改:第5話.恐い夢【恐い夢☆優しい夢】 | 風月庵~着物でランチとワインと物語

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毎日着物で、ランチと色々なワインを楽しんでいます。イタリアワイン、サッカー、時代劇、武侠アクションが大好きです。佐藤健さんのファンで、恋はつづくよどこまでもの二次創作小説制作中。ペ・ヨンジュンさんの韓国ドラマ二次創作小説多々有り。お気軽にどうぞ。

【恐い夢☆優しい夢『ヨンジュンのオフの過ごし方』】

第5話.恐い夢

「もういいかな」
ヨンジュンは裸でお座りしていたサヨンの所へ着替えを持って行った。寝かせて紙おむつをしようとしたらサヨンはキャーキャー言って寝返りを打って起き上がった。
「サヨン、待って」
ヨンジュンは捕まえようとしたけれどサヨンはハイハイして逃げて行った。
「待って、待って」
半分しかくっついていない紙おむつが取れた。今度はヨンジュンもハイハイしてサヨンを追い掛けた。大人なのにハイハイしてる。おかしくていっぱい笑っていたらルナが入って来た。
「どうしたの?」
「着替えの途中で逃げられた」
「サヨンったら風邪をひくわよ」
ルナに捕まったサヨンは『抱っこするな』って怒って暴れた。僕が渡したオモチャもポイッと変な方へ投げ捨てた。僕らは大騒ぎしてサヨンに服を着せた。

「お風呂上がりだから何か飲ませないと」
ルナはサヨンに赤ちゃんのミネラル水を飲ませた。サヨンが静かになってルナとヨンジュンを見たら二人とも髪やバスローブがグチャグチャになっていた。ヨンジュンはそのままの格好で冷蔵庫からミネラル水を取って3つのコップに分けた。僕が飲んでルナが飲んで最後にヨンジュンが飲んで…冷たくてとってもおいしかった。

「ハラン、髪は乾いてる?」
ルナは僕の髪を持ち上げた。
「まだ濡れているみたいだね」
ヨンジュンはそう言って僕の頭にドライヤーを掛けた。それからルナに掛けて、自分に掛けて…ドライヤーはあっちこっちに行った。僕の髪は直ぐに乾いたけれど、ヨンジュンの髪は長いからルナが掛けてあげた。

「ハミガキをして、もう寝ようね」
ルナにサヨンのハミガキの仕方を教えて、僕はヨンジュンとハミガキをしに行った。
「届かないだろう。これに上って」
ヨンジュンは踏み台を持って来てくれた。ハミガキが終わって部屋に戻ったらサヨンは指をしゃぶってもう眠っていた。
「いつも抱っこしてから寝かせるの?」
「ううん、サヨンは眠くなったらそのまま寝るよ」
ヨンジュンは『僕に抱かせて』と言ってサヨンを抱っこした。僕はルナと手を繋いでヨンジュンのベッドに行った。

「四人でここに寝るの?」
「そうだよ」
凄く広いベッドだから四人寝ても大丈夫だと思った。寝かせようとしたらサヨンはウェ~ンと泣いた。ヨンジュンはヨシヨシってまた抱っこしたけどサヨンは二回泣いた。
「どうしたんだろう。まだ眠っていないのかな」
「頭から下ろすと泣くんだよ。ゆっくり下ろして最後にそっと手を抜くんだ」
僕はいつもパパがやっている手の抜き方を教えた。今度はうまくいってサヨンは泣かないで眠った。
「ありがとう、ハラン。助かったよ」
ヨンジュンは小さな声で言った。

僕の隣にサヨンがいてその向こうにルナがいた。僕が右手を出したらこっち側にいたヨンジュンにぶつかった。
「眠れないのか」
「ううん」
僕がギューッと目をつぶったらヨンジュンはクスクス笑っていた。
「今日は何をしたか思い出してごらん」
そう言われて色々考えてみた。ママが咳をした事やルナの車でヨンジュンの家に来た事や、黒いポルシェがあった事。キムパプもハンバーグも食べたし…それから。ヨンジュンはママがサヨンにやっているみたいに、ポンポンと僕の背中を叩いたから段々眠くなって来た。もう寝ようと思ったらヨンジュンの手がルナの方へ伸びた。頭の上でヨンジュンの声がした。
「眠った?」
「うん」
「二人とも可愛い寝顔だね」
それから僕はもっと眠くなった。
「明かりを消すよ」
小さなライトだけになって暗くなった。その後はヨンジュンが何て言っているのか、もう分からなくなった。

サヨンがクスン…って泣いた。クスン、クスンって聞こえてきた。目を開けたら真っ暗でヨンジュンもルナもいなかった。サヨンはまた静かになって眠ったみたいだった。サヨンは夢を見たのかなぁと思って、僕もまた眠った。眠ったのに天井が開いて黒いお化けが上から降ってきた。黒いお化けは目がついていて、逃げようとしたら今度は口を開けて僕を食べようとした。エィ!って蹴ったけど、お化けはまた追いかけて来た。嫌だ、嫌だ。恐いよぅ…そうしたらサヨンの泣き声が聞こえてきた。大変だ、サヨンはお化けに捕まったんだ。どうしよう、サヨンが連れて行かれる!
「どうしたの、サヨン」
ルナの声が聞こえた。サヨンは助かったんだ。ルナは泣いているサヨンを抱っこして連れて行った。

目を開けたらまた真っ暗で僕は一人ぼっちだった。恐いから目をつぶった。そうしたら今度は大きなお化けが三つになって僕を捕まえに来た。僕はワーって言ってお化けを追い払った。恐くて起きたらヨンジュンが部屋に入って来た。
「ハラン」
「恐いよぅ、お化けが来たんだ」
僕は泣きそうになってヨンジュンにつかまった。
「大丈夫、お化けはもういないよ」
ヨンジュンは僕をギューッと抱っこした。
「上から真っ黒なお化けが落ちて来たんだ」
「向こうの部屋へ行こう」
ヨンジュンは僕を抱っこしたまま部屋に連れて行った。サヨンはルナに抱っこされて眠っていた。でも僕はまだ恐くてヨンジュンにずっとしがみついていた。
「きっと慣れない所で寝たから夢を見たんだ」
「そうね、ハランは一生懸命やっていたし疲れたのね」
ルナの声が聞こえて目を開けてみたらサヨンは眠っているのに口をモグモグしていた。
「ハラン、今日はいっぱいお手伝いしたな。頑張ったな」
ヨンジュンはそう言って僕の背中を何度も撫でた。ヨンジュンは大きくて腕も凄く太いから、きっとお化けをやっつけてくれる。
「眠っても大丈夫だよ」
「うん」
お化けはもう来ないと思った。

次回:第6話.眠れよい子よ

(風月)