥のGPDDの間にロッドバルトのマイムはさむの。やめれ~!!!!一般の視聴者目線を考えての編集なのかもしれないけれど。ダンスファンの気持ちをわかってない!

決勝の50名・100名のダンサーが舞台に上がるともう狭すぎて、逆に照明がきつくて遠くのダンサーが逆反射で見えなくなったりします。暗いステージの上で影だけ動いているような。クラシック以外のダンスの演出がよくわからないけれど、バックステージの映像や照明は、特に大人数のときはもう少し控えめの方がクリーンに見える気がします。。。正直観客席から見るとどうなのでしょうか。

 

 ホストのアリー・ラブさん、この方の単独の司会進行がめちゃハマっていました。司会業というわけではないのにオーラがすごいし、ダンスにも詳しそうなので検索してみたら、ご本人も元ダンサーでモデルで(足の長さ半端ない!)ワークアウトのスタジオなど経営しているタレント実業家のような方らしいです。アメリカの人ってしゃべるのホント得意だよなぁ上手だよなあと改めて思うのでした。番組宣伝で「ダンサーという職業は元々あまり出演料を支払われない」と前置きした上で「振付けられたダンサーたちが結果を決めるという新しい形式だ」とお話しされていました。

 第4回戦だったかな?ウィッグをかぶって変なおじさん的なキャラを演じたアントニーに向かってこの質問です。

 

「皆が聞きたいであろうことを質問しますね。このカツラ、ダンスのあともずっとつけたままにしときますか?」

 

これには笑いました。もろ日本のバラエティでお笑い芸人に振りそうなツッコミだなと。(笑)

 

 普通こうした審査番組は2・3名のパネリストが辛口批評して決める場合が多いのですがこの番組はダンサー本人たちの投票。会場や視聴者の順位はまた当然違ったものになるでしょう。

そして、惜しくも途中脱落した人たちも、別の番組でリベンジするかもしれません。みなさんそれぞれキャラがすごい良かったので!!アキラとレックスはどこかでまた会えるといいな!

 

 ダンサーの中にもすごく目立つ人やキャラのおもろい人がいて、そういう人たちが別の番組に呼ばれたりもするのでしょうかね。ダンサーという職業、いつもいつも良い仕事が保障されているわけじゃないと思うので今後も成功していってほしいです。100人のダンサーたちにフォーカスしたスピンオフ番組も制作してください!(笑)

 

 ツッコミどころは多いものの、ダンス作品はそれぞれ個性的でダンサーの技術も堪能できて見ごたえあったので、シーズン2も期待します♪誹謗中傷演出は控えてほしい。。。。