実家に向かう途中に見えるのは
稲刈り前の黄金の田んぼ。
それを眺めながら運転していて
あぁ 豊かだなあ いいなあ と
ぼんやり思う。
こうやって季節を繰り返しているんだなあとか、
幸せってこういうことかなあとか、
産まれてくる子どもの名前なんがいいかなあとか
ぼんやり思う。
ふと、亡くなった父の名前にある漢字『豊』
元気すぎるくらい元気な母の『恵』
黄金の田んぼは まさに『豊かな恵』
まるでわたしの両親みたいだ。
そう思う。
ああ、そんな両親の元に、わたしは産まれたかったのだと。
じんわり、じんわり、わかった。
ああ、そうか、そういうことか、と。
お腹の中にいるあなたも、
わたしをそうやって選んできてくれたんだと
じんわり実感する。
ありがたいなあ
ありがたいなあと
あたたかい気持ちになって
涙がでた。
その日の夜、仰向けに寝てると
おへその下辺りが
なんとなくモゾモゾと動いている。
ああ、ここに居るのね。
はじめて感じた胎動だった。