Q217)  LANDMARK English Communication 1の教科書の文についてお尋ねいたします。
以下のような文章があります。

   She taught me the most valuable lesson that anybody could ever have and it's amazing that she is only fifteen!  Ever since that day I've tried not to accept society's labels, and to fight against them.

上記のShe taught me the most valuable lesson that anybody could ever haveですが、教科書ガイド(あるいは教師用指導書)には、

「彼女は私に,これまでだれかが学ぶことができた中で,最も価値のある教訓を教えてくれた。」という訳があるようです。

本来anybodyは肯定文では「誰でも、どの人も」という意味だと思いますが、上の訳はそれを踏まえた上で、日本語として分かりやすくするためにあえて「だれか」と訳しているのでしょうか。

また、haveについては「受け取る、手に入れる」という意味で捉えていると思われますが、
ネット上で、ある方はこの部分をcould ever have (taught)と捉えています。どのように考えたらよろしいでしょうか。


A) 結論から言いますと、その教科書ガイドの説明は違っています。
これは「最上級+ever...の構文」です。私は「範囲付きの最上級」と勝手に呼んでいますが、最上級の後に「…したうちで」の意味を持つ関係詞節が続いているのです。
「基本形容詞・副詞辞典」(小西友七編)の640ページのeverの6cにこうあります。

6c. (the) most ... ever (...) 今までに(…した中で)一番…
 She is the most prettiest girl I have ever seen.彼女はこれまでに私が会った女の子の中で一番かわいい子だ。
 This is the best work you have ever done.これは君が今までに作った中で最もいい作品だ。
NB42  He is the wisest man I ever met.は背後にI have never seen such a wise man as he.をもっている表現。[小西、文法と語法 p.43]


 また、ジーニアス英和辞典第5版のeverの4にこうあります。

4[最上級, 比較級,first, only, last,などを強調して]《略式》かつて, 今までに∥That book was his best ever. =That was the best book that he had ever written. その本は彼の生涯の傑作だった《◆... that he ever wrote ともいう》
 [語法]最上級+everの和訳
「最上級+ever」の構文を和訳する際、everを含む節を「…したことがない(ほど)」と否定に訳すと自然な日本語になる。This is the stupidest story (that) I (have) ever heard.こんなばかげた話は聞いたことがない。


 よって、ever「今までに、かつて」があるのでthat節の時制は完了時制になります。文全体が過去形なので、ふつうは過去完了になります。ただし、本問はふつうのhad doneではなく、could haveとなっていますので、could have doneと考えられます。そして動詞の繰り返しを避ける用法のため、done以下が省略されているのです。つまり、こういう文になります。
She taught me the most valuable lesson that anybody could ever have (taught me)
 このときcould have doneは仮定法過去完了と考えられます。仮定の条件は主語のanybodyにあります。このanybodyは肯定文で使われるので、「どんな人でも」の意味です。よって直訳は、「彼女は私にどんな人であれ、私に教えることができたであろう教訓の中で、最も価値のある教訓を教えてくれた」となります。ここで上記のNB42を踏まえて、ジーニアス英和辞典にある[語法]のように訳すとこうなります。
「彼女は私に、誰も教えることができなかったほど、価値のある教訓を教えてくれた」