Q1) 予備校の夏期講習のものです。出典は1993年の大阪大学前期の1のBです。


For only a tiny fragment of human history has man been aware even that he had a history.
During nearly all the years since man first developed writing and civilization began, he thought of himself and of his community in ways quite different from those familiar to us today.


マニュアルは「自分に歴史があったということすら人間が意識するようになったのは、人間の歴史のうちのごく最近のことにすぎない。
人間が初めて文字を使うようになり、文明が始まって以来ほぼすべての年月にわたって、今日われわれがよく知っている見方とはまったく異なる見方で、人間は自分自身と自分の社会を見ていた」


この第2文に関してです。このsinceは「…以来」の意味の接続詞ですから、主節の動詞は完了時制になるはずです。
しかし、英文はthought ofと過去形になっています。なぜこういうことが起きるのでしょうか?



A) sinceに関する原則はあなたのおっしゃる通りです。しかし、本文のsince以下は形容詞節です。


G4(ジーニアス英和辞典第四版)の接続詞whenの6の項にこうあります。


6 [形容詞節として直前の名詞を修飾して] …する[した]時の
∥I can imagine his astonishment ~ she asked him to marry her. 
彼女が彼に結婚してほしいと言った時の彼の驚きを想像できる
.


よって時のwhen節が形容詞節になるのと同様、本文のsince以下が直前のyearsを修飾していると考えてはいかがですか?
だからこそ名詞のyearsに限定のtheがついているのです。


よってマニュアルも厳密には、「人間が初めて文字を使うようになり、文明が始まって以来のほぼすべての年月にわたって」のように、「以来」のあとに「の」を付けた方がいいと思います。
もちろんduring以下の副詞句は主節の動詞が過去形でもなんら問題はないということになりますね