Q199) 藤田医科大学の推薦入試の問題です。
問5  What does it feel like (       ) you're expressing forgiveness?
(1) how (2)that (3) when (4) why
推薦入試の問題なので、正解がわかりません。多分(2)thatだと思うのですが、What does it feel like to do...?「…するのはどのような感じですか」というのは見たことがありますが、What does it feel like that節というのは見たことがありません。ひょっとして(3)whenが答えかもしれないと思い、投稿しました。よろしくお願いします。

A)まず、「Google検索による英語語法学習・研究法」(衣笠忠司著)(開拓社)が推奨する方法を使います。" ......... " site:eduを使うのです。
What does it feel like when you…は、4710件。
What does if feel like that you…は1件。
勝負は決まりです。(3)whenが正解です。

次に理由です。
(A)When does it feel like when you're expressing forgiveness?
において、itは「副詞節のwhen節の内容を指す」用法ですね。
「あなたは人に寛大さを示しているとき、それはどんな感じがしますか?」という意味になります。これは習慣的なことを聞いています。

一方、(B)When does it feel like that you're expressing forgiveness?
とすると、itはthat節を指します。that節は事実を表すので、「今あなたが人に寛大さを示しているが、それはどのような感じがしますか」となって不自然です。
 このthat節が事実を表す点に関しては、「英語の主要構文」(中村捷・金子義明編)のp.121 第13章「That節と不定詞補文」にこうあります。

13.1 That節補文の分類
13.1.1 叙実性
 that節補文をとる述語は、叙実性(factivity)に基づき、叙実的(factive)述語と非叙実的(non-factive)述語に分けられる(Kiparsky and Kiparsky 1971). that節で表される命題が真(true)であることを前提とし、その命題について何かを述べる述語を叙実的述語と呼び、そうでない述語を非叙実的述語と呼ぶ。
(1)叙実的述語
 a. 主語位置に文をとるもの:significant, odd, tragic, relevant, matter, count
 b.  目的語位置に文をとるもの:regret, comprehend, deplore, forget, resent
(2)非叙実的述語
 a. 主語位置に文をとるもの:likely, possible, true, seem, turn out
b.  目的語位置に文をとるもの:suppose, assert, believe, maintain, conclude
 具体例として、次の文を比較しよう。
(3)a. It is odd that it is raining.
   b. It is likely that it is raining.
(3a)では、話者は「雨が降っている」ことを前提とし、その命題について、それが「奇妙である」という主張をしている。それに対し、(3b)では、話者はそのような前提をしていない。
 叙実的述語の補文の内容は前提とされているので、(4)のように主節を否定したり疑問化しても、補文の内容が否定や疑問の対象となることはない。
(4)a. It is not odd that it is raining.
   b. Is it odd that it is raining?
これに対し、非叙実的述語の補文の内容は否定や疑問の対象となりうる。
 (5)a. It is not likely that it is raining.
     b. Is it likely that it is raining?
(5)では、補文の内容は前提とされておらず、話者は、補文の内容に関して、(5a)では否定的であり、(5b)では疑わしいと思っている。


次の(B)文が成立すると仮定しましょう。
(B)When does it feel like that you're expressing forgiveness?
「今あなたが人に寛大さを示しているが、それはどのような感じがしますか」
(B)の元になる平叙文を想定すると(C)文のような形になるはず。
(C) It feels+形容詞+that節。
この場合どんな形容詞がくるかと考えると、上記の「(1)叙実的述語 a. 主語位置に文をとるもの」になる。たとえばembarrassingなど。辞書を引くと例文が見つかりました。
To be honest it felt embarrassing that I'd never given a thought to the fact of his residency.(OSD)
「正直に言うと、彼の在住権利という事実に私がまったく考慮しなかったことは、恥ずかしい気がした」
そうすると、「疑問化しても、補文の内容が否定や疑問の対象となることはない」のですから、that節の内容は、前提になっていますね。よって、(B)文のthat節が事実という前提で、考えると、(B)文は「今あなたが人に寛大さを示しているが、それはどのような感じがしますか」となり、明らかに不自然な文になります。

それでは、What does it feel like that節はありえないのでしょうか?
先ほどの検索で唯一that節でヒットした文を見てみましょう。
(D)What does it feel like that you've contributed to history?
「自分が歴史に貢献してきたということはどのような感じなのですか」
このthat節は時制が現在完了なので成立するのでしょうね。

ついでにWhat does it feel like...?の構文で圧倒的にto不定詞が真主語の場合が多いので、それを確認しましょう。
 (E)What does it feel like to express forgiveness?
to 不定詞は未来を表し、「もしあなたが人に寛大さを示すなら、それはどんな感じがしますか」となり、成立します。

  このことは、「英語正誤辞典」(荒木一雄編)(研究社)のp.692にあります。

(3)不定詞補文
b.意味的特徴
(1)to不定詞は仮定的(hypothetical)な意味合いを持ち、未来指向(future orientation)の意味合いをもつので、次の場合には用いることができない
a)主語のto不定詞補文に対する述部が仮定的でない場合(Bolinger 1977 p.13)
271.(誤)To wait has been a mistake.
    (正)To wait would have been a mistake.
    (正)Waiting has been[would have been] a mistake.


以上です。