1963年制作 日活(Amazon Prime)
監督 西村昭五郎
脚色 今村昌平 大西信行
原作 寺内大吉
撮影 永塚一栄
音楽 黛敏郎
出演
小沢昭一
南田洋子
加藤嘉
加藤武
初井言栄
渡辺美佐子
武智豊子

噂には聴いていたけど、傑作。

真面目な中学校教師が実家の寺の後継、金銭問題に巻き込まれ、偶然行った競輪で大穴を当てたために、ズブズブとハマって堕ちていく話。

粗筋だけ見ると、暗く陰惨な印象だが、今村昌平の脚色は転んでもただでは起きない人間のバイタリティが全面に出ていて、ブラックコメディとしての塩梅も見事。また大西信行が脚色していることもあってか、落語的テンポの良さがあり、全編飽きさせない。

主演は小沢昭一。真面目な中学校教師と競輪にのめり込む破戒僧春道を演じる、聖と俗、色と欲の演技のコントラストが見事で、それは最後の競輪場での説法の場面で頂点となる。

監督はのちに日活ロマンポルノを量産する西村昭五郎。これがデビュー作。のせいか、出演するどの女優もエロい。南田洋子、渡辺美佐子、初井言栄。ただしどれも人間臭さを感じるエロだ。

ちなみに春道の勤める中学校が、私の地元である東京(といっても今も昔もど田舎の)青梅にあり、セリフの中に自分が卒業した中学校の名前が出てることにビックリ。約60年前の風俗にもビックリした。