男はかれこれ2時間悩んでいた。
その男の目の先にあるのは浴槽だ。
浴槽には蛇口からお湯が注がれている。
しかし男は2時間もその状態が続いていることにおかしいと感じた。
一向にお湯が溜まっていかないのだ。
普通なら30分もあれば適量になるのに…
『いつもならば今頃かるく一杯やっている頃なのになぁ…』
と思いながら眺めていた。
その男は、今目の前にある一向に溜まらない浴槽のことを考えるよりも、その後のことを考えているのだ。
良くいえば未来の事を考えているのだが、悪くいえば現状が分かっていない。
それに自分が間違っていることを指摘されるのを非常に嫌うのだ。
これだけでもその男の、人となりが分かりそうだ。
その時『必殺仕事人』のテーマが鳴った。
電話だ!
その男は名前の表示を見るなり、浴槽の栓を閉めた。
すさまじいスピードで溜まっていく。
実際は普通の早さなのだが、溜まっていかなかった分、その男には早く見えたのだろう。
ほっとした。
そのせいか、あがってから飲もうとしていたビールを一気に飲んだ。
飲み干し、空になった缶を勢いよくテーブルに置き、まだ電話が鳴っていることに気付く。
急いで電話を手にとり表示をもう一度確認。
そこにある表示は…
【 栓我抜 照代 】
【 せんがぬけ てるよ 】
そうです。
この男はバカなのでした。
終わり。
こんなことも考えてます。
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