●鈴木和幸の大阪杯追い切り診断
今週の大阪杯は昨年の年度代表馬キタサンブラックと昨年の日本ダービー馬マカヒキが初対決。さらに本格化したサトノクラウンや昨年の優勝馬アンビシャスが揃った豪華なG1レースとなった。調教診断でお馴染みの鈴木和幸氏による「大阪杯最終追い切り診断」をまとめたのでぜひ予想の参考にしていただきたい。
アングライフェンは、坂路で54秒8-39秒9-12秒2を馬なり。フットワークは軽く、追ったところなしでラスト1Fなら上々だろう。しかし、この程度にはいつも走っており、とくに良化したわけではない。オープン入りしてからの前4戦の成績が成績、変わり見なしでは電光掲示板だって難しい。
アンビシャスは、坂路で51秒6-38秒3-12秒8の時計は出た。手綱をとった福永との呼吸も悪くはなかった。しかし、併せた3歳馬が持ったままだったのに対し、強めに追っての併入では物足りなさが残る。休み明けの中山記念をたたかれての変わり身は、期待されたほどではない。
キタサンブラックは、坂路、ウッド併用で十分すぎるほどの乗り込み、先週23日にウッド6F78秒2-37秒1をマークした時点で八分以上には仕上がった。今週もウッドでの併せ馬、テンをセーブして半マイルあたりからペースを上げ、直線は軽く仕掛けただけだから、6F83秒2-38秒5-11秒9の時計で十分である。ただ、相手は先行していたとはいえ追ったところなし、これに半馬身遅れは、多少なりとも心配が残る。いや、体調ひと息とかそういうことではなく、次の天皇賞こそが大目標、そのために余裕を残しての今回、そんな気がする。絶対視はできないのではないか。
サクラアンプルールは、ウッドで1馬身先着したものの、5F70秒7-39秒6-12秒8の遅いタイム。強めには追ってのものだし、いかにも平凡すぎた。中山記念2着激走の反動が心配される。
もっか重賞2連勝中のサトノクラウン。この中間は坂路とウッドで時計6本、併せ馬も2回と、ハードにハードに攻めてきた。もう強く追う必要がない今週は、終始馬なりで4F53秒9-39秒7-12秒4の軽め。時計は平凡でもこれは意識してそうしたものだし、しびれるような手応え、道中の落ち着き払った気配など、非の打ちどころなし。前2連勝当時と比べてもまったく遜色がない。
ウッドでいっぱいに追い切り、6F82秒8-39秒6-12秒0のスズカデヴィアスは、最後G前のフットワークに余力がなくなり、手前を替えたりして苦しそうにも見えた。金鯱賞3着後は順調にはきたが、前走以上のデキには見えない。
休み明けの金鯱賞では6着に沈んだステファノスだが、あれはあくまで今回にむけての叩き台だったと想像される。24日の1週追い切りの坂路ラスト1F11秒9を見ただけでもひと叩きされての良化がはっきり。総仕上げの今週は、ウッドで5Fからの併せ馬、道中は抑え切れないほどの手応えで、かといってかかるふうはなく、4F標を過ぎると自らハミをとってグーンとスピードアップ、相手馬とは勢いが違い、軽く仕掛けただけでゴールでは3馬身の差をつけていた。重心の低い、完歩の大きい流れるようなフットワーク、まぶしいばかりのピカピカの毛づやといい、なにもかもが速い時計で、いっぱいに追わなければならなかった前走時とは雲泥の差。もはや、これ以上は望めない。
ディサイファは、坂路で53秒7-38秒3-12秒5を馬なり。例によって頭の高いフットワークながら、元気いっぱい。ただし、すでに8歳、往年のパフォーマンスを望んではかわいそうだ。
昨年のダービー馬マカヒキは、凱旋門賞帰り、4ヶ月ぶりの前走を叩かれたがその後は坂路のみの調整、この点にいささか“?”があった。しかし、1週前の23日はウッドの7Fからのハード追い、94秒2-37秒4の速い時計、併走先着で不安を一掃した。今週は坂路に戻しての併せ馬だったが、51秒6-37秒5の速い時計で、5馬身も後方から追いかけたのに、楽々と逆に4馬身先着して見せた。前走との違いは追われての反応が鋭くなったこと、動きに柔らかみが出たこと。九分通りの復調は間違いない。
マルターズアポジーは、強めに追ってウッド5F68秒9-38秒4-12秒9。これは前走勝ち当時をしのぐ時計だが、どこといってよくなったところがあったわけではない。ただ、動きには活気があり、元気のよさは保証できる。
京都記念で4着に負けはしたが、ミッキーロケットは中間坂路で時計6本と、意欲むきだしの乗り込み、9日の53秒7、15日の52秒9につづき、先週23日は51秒3-36秒9といった具合。今週の坂路は併せ馬で併入にとどまったが、52秒4-37秒4-12秒1強めならいうことなし。もはや、レースに向けての課題は、ポンとゲートを出られるかどうかだけである。
ウッドで3頭併せを敢行したモンドインテロだが、仕掛けられての反応が遅く、G前で半馬身出るのに手間取った。6F85秒8-38秒1-12秒9の時計は合格でも、進境は見られなかった。
ヤマカツエースは、ウッドでいっぱいに追い切り6F80秒4-37秒4、ラスト1Fを11秒9でまとめた。この動きは、前走の金鯱賞を勝ったとき同様の力強さ、こと仕上げ、状態に関してはケチのつけようがない。勢いそのままに挑むこの大一番だが、阪神芝は4戦してすべて着外、さて、これがどう出るか。
目いっぱいに追って2馬身先着、ウッド5F66秒7-36秒9-11秒9の好時計をマークしたロードヴァンドール。調子のよさは疑う余地がなく、前走以上といってもいいが、逃げてこその馬だけに展開に注文がつく。実力うんぬんの前に同型マルターズアポジーとの兼ね合いが問題となる。
キタサンブラックかマカヒキか、それともサトノクラウンか… 注目の大阪杯(GI)を制するのはどの馬か? すべてを見極めた「鈴木和幸の最終予想」はコチラで公開しております。
●競馬評論家・鈴木和幸
競馬記者歴45年、競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を本誌予想として初めて達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。
著書に「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」「勝ち馬がわかる競馬の教科書」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)「図解競馬の参考書」(宝島)など多数。「勝ち馬がわかる競馬の教科書」は競馬書籍としては快挙とも呼べる、約7万部を発行している。
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