今回の東日本大震災と、福島第1原発の放射性物質の飛散で避難されている人々が、隣接市町村だけでなく、県外施設への避難を迫られているような報道を見ました。


私は、40年間の勤務で、11回の転勤をしてきました。北は青森県から南は宮崎県まで、6県11カ所で仕事をしてきました。この間、15年は単身赴任でした。


もちろん、当初、国家公務員として勤務していたこともあり、採用時点で全国移動を認識させられていて、仕事と割り切ってたつもりでした。


それでも、最初の転勤で、広島から青森に行ったときには、それまで中国地方しか住んだことがなく、全く知らない土地で、どうなるのかと心配しました。


しかし、方言が聞き取れないという大問題はありましたが、仕事は以前と関連したものであると共に、野球などの趣味を通じて仲間ができ、日常生活でもたくさんの手助けをしてもらいながら、全く問題なく暮らすことができました。


転勤というと、引っ越しが大問題ですが、それも慣れると、何とでもなります。なるべく荷物を増やさないように知恵を絞ったり、行く先々で新しいものを見聞きできたりと、楽しいことの方が多くなっていきました。



こんなことを言って、全く予期もしなかった事態で、避難をしなければいけない事態と、転勤を同じ次元で論じるなんて不謹慎だといわれるかもしれません。


ただ、いま、原発の影響以外の震災被災によって避難されている人たちは、一応、期限が見える感じがします。


長くても1~2年ほどで故郷に帰れるようになると思います。その間に、新しい土地で仕事に就き、その土地の風土にふれ、その土地の人に関わることによって、地元だけでは味わえない、貴重な経験ができることになるはずです。


もちろん、これまでずっと生まれ育った土地を離れるというのは、私たち転勤族が考えるほど生やさしいことではないことは理解できます。


かって、私が勤務した組織でも、行政改革で事業所の廃止や統合があり、その時には、全く転勤を経験したことのない職員も、他県に転出したり、県内の他の機関に異動するといったこともありました。


この時、実際に自分の地元を離れなければいけない職員の人たちは、相当悩んで、地元に残るか、他県に移動するかの決断をしました。


一番極端な例は、元の職場と1時間半~2時間しか離れていない場所への異動という例が2件あったんですが、その一つは隣県、もう一つは県内というものでした。


その県内での異動の場合は、全く誰の反対もなく、全員で異動しましたが、県を越えた例では、相当抵抗があったようで、何名も県内の他の機関に異動していきました。


このように、地元を離れるということが、その人にとってどれだけ大きな問題か、理解しているつもりです。


ただ、この、全く知らない土地でも、協力や支援を惜しまない人たちがたくさん居ます。本当に、人は優しいんです。


特に、避難された皆さんは、その厳しさをみんなが分かってくれています。自分たちさえ垣根を作って、閉じこもってしまわない限り、明るい未来は見えてきます。


いろんな事情があって、意識ではわかっても、どうしても動けない人もいると思います。その人たちまで、無理に異動しなさいとは言えません。


ただ、地元での仕事も見通しがつかず、他県に住むことが、不安だけだった場合は、異動してみることをお勧めします。


理由が、不安だけというと、誤解されそうですが、行ったことのない土地で暮らすということが心配という人には、そんなに心配することはないですよと言いたいです。


避難所での集団生活、プライバシーがないっていうことが、相当ストレスや健康面でも影響してくると思います。


新しいところで、アパートなどの住居でプライバシーを確保し、新しい生活を始めてみませんか。いままでのコミュニティとしてのつながりがなくなるのは寂しいでしょうが、いずれは帰れると信じて、頑張ってみませんか。


いろんなところで、宿舎や個人住宅を提供するという情報が報道されています。こんな事態です。皆さんのご厚意に甘えてみませんか。


健康被害の心配のないところで、安心して生活することによって、故郷への思いも確認できるでしょうし、皆さんが元気で暮らすことが、復興への大きな力になるのではないでしょうか。


私としては、個人的に募金ぐらいしか協力できず、申し訳ないですが、全国で支援の我が広がっています。


明るい未来を信じて、明るく健康に暮らすことを第1義に考えてください。


被災地の、一日も早い復興を心よりお祈りしております。